透明な気圏の中から

日々の生活の中で感じたこと、好きな作家についての思いなどを書いてみたいと思います。

十月の終わりに

2013-10-31 20:16:02 | 日記

晴れ。最低気温2.0℃、最高気温14.0℃。

「あっという間に」は口癖になってしまったが、十月もやはり、早かった。ついに今日でお別れ。記念に身の回りの秋の風景をウォッチングしてみた。見慣れた職場の建物は紅葉した樹木に彩られて思慮深い紳士の風情。紅く染まった蔦がからまる煉瓦の門には、時を静かに見守り、若者に自ずと頭を垂れさせる賢者の趣を見る。「さようなら十月、来年また会おう。様々な力に支えられ、無事に過ごせたことに心から感謝。」

                       

                       

                       

                       

                       

そして、この詩を思い出す。

       晩秋                                           立原 道造

あわれな 僕の魂よ
おそい秋の午后には 行くがいい
建築と建築とが さびしい影を曳いている
人どおりのすくない 裏道を

雲鳥を高く飛ばせている
落葉をかなしく舞わせている
あの郷愁の歌の心のままに 僕よ
おまえは 限りなくつつましくあるがいい

おまえが 友を呼ぼうと 拒もうと
おまえは 
永久孤独に 餓えているであろう
行くがいい 
きょうの落日のときまで

すくなかったいくつもの風景たちが
おまえの歩みを ささえるであろう
おまえは そして 自分を護りながら泣くであろう

コメント
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