透明な気圏の中から

日々の生活の中で感じたこと、好きな作家についての思いなどを書いてみたいと思います。

茨木のり子「聴く力」

2016-12-30 22:01:05 | 日記

晴れのち曇り。最低気温-8.5℃、最高気温-1.9℃。

2016年12月25日 野幌森林公園ふれあいコースにて撮影

 

今年もいよいよあと一日を残すのみとなりましたね。

夕食を終えて一息つき、ふっと茨木のり子さんの詩集を手に取りました。その中の一つ「聴く力」という詩がまるで今を語っているかのようで、なんとも言えない気持ちになりました。

『茨木のり子集 言の葉2』から

「聴く力」

ひとのこころの湖水

その深浅に

立ちどまり耳澄ます

ということがない

 

風の音に驚いたり

鳥の声に惚(ほう)けたり

ひとり耳をそばだてる

そんなしぐさからも遠ざかるばかり

 

小鳥の会話がわかったせいで

古い樹木の難儀を救い

きれいな娘の病気まで直した民話

「聴耳頭巾」を持っていた うからやから

 

その末裔(すえ)は我ことのみに無我夢中

舌ばかりほの赤くくるくると空転し

どう言いくるめようか

どう圧倒してやろうか

 

だが

どうして言葉たり得よう

他のものを じっと

受けとめる力がなければ

コメント
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