雨時々曇り。最低気温10.2℃、最高気温17.8℃。
12時25分から15時近くまでの上映でした。
美しい森の風景が織り込まれており、野幌森林公園を歩くことが多い私にとっては親しみを感じさせるものでした。北海道の四季折々の風景はため息がでるほどの美しさで、どこか見覚えのあるような気がしました。
作中、主人公が先輩に調律をするにはどうしたらよいかを尋ねるシーンがありました。先輩は原民喜の言葉で答えます。
「明るく静かに澄んで懐しい文体、少しは甘えてゐるやうでありながら、きびしく深いものを湛へてゐる文体、夢のやうに美しいが現実のやうにたしかな文体」と。
この映画についてどう書き表そうかと思いつつ、耳に残っていた原民喜の最初の言葉を頼りにネットで探して見つけたのが上記の引用です。
そして、この映画はまさしく、上記の原民喜の言葉に集約されるようだと思ったのでした。
明るく静かに澄んでいて、どこか懐かしさを感じさせ、甘さもありつつ、厳しさと奥の深さもあわせ持ち、美しい風景と全編を通じて流れるピアノの調べは夢のようでありながら、現実を踏まえている、という具合にです。
散らかり気味の脳内に優しい風が吹きわたり、しっとりとした清涼感に包まれた気がする映画でした。