今回のおすすめは、漫画『栞と紙魚子』(しおりとしみこ/諸星大二郎・著)です。この作者の特徴は独特の雰囲気を醸し出す画風&作風で、その独創性は、アシスタントをして「どこをどうアシすればいいか分からない」と言わしめるほどであり、手塚治虫が「僕は描こうと思えば誰の絵でも描ける」と前置きした上で「諸星大二郎だけは描けない」と語ったほどです(※)。
同作者の作品は、代表作『西遊妖猿伝』、『暗黒神話』、『妖怪ハンター』などをはじめとして、歴史やファンタジー、ミステリーに伝奇作品と、どちらかと言うと、少々重いテーマの作品が多いのだけど、この『栞と紙魚子』は少々他の作品と趣が違い、重さプラス“ほのぼの感”と“グロテスクさ”という、ますますわけのわからない振り幅の広さを見せつけます。その読後感は、「最初はブサイクと思っていた女の子に、気づいたら愛着が沸いていた」、そんな感じなのである。…よくわからんだろうが、嫌いなレビューをあえて行い、この作品の素晴らしさを教えてやろうと頑張っているのだから、それぐらい察するように。えへんぷい。とはいえ、この表現、同意者が約一名。的外れというわけではなさそうです。
架空の街“胃の頭町”で次々と起こる怪事件を、二人の女子高生がテンション低く、なんとなく解決していく不思議漫画。人肉料理好きの女子高生、ストーカーが趣味の猟奇詩人、落雷でパワーアップするゴスロリ少女などに興味があって、しかも、このブログを見に来ているような物好きな人には、文句なしにオススメです。すっげえおもしろいよ。押忍。
●『栞と紙魚子』諸星大二郎・著/朝日ソノラマ/文庫版全3巻(以後続刊?)
※一部「ウィキペディア」より引用。こちら。
※「漫画の館」というサイトに画像つきでくわしく紹介されています。こちら。