透明な気圏の中から

日々の生活の中で感じたこと、好きな作家についての思いなどを書いてみたいと思います。

『クリスマスの絵本』

2016-12-09 21:24:54 | 

雪のち曇り。最低気温-3.8℃、最高気温-0.1℃。

朝から細かな雪が静かに降っていました。まるで、砂時計ならぬ雪時計です。雪が積もった分だけ、師走の時が蓄積されていくようです。

午後、北海道立図書館からスベン・オットー作の『クリスマスの絵本』を借りてきました。

スベン・オットー作『クリスマスの絵本』(奥田継夫・木村由利子訳 昭和551210日初版発行・評論社)   

表紙を見て、すぐ手にした一冊です。

子どもから大人まで、お金持ち風の人から貧しい人々まで、服装はもちろん表情も一人一人細やかに描き分けられています。広場はこうした大勢の人々でにぎわっています。

背景の建物とその手前の馬車の御者なども丁寧に描かれ、時代の雰囲気が伝わってくるものでした。

  

作者紹介によると、スベン・オットー氏は1916年生まれ。デンマークで最も精力的に仕事をしているイラストレーター。子どもの本の分野では1978年度、国際アンデルセン賞、画家の部で受賞。

 

オットー氏曰く、古き良き時代のクリスマスを貧しい人々の立場から描いたと。当時は外側から傍観することしかできなかった貧しい庶民の視点を意識して描いたということでしょう。

貧富の差や身分の差が対照的に描かれる場面、一方でそれらをすべて包み込むようにクリスマスの自然や時の流れが描かれる場面が用意されています。

貧富の差のリアルな描写に古き良き時代の光と影が浮き彫りにされています。ページを繰るごとに優しさの質が問われ、心が鎮められていく作品でした。

コメント (2)
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