菖蒲葉を 震わせて鳴き 庭の蝉
馬糞 Bafun
クマゼミの黄色い胸板は、子供のころには宝物に見えたのもで
ある。
蝉取りに夢中になれるのが夏であった。
トリモチを薬局に買いに行った。
開いたばかりのトリモチのにおいは、まさに夏休みになったという
臭いだった。
虫かごがジージーとにぎやかになると、満足して家に持って帰り、
庭に放した。
数年後には、庭から生まれた蝉が抜け殻を残して鳴き始める夏
が来た。
夏は、蝉とともに盛り上がり、蝉とともに去ってゆく。
盆前の夏は、正真正銘の盛夏という幸せの中にいる。
【 盆踊りの復興を! 】
夏のクライマックスは盆踊りだった。
炭鉱が盛んだったころの西彼大島では、千人をはるかに超えて人々
が集まったものである。
そんな盛大な炭鉱の盆踊りが三日間続いた。
それに負けじと、半農半漁の土着の郷村でも盆踊りの太鼓が鳴
り渡った。
今も盆踊りは続いているのだろうか。
Webで盆踊りを調べてみても、ほとんど紹介されていない。
花火大会ばかりが打ち上げ数を競い合っている。
町の規模が大きくなり、マンションが多くなると、盆踊りをするほど
の地域コミュニティーが失われるのであろうか。
ささやかで情緒豊かな伝統の祭りが失われていることは、日本と
いう伝統国家が陽炎のようにゆらゆらと実態を失っていることを象徴
しているようで残念である。
伝統の祭りの復興は、国家復興につながる観光ビジネス産業の
目玉にも思えるが如何。
Bafun