「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

恐怖と共に生きる (1)

2016年01月26日 21時14分16秒 | 「BPDをもつ人と良い関係を築くコツ」
 
 恐怖は、 低レベルの心配から 極度の圧倒的恐怖まで、 幅があります。
 
 ここでは、 恐怖, 心配, 不安を 同意語に扱います。
 
 どれも同じ根源的な感情、 つまり恐怖に由来するからです。
 
○ 自分をなだめる
 
 恐怖と不安は 人を消耗させます。
 
 BPが生死のギリギリにいるとき、 恐れないことは難しいでしょう。
 
 不安を中和するには、 落ち着かせる技法で、 あなたの身体をケアすることです。
〔参照:http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/64907475.html 〕
 
○ 管理されていない恐怖は 回避につながる
 
 恐怖は、 その原因から逃げたいと思わせます。
 
 あなたは BPを避けることになるのです。
 
 BPの家族は 身体問題を発症したり、 感情的にすり減ってしまい、
 
 関係から手を引かなければならないこともあるのです。
 
 関係の終結よりも、 関係からの休息 (休暇) が勧められます。
 
 休暇をとる目的は、 関係が終わりになるのを防ぐことです。
 
 休暇をとる際は、 BPへの愛情を保証して、 BPが傷つくことを承認し、
 
 将来の関係への 希望を表現しましょう。
 
 休暇は何度とってもいいのです。
 
 関係からの休暇をとるときは、
 
 その関係の プラス面とマイナス面の 比較を行ないます。
 
 妥当な罪責感を経験するか 確認するために、
 
 あなたの価値観を 検証する必要があります。 
 
〔「境界性パーソナリティ障害をもつ人と良い関係を築くコツ」
 (星和書店) 〈シャーリ・Y・マニング著〉 より〕
 [星和書店の許可のうえ掲載]
 
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罪責感が妥当なら (2)

2016年01月25日 20時17分41秒 | 「BPDをもつ人と良い関係を築くコツ」
 
 次のステップは、 罪責感を手放すことです。
 
 これは手ごわいプロセスです。
 
 罪責感が妥当でも、 意図していなかったという事実は 重要です。

 BPが 激しい感情的リアクションを示し、 あなたを非難したら、
 
 それを承認してください。
 
 そして、 自分は謝罪したのだと思い出し、
 
 自分の感情を 手放す努力をしてください。
 
 いつか、 BPがあなたを非難しても、 罪責感が削減されるでしょう。
 
 BPは 家族が 「犯した過ち」 を 家族に話します。
 
 それは非難めいたものになり、 非難される人は 不可避的に守勢に立ってしまいます。
 
 しかし、 家族の感情調整ができて、 話し合いを持てば、 両者にとっての利益
 
 -- BPにとっては承認、 家族にとっては罪責感の削減 -- は漠大なものです。
 
 また、 BPのその非難が 否定されたり、 矮小化されたりすると、
 
 感情と自殺傾向が増加してしまいます。
 
 BPが言ったことを否定せず、 あなたがBPにしたことの 理由を説明してください。
 
 それから、 BPが誤解して ひどく恐ろしかったに違いないと 承認してください。
 
 BPは慰められ、 あなたは罪責感を持つのを 防げるでしょう。
 
※ 罪責感に効果的に対処する方法
 
1. 罪責感の原因になる行動を リストアップしましょう。
 
2. あなたのしたことが 価値観に反しているかどうか 確認しましょう。
 
3. 価値観に反しているなら、 それを具体的に描写しましょう。
 
4. あなたの行動がBPに与えた、 意図された結果と 意図されなかった結果を
 
   リストアップしましょう。
 
5. 罪責感が妥当なら、 補償をしましょう。
 
6. BPが補償にリアクションするのを 認めましょう。
 
〔「境界性パーソナリティ障害をもつ人と良い関係を築くコツ」
 (星和書店) 〈シャーリ・Y・マニング著〉 より〕
 [星和書店の許可のうえ掲載]
 
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罪責感が妥当なら (1)

2016年01月24日 19時44分17秒 | 「BPDをもつ人と良い関係を築くコツ」
 
 妥当と思われる罪責感の大半は、 意図しなかった害への罪責感です。
 
 それを認識すれば、 度を越さずに、
 
 適切な補償 (償い) で 罪責感を和らげられるでしょう。
 
 もしBPが子供のとき、
 
 あなたが  「泣くのはやめなさい」  などと言ったとしたら、
 
 BPは 自分の感情が間違っていると 感じてしまったかもしれません。
 
 あなたがしたことと、 あなたが意図していた結果と、 意図されていなかった結果を、
 
 具体的に考えてください。
 
 罪責感を仕分けするために、 違いを理解するのが重要です。
 
 意図していなかった結果に対する 罪責感に圧倒されずに、 償うことが可能になるか、
 
 妥当でない補償を回避できるでしょう。
 
 あなたは、 子供が感情調整できなくなる結末や、
 
 泣くことは悪いという 信念を教え込むことを 意図していません。
 
 妥当な罪責感を 引き起こした行動がはっきりしたら、 補償をしましょう。
 
 あなたのしたことと その結果に対して、 謝罪することが必要です。
 
 昔の行動については、 できるのは謝罪だけ という場合が多いでしょう。
 
 そして、 BPに あなたの補償に対して 自由に反応させましょう。
 
 弁証法的行動療法ではこれを、  「結果を潔く受容する」 といいます。
 
 BPは激怒するかもしれませんが、 あなたは 自分のできることを全てしたことで、
 
 罪責感を減らせるでしょう。
 
〔「境界性パーソナリティ障害をもつ人と良い関係を築くコツ」
 (星和書店) 〈シャーリ・Y・マニング著〉 より〕
 [星和書店の許可のうえ掲載]
 
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親の感受性

2016年01月23日 21時05分07秒 | 「BPDをもつ人と良い関係を築くコツ」
 
 BPDの子供の親 (養育者) は、
 
 障害が 自分の落ち度によるもののように 感じます。
 
 しかし 責任はあなたにはありません。
 
 BPDは、 生物学的なもの, 適合の良し悪し,
 
 多数の要因が集まった 嵐のようなものです。
 
 BPの多くが、 子供にとって申し分のない 家庭に育っています。
 
 親は最善を尽くしたのです。
 
 鍵となるのは 生物学と環境との適合度と 考えられます。
 
 誰でも意図せず、 人に対して 非承認になってしまうことがあります。
 
 親は罪責感から 償いをしたくなりますが、
 
 必要のない償いをしてしまうと、 親族と効果的に対処できなくなり、
 
 子供がBPDを改善させるのを 邪魔しかねません。
 
 家族は償いをしようとして 人生を費やします。
 
 誰もが他人を傷つけますが、 多くは意図したものではありません。
 
 その罪責感で、 子供を過保護にするのは よくないことです。
 
 過度に助けようとするのは、 BPの能力を奪い、 無能力を強化してしまいます。
 
 知らないうちに 自殺行動や問題行動を 強化してしまうのです。
 
 あるBPの女性は、
 
 子供のとき 弟が病気のために、 両親から面倒を見てもらえませんでした。
 
 成人後BPD症状が生じ、 病院で過ごしました。
 
 退院後、 両親は罪責感から 彼女に大金を費やして養います。
 
 彼女はますますうつ状態になり、 自殺企図と入院を招きました。
 
 両親の罪責感が 効果的な行動の妨げになっていたのです。
 
 両親は彼女と セラピーを受け、 彼女への過度の援助をやめました。
 
 彼女は自分で 働かなければならなくなったのです。
 
 彼女は苦労しましたが、 その後二度と入院しませんでした。
 
 両親の問題は、 妥当でない罪責感から 償いをしたことではなく、
 
 彼女が自分の役割を 果たさなかったときに、
 
 妥当な罪責感を感じなかったことなのです。
 
〔「境界性パーソナリティ障害をもつ人と良い関係を築くコツ」
 (星和書店) 〈シャーリ・Y・マニング著〉 より〕
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あなたの罪責感は妥当ですか? 

2016年01月21日 20時46分17秒 | 「BPDをもつ人と良い関係を築くコツ」
 
 あなたの罪責感を検証するためには、 あなたの 「賢明な心」 に自問してください。
 
 皆が直感的に活用できる 知恵の能力です。
 
 賢明な心にアクセスするには、 息を吸って
 
  「自分の価値観に 反することをしただろうか」 と問い、 聞いてください。
 
 答を得られるまで これを行なってください。
 
 正しく、 そして容易に答を出せることに 驚くでしょう。
 
○ 妥当でない罪責感への 反応の仕方
 
 罪責感が妥当でないと確かめても、 罪責感が消えない場合は、
 
 罪責感の引き金になっている行動に 繰り返し関わることです。
 
 (昨日の日記の夫の例では、 花を用意しないことを 何度も繰り返すことです。)
 
 好ましくない感情を静めるために 行動を変えると、
 
 その感情は 減る前に まず増加してしまいます。
 
 (「消去バースト (消去抵抗)」 といいます。)
 
 感情を低下させるには、 その行動をしたい衝動を 無視し続けなければなりません。
 
 罪責感が高まった状態で 補償行動に出る (花を買う) と、
 
 罪責感を強化してしまい、 静めるのがより難しくなってしまいます。
 
 ただし 罪責感が発するシグナルは、 高まっても次第に落ち着いてくるものです。
 
 例えば、 週末にレジャーに行くことに 罪責感を感じる人がいました。
 
 彼は週の間は 一生懸命働き、 罪責感を持つ理由はありません。
 
 罪責感を収めるには、 罪責感がなくなるまで 週末にレジャーに行くことです。
 
 でもBPへの罪責感を扱うのは より難しくなります。
 
 恐怖が生じるからです。
 
 あなたが罪責感から、 BPのために 有益でないことをするとき、
 
 それを思いとどまったら、 BPは破滅的な行動に出ると 恐れますか? 
 
 あなたは恐怖と罪責感、 罪責感と恐怖のサイクルに囚われ、 消耗し、
 
 最終的にBPを 一層悪化させてしまいかねません。
 
 これらふたつの感情は とても緊密に織り合わさっています。
 
〔「境界性パーソナリティ障害をもつ人と良い関係を築くコツ」
 (星和書店) 〈シャーリ・Y・マニング著〉 より〕
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必要のない補償をしようとすること

2016年01月20日 20時29分04秒 | 「BPDをもつ人と良い関係を築くコツ」
 
 多くのnon-BPが、 妥当ではない罪責感を持ちます。
 
 倫理観の範囲内のことをしても、 罪責感を持ってしまうのです。
 
 これはnon-BP, BP, 二人の関係にとって 有害です。
 
 例えば BPが夜、 酔っぱらって電話をしてきて、 感情を露にしたため、
 
 あなたは限界を超えて 電話を切りました。
 
 そして、 それに対して罪責感を持ちます。
 
 この罪責感に対して、 ふたつのことをする可能性があります。
 
1. BPに電話をかけ直し、 話をする。
 
  (BPが酔っぱらって電話をすることを 強化します。)
 
2. 次回、 BPが好ましくないものを必要とするとき、
 
   それが有益でないと知りながら 与えてしまう。
 
 あるBPは、 夫と喧嘩したとき、 大量服薬して入院しました。
 
 退院すると、 夫は沢山のバラを用意し、 食事を作り、 毎日掃除をしました。
 
 その次に 二人が意見が合わなかったとき、 BPは大量服薬しました。
 
 夫は再び花を買い、 行動を変えました。
 
 夫は 口論には罪責感がありませんでしたが、 入院には罪責感があったのです。
 
 しかし 彼の罪責感は妥当ではないし、
 
 そこから出た彼の行動は、 妻の行動を強化し、 
 
 彼女の自殺傾向や入院を 増やすのです。
 
 彼女が大量服薬をした場合には、 花を買ったりしないことが必要です。
 
 夫は別の感情 -- 悲しみ, 恐怖, 欲求不満 -- を感じるでしょうが、
 
 彼の行動が 自殺企図の原因ではありません。
 
 彼は補償行動をせずに 入院を許容しなければなりませんが、
 
 やがて妻は大量服薬をやめ、 入院もしなくなりました。
 
 強化子は、 気付かないうちに働くのです。
 
〔「境界性パーソナリティ障害をもつ人と良い関係を築くコツ」
 (星和書店) 〈シャーリ・Y・マニング著〉 より〕
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あなた自身の 困難な感情に対処する

2016年01月19日 19時19分15秒 | 「BPDをもつ人と良い関係を築くコツ」
 
 BP (BPDの人) を大切に思い、 相次いで危機に対処してきて、
 
 絶望を感じているときに、 別の感情が背景に潜んで 蓄積することがあります。
 
 それは罪責感, 恐怖, 絶望です。
 
 罪責感は、 自分の倫理観や価値観に 反することをしたときに 経験する感情です。
 
 罪責感は、 与えてしまった害への 補償 (謝ったり償ったりする) を
 
 したい気持ちを起こさせます。
 
○ 検証されていない罪責感の落とし穴
 
 BPはしばしば 制御不能の罪責感を持っています。
 
 あらゆることに罪責感を持ち、
 
 自分がそれらの原因だと 信じてしまうか --大半がこれです--、
 
 あるいは 人に与えた苦痛を理解せず、 ほとんど何の罪責感を持っていないか、
 
 どちらかです。
 
 セラピーでは、 罪責感を理解させ、 自己嫌悪と自己非承認を減らすのです。
 
 non-BP (BPと接する人) にも 罪責感は蔓延しています。
 
 主に検証されないままであることが多く、 有害になり得ます。
 
 あなたが罪責感を抱いたときには、 自動的に補償をしようとするかもしれません。
 
 罪責感が即座に 恥を感じさせるのであれば、 あなたは罪責感を覆い隠そうとして、
 
 何の穴埋めもせずに 先に進もうとするかもしれません。
 
 罪責感には、 妥当なものと妥当ではないものがあり、 検証が必要です。
 
 もし妥当でないのに 妥当なように振る舞うと、
 
 役に立たない補償をしてしまうかもしれません。
 
 罪責感が妥当なのに 補償をしなければ、
 
 BPとの交流を ポジティブに変えるチャンスを 逃しているかもしれません。
 
 妥当な罪責感は、 倫理観に反する行動をしたときに 生じるものです。
 
 妥当でない罪責感は、
 
 根拠のない罪責感 -- 倫理に反していないのに 感じる罪責感です。
 
〔「境界性パーソナリティ障害をもつ人と良い関係を築くコツ」
 (星和書店) 〈シャーリ・Y・マニング著〉 より〕
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悲嘆の抑制に関してすべきこと (2)

2016年01月18日 20時02分57秒 | 「BPDをもつ人と良い関係を築くコツ」
 
(http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/65003339.html からの続き)
 
o 感情表現がないことで感じる 安堵を受容する
 
 BPが感情をシャットダウンして、 あなたが安堵感を経験するとしたら、
 
 それを認めましょう。
 
 しかし感情の抑制は 効果的な対処技能ではなく、
 
 BPの惨状から出てきたものだと 理解することが大切です。
 
o エクスポージャー (曝露) 療法を探す
 
 悲嘆の抑制を克服する 唯一の方法は、 実際に感情を経験することです。
 
 しかしBPは、 感情そのものも感情を引き起こす出来事も 回避します。
 
 行動療法には、
 
  (感情的合図への) エクスポージャー (曝露) と呼ばれる 技法があります。
 
 感情を回避するのではなく、 経験するように援助するものです。
 
 エクスポージャーは 精巧で難しい技法なので、
 
 訓練を受けた専門家に 治療してもらうことが有益です。
 
 感情を経験させることは、  「感情を外に出す」 ことと 同じではありません。
 
 悲しみを全て吐き出すことで、 BPの気分がよくなる証拠はありません。
 
 BPを悪化させるかもしれず、 自殺行動の増加に繋がりかねません。
 
 究極の目標は、 感情が積もって 悲劇を招かないように、
 
 感情が生じたときに それを経験する手助けをすることです。
 
 承認して、 希望を表現し、
 
 激しい感情表現がないことで 安堵するあなた自身を許し、
 
 専門家の治療を受けられるか 試してください。
 
〔「境界性パーソナリティ障害をもつ人と良い関係を築くコツ」
 (星和書店) 〈シャーリ・Y・マニング著〉 より〕
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悲嘆の抑制に関してすべきこと (1)

2016年01月16日 21時05分43秒 | 「BPDをもつ人と良い関係を築くコツ」
 
 悲嘆の抑制を 治療することはできないでしょう。
 
 承認こそ最善の策です。
 
o BPの感情を承認する
 
 BPが感じているに違いない 感情を承認し、
 
 その感情を経験するのが いかに苦しいかを承認しましょう。
 
 極端な感情的リアクションは、
 
 BPを ひとつの極から他方の極へと 押しやる可能性があります。
 
 BPが 喪失に対処するのに必要な 悲しみを感じていないとしたら、
 
 あなたは 自分自身の感情的リアクションを 穏やかにしなければなりません。
 
 あなたがひどく悲しめば、 BPは衝動的なことをするかもしれません。
 
 その一方で、 あなたが 本物の悲しみで反応しなければ、
 
 BPの悲しみを承認しないことになるか、
 
 衝動性と自己非承認の方向へ 動かしてしまうでしょう。
 
o 希望を生み出す
 
 ふたつめにすべきことは、
 
 BPが悲しみを乗り越えて 生き延びる希望を生み出すことです。
 
 失われたものを認め、 BPの生活を再生する 解決策を提案することができます。
 
 5つのステップのプロセスを 思い出してください。
 
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/64876995.html
 
 BPが感情を回避せずに 経験するのを手伝いましょう。
 
 感情を経験しながら 想い出を語ってもらいましょう。
 
 感情のシャットダウンを始めたら、 身体で何を感じているか 質問しましょう。
 
 感情は身体感覚なのです。
 
 感情を経験するには、
 
 あなたの身体で感じていることを 自問し、 感覚に注意を払ってください。
 
(続く)
 
〔「境界性パーソナリティ障害をもつ人と良い関係を築くコツ」
 (星和書店) 〈シャーリ・Y・マニング著〉 より〕
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悲嘆の抑制 (2)

2016年01月15日 21時27分25秒 | 「BPDをもつ人と良い関係を築くコツ」
 
(前の記事からの続き)
 
○ 感情の内的経験の回避 (2)
 
o 解離
 
 BPはしばしば 悲しみを抑制し、 全く悲しそうに見えません。
 
 これは時として 解離しているからかもしれません。
 
 解離は 意識を感情から離して、 感情をシャットダウンすることです。
 
  「ぼうっとしている」 ときや  「気が抜けている」 とき、
 
 人は感情を経験していません。
 
 これらの感情は 未経験のまま蓄積し、
 
 のちには噴火して 極度の危険を生み出すでしょう。
 
o 別の感情へのシフト
 
 時として人は、 別の感情を経験するという手段で、 ある感情を回避します。
 
 例えば怒りは、 悲しみを回避することを助けてくれます。
 
 怒りは悲しみより対処しやすいものです。
 
 もしBPが悲しいのに 怒りや他の感情で回避していたら、 悲しみを承認しましょう。
 
 悲しいのに怒っている とは言わないように。
 
 そう言うと承認していないことになり、 爆発に繋がるでしょう。
 
 代わりに、  「私だったら悲しい」 のように言って、 反応を見ましょう。
 
 時には 正常な感情へ導くことができます。
 
 あなたの言うことを 否定するかもしれませんが、 口論しないように。
 
 悲しみは恐ろしく、 その中で溺れさせはしないと 伝えましょう。
 
○ 悲しみの外的な合図の回避
 
 悲嘆を抑制するとき、 悲しみを引き起こす 外的なでき事を回避するかもしれません。
 
 過去の悲しみや喪失に関連する 場所, 人, 物を避けるのです。
 
 例えば、 愛する人と別れて、 再会したいと望んでいても、
 
 もう一度 喪失するのではないかと恐れて、 会うことを拒否するBPがいます。
 
 そしてより孤立し、 より悲しく、 罪責感, 恥を感じるようになりました。
 
 次には これらの感情を回避しなければならなくなり、 衝動的な行動をします。
 
 それが ネガティブな感情を さらに多く引き起し、 周りの誤解を生み、
 
 またそれが 回避すべきネガティブな感情を さらに引き起こします。
 
 最終的には、 破滅的な行動に繋がってしまいます。
 
〔「境界性パーソナリティ障害をもつ人と良い関係を築くコツ」
 (星和書店) 〈シャーリ・Y・マニング著〉 より〕
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悲嘆の抑制 (1)

2016年01月14日 21時20分50秒 | 「BPDをもつ人と良い関係を築くコツ」
 
 感情をシャットダウンしようとするひとつの兆候は、 衝動的行動です。
 
 もうひとつの兆候は、 表情や身体言語の欠如です。
 
 これにはふたつの様相があります。
 
 感情の内的経験の回避と、 感情の外的合図の回避です。
 
○ 感情の内的経験の回避
 
 悲嘆を経験しているとき、
 
 全く感情を示さないか、 関係のない感情を示すかもしれません。
 
 これは  「見せかけのコンピテンス (有能さ)」 とは別のものです。
 
 見せかけのコンピテンスの場合、
 
 BPは感情を経験していても、 それを示さないか、 正確に示しません。
 
 これを 「感情のマスキング」 と呼びます。
(http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/64953892.html )
 
 悲嘆の抑制では、 BPは 感情を全く経験していません。
 
 シャットダウンしていることに 気付いていることもあれば、
 
 認識していないこともあります。
 
 感情の内的経験の回避は、 通常意図的ではありません。
 
 時間をかけて学習されたものです。
 
 BPから突然表情が消えたら、 無意識で感情を抑制しているかもしれません。
 
 一方、 感情の内的経験を 意図的に回避することもあります。
 
 意図的と無意識の相違は、
 
 例えば親の葬儀で、 感情を表わさずに  「やるべきことをやっている」 人と、
 
 ショック状態なっている人や、 参列さえせず 酒を飲んでいる人の違いです。
 
(次の記事に続く)
 
〔「境界性パーソナリティ障害をもつ人と良い関係を築くコツ」
 (星和書店) 〈シャーリ・Y・マニング著〉 より〕
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圧倒的な悲しみに 感情の回避が加わって

2016年01月13日 20時54分29秒 | 「BPDをもつ人と良い関係を築くコツ」
 
 感情からの唯一の出口は、 感情を経験することです。
 
 しかしBPは感情を恐れ、 感情の経験から逃れようとするのです。
 
 喪失への反応が 無感情という場合があるでしょう。
 
 極度の感情の覚醒 (泣くなど) と、
 
 極度の感情の回避 (全くの無表情) の間を 交互に揺れ動くのです。
 
 飲酒, 自傷, 逃亡などの 衝動的行動をして、
 
 感情から逃げようとするかもしれません。
 
 止むことのない危機のパターンです。
 
 あるいは 感情的にシャットダウンすることによって、 逃避するかもしれません。
 
 抑圧された感情は 出てくるときには 「爆発」 してしまうので、
 
 極端な感情の覚醒と 感情のシャットダウンの間で 循環が発生します。
 
 これらの感情は 次第に回避が難しくなり、 他の感情的な経験を悪化させ、
 
 その循環は膨らんでいきます。
 
○ ネガティブな感情が 決して終わらないという信念
 
 BPは 苦痛な感情は 永遠に続くと信じているので、
 
 感情を経験することに 抵抗するのかもしれません。
 
 悲しみの中で溺死するような、 感情の津波に巻き込まれる 経験をしています。
 
 悲嘆は際限がなく、 破壊的なものに見えるのです。
 
 BPの内側は 感情の塊であるかのようです。
 
 ネガティブな感情で溺れ死なないように、 感情を経験し始めることをしないのです。
 
 悲しみと嘆きが BPには制御不能に感じられます。
 
 感情恐怖症, 特に悲嘆恐怖症になる 可能性があります。
 
 弁証法的行動療法ではこのシャットダウンを、  「悲嘆の抑制」 と呼んでいます。
 
〔「境界性パーソナリティ障害をもつ人と良い関係を築くコツ」
 (星和書店) 〈シャーリ・Y・マニング著〉 より〕
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感情の多弁

2016年01月12日 20時17分20秒 | 「BPDをもつ人と良い関係を築くコツ」
 
 BP (BPDの人) は 次々に危機を経験することと、
 
 全く感情を持たないことの間を 行ったり来たりしているようです。
 
 感情の多弁とも言える表現は、
 
 BPにとって 感情がどれほど圧倒的かを 表わしています。
 
 BPは 重大な喪失を経験してきています。
 
 喪失が起きていないときでも、 それを予期するようになることがあります。
 
 そのため 自分が批判, 疎外されていると感じると、 喪失感を抱きかねないのです。
 
 喪失が現実でも空想でも、 BPは とてもネガティブに反応します。
 
 喪失が蓄積するにつれて、 「人生は悲しみで満ちている」  となっていきます。
 
 蓄積された喪失は、 ふたつの異なる影響を 持つことがあります。
 
1. 喪失に敏感になる。
 
 ネガティブな感情的リアクションを 何度も経験すると、
 
 通常 それを誘発することに敏感になり、 喪失に強く反応します。
 
 BPは喪失から回復しないかもしれません。
 
2. 喪失の処理をやめる。
 
 あまりにも悲しみに圧倒されてしまい、
 
 喪失に対する 感情的リアクションがなくなってしまいます。
 
 感情の経験を回避するのではなく、 喪失を処理するのをやめてしまうのです。
 
〔「境界性パーソナリティ障害をもつ人と良い関係を築くコツ」
 (星和書店) 〈シャーリ・Y・マニング著〉 より〕
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止むことのない危機に、 どう力になれるか (5)

2015年12月28日 20時48分51秒 | 「BPDをもつ人と良い関係を築くコツ」
 
o より良い方法を見つけられるよう 力を貸す
 
 BPの問題は、 ネガティブなでき事から 逃げようとする衝動です。
 
 安心を得るための手段が 多くの場合、 とても問題のあるものだからです。
 
 解決策は、 気持ちを紛らわす、 穏やかな方法を見つけることです。
 
・ 本を読む
 
・ 映画やテレビを観る
 
・ 友人を訪ねる
 
・ チャリティ活動をする
 
・ パズルを解く
 
・ 編み物をする
 
・ 家の掃除をする
 
 BPが全神経を傾けられることを するように言いましょう。
 
 これらはネガティブな結末がなく、 本当に効果的です。
 
 気を紛らわせることと 賢明な心は、
 
 問題解決が可能になるまで 感情を静めてくれます。
 
 その時には、 問題解決方法の7つのステップを使うよう 手助けができます。
 
〔「境界性パーソナリティ障害をもつ人と良い関係を築くコツ」
 (星和書店) 〈シャーリ・Y・マニング著〉 より〕
 [星和書店の許可のうえ掲載]
 
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止むことのない危機に、 どう力になれるか (4)

2015年12月26日 21時17分39秒 | 「BPDをもつ人と良い関係を築くコツ」
 
o 賢明さを促す3つの方法
 
1. BPが 「賢明な心」 にアクセスするのを 助けましょう。
 
 「賢明な心」とは、 感情と合理性を合成したものです。
 
 BPが自分自身で、 感情と 問題への論理的解決策を 考えるのに効果的です。
 
 賢明な心にアクセスする方法には、
 
 呼吸法と、 内なる知恵に 「耳を傾ける」 ことが含まれます。
 
 自然に呼吸してください。
 
 息を吸いながら、 あなたを悩ませている問題について 自問してください。
 
 息を吐きながら、 答に耳を傾けます。
 
 答について考えないように、 ただ耳を澄ますのです。
 
 やがて、 答が頭の中に飛び込んでくるでしょう。
 
 問題は、 賢明な答を知っていながら、
 
 その知恵に基づいて 行動しないということです。
 
2. プラス面とマイナス面をやってみましょう。
 
 BPが問題行動を 続けることのプラス面とマイナス面、
 
 やめることのプラス面とマイナス面を 書き出させましょう。
 
 完成した後、 一歩引いて見せさせて、 賢明な解決策が何か 理解させましょう。
 
 最も力と知恵のこもっているものを 探すのです。
 
3. 単純に、 何をするのが賢明か尋ねましょう。
 
 「あなたの賢明な 心は何と言っていますか?」 と 言ってもいいでしょう。
 
 驚くべきことに、 感情が高まっている最中でも、 何が賢明か 通常分かるのです。
 
 難しいのは、 知恵に従うことなのです。
 
〔「境界性パーソナリティ障害をもつ人と良い関係を築くコツ」
 (星和書店) 〈シャーリ・Y・マニング著〉 より〕
 [星和書店の許可のうえ掲載]
 
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