そんなわけで研修旅行でインドネシアに行ってきた。
朝4時に起き、集合場所から電車で空港に向かう。今回乗るのはガルーダ航空の飛行機。こないだ事故を起こしたばかりなので、ちょっとヒヤヒヤ。
でも、まあ、飛行機事故に会う確率なんて、ある種天文学的に低い数字なわけだし、そうそうあるもんじゃないよね、そうタカをくくって搭乗したところ、機内非常設備の紹介映像が、前半をすっ飛ばしていきなり後半の救命胴衣の膨らまし方から始まり(酸素マスクは?シートベルトは?)、その消化不良っぷりに一抹の不安がよぎる。
そんな不安も眠気には勝てず、気づくとそこはインドネシアはデンパサール空港inバリ島。6~7時間のフライトがあっという間に感じた。なお、着陸時、i-podをガンガン聞きながら、かつ席をリクライニングしっぱなしだったのに、注意は一切なし。シートベルトチェックも曖昧だったなあ。
日本とバリの時差はおよそ1時間。今日だけ1日が25時間になり、ちょっとお得気分であった・・・、のだけど、正直眠くて仕方がなく、早くホテルで寝たくてたまらなかった。
必要以上に長い入国審査を欠伸しながらこなし、現地ガイドと待ち合わせ、バスに乗り込み、晩御飯場所まで移動。空港から一歩離れると、そこはいかにも「発展途上国」(この表現、上から物を見ている感アリアリで吐き気がするのだけど、わかりやすいからまあいいや)的な風景だった。
日本のそれとは明らかに違う空気と匂い、アスファルトやコンクリート、木造の建物の隙間を埋め尽くす自然の過剰さ、道を席巻するバイク群(しかも最高家族4人乗り)。そんな光景に、自分の足元を固めていたものがガラガラと崩れ始めて、気づけばインドネシアという空間にひとりプカプカ浮いているような、ちょこっと不安で、すごくドキドキ、そんなトリップ感に侵食されていた。これがあるから旅行はやめられない。
着いたのは海岸沿いにある「SANTI CAFE」。建物を抜けビーチに出ると、砂浜にテーブルとイスがならび、バックには見渡す限りの水平線と、日本の都会では絶対に見られないであろう鮮やかにも程がある夕焼けがお出迎え。料理は正直「?」だったけど、この世界観だけでもうおなかいっぱい。
チップ目当てのミュージシャンが目の前で「乾杯」「上を向いて歩こう」なんぞを流暢な日本語で熱唱。いつもの僕なら、その見え見えでひねりのない行動に発狂寸前になるのだけれど、バリの海と夕日にはそれすらも蕩けさせる程の魔力があった。
そんなこんなでホテルに到着。警備員とゲートに守られた門をくぐると、ライトアップされた幻想的な建物が。こんな素敵な所に泊まれるの!?そんなハッピーな空気を漂わせながら、各自移動。部屋はコテージ風になっており家一軒貸切状態。あーあ、彼女と来たかったなあ、と悶々とする。
ベッドに横たわると、ああ、今いるのは日本でなくてバリなんだなあ、と実感が沸いてきた。前の客のゴミがそのまま残っているゴミ箱、水しか出ないシャワー、タオルのない浴室、磨けばボロボロ毛が抜ける歯ブラシ、開かなくなってしまった玄関など、もう、なんか、たまらなく、バリ。
次回、「夜の裏バリ」編につづく。