過日の十勝川温泉ツアー。
温泉で何をしていたかと言えば、温泉三昧に加え(夫婦)ふたりして終日、小説を読みふけっていた。
先にご報告した「牧水の恋」を小生が、家内がこの「悪玉伝」を図書館から借りて持って行ったので、お互いに、読み終えると「ハイ、交換」してそれぞれ読み続けていたわけである。
ところで、まかてさんの最近作は、8代将軍吉宗の時代に勃発した大阪における商家の跡目相続をめぐる騒動(辰巳屋一件)を物語に仕立てたもの。「野生時代」2016年6月~17年12月連載325頁、第22回司馬遼太郎賞受賞。
本来、「相対済まし」で決着を図るべき跡目相続が、幕府中枢をも巻き込んだ疑獄事件に発展した背景には、財政(貨幣改鋳)政策をめぐる豪商との裏取引があったという。
それだけに、物語の展開それ自体は面白いのだが、結末は、現政権のデタラメ政治に通じるところがあって後味の悪いものとなってしまった。