透明な気圏の中から

日々の生活の中で感じたこと、好きな作家についての思いなどを書いてみたいと思います。

昏い秋

2013-10-04 20:07:01 | 日記

晴れのち曇り。最低気温4.9℃、最高気温12.8℃。

朝食中に、テレビのニュースを聞きながら(見ることも少々)箸を口に運ぼうとして、思わず手を止めた。急いでチャンネルを変える。再び、箸を動かし始めて数分後、再びチャンネルを変える。ついにNHK教育テレビに合わせることにして、ようやく落ち着いて食事につけた。ニュースでは殺人事件をはじめとして、食欲が失せるものばかりが流されていた。現実は厳しい。美しいものを見る目はまた醜いものをも感じ取ってしまうものだとは「ファンタジーとリアリズム」という概念を学び始めた時に納得がいく答えとして、記憶に留まっていた。だから二つの一見相容れない概念は統一も可なのだと。

事件は事細かく(ここまで私は個人的に知らなくても良いと思う)、映像があれば映像で流される。もう少し、朝ご飯を食べながらでも聞くに堪えるニュースがこの世にないのだろうか・・・・・。

『春と修羅 第二集』 今日の日付の賢治の心象スケッチより
  

 311 昏い秋         1924、10、4
 黒塚森の一群が
 風の向こふにけむりを吐けば
 そんなつめたい白い火むらは
 北いっぱいに飛んでゐる
   ・・・・野はらのひわれも火をふきさう・・・・・・
 雲の鎖やむら立ちや
 白いうつぼの稲田にたって
 ひとは幽霊写真のやうに
 ぼんやりとして風を見送る


コメント
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