「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

アンチスティグマ学会 (1)

2013年02月16日 22時46分10秒 | 「BPD家族会」
 
 2月12~14日、

 「第6回 世界精神医学会アンチスティグマ学会」 というものが

 永田町で開催され、 聴いてきました。

 精神障害に対するスティグマ (偏見, 差別) を 是正していこうという学会で、

 医療者, 福祉関係者, 精神障害当事者, 家族, メディアなど、

 色々な立場の人たちが 講演, シンポジウムを行ないました。

 当 「BPD家族会」 からも 会の代表が シンポジストとして参加し、

 家族の苦労について発表しました。

 精神医療の専門家でも まだ理解が乏しいBPD、

 さらにその家族の苦しみを 訴えた内容で、 とても心に沁みる発表でした。

 周囲の無知や偏見は元より、 BPDは 医療者にもスティグマがあり、

 ただでさえ 辛くて孤立している家族が、

 医療者の心ない言葉に ますます傷つけられる労苦を 訴えていました。

 でも5年前に比べれば、 BPDを扱う 本やドクターも増え、

 家族会の参加者も増えてきたと、 展望も述べていました。

 また、 「BPD家族会」 の参加者たちの 協力のもとに行なわれた、

 アンケートの結果を集計した 発表も行なわれました。

 BPD家族に対する調査は 初めてだそうで、 貴重なデータだと思います。

 家族の多くが 不安障害を抱えているなど、 隠れた事実も明らかになりました。

 BPDの人に向き合うには まず、

 家族が自分自身を 大切にしなければならないということです。

 アンケートの結果は、 今後も公開していくそうです。

 BPDや家族に対して、

 医療, 福祉などの援助が もっと得られるようになることが望まれます。

 様々なスティグマを抱える 精神医療にあっても、

 とりわけスティグマが強い BPDですが、 そんな中で今回の学会において、

 「BPD家族会」 の 発表の場が得られたのは 貴重なことでもあるでしょう。

 これをひとつの契機として、 BPDの実情が伝わり、

 誤解や偏見が少なくなっていくことを 願ってやみません。

(次の記事に続く)
 
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「BPD家族会」 のスタッフに

2012年01月21日 20時03分04秒 | 「BPD家族会」
 
 実は昨年末、 僕が参加している  「BPD家族会」 の代表交替に伴い、

 家族会のスタッフの 一員になりました。

 それまでは 代表と副代表 (共にカウンセラー) が 主になってやっていましたが、

 副代表が代表となり、 その他に 会の参加者の中から

 4人ほどがスタッフに選ばれたのです。

 BPDのために 役に立つことをしたいと 願っていたので、 待望の役回りです。

 主な仕事は 会場の予約と、 家族会のHPの記事です。

 今のところ 会場予約の仕事で、 時間的にもかなり骨を折っています。

 元代表が会社名で登録していた 会場が使えなくなったため、

 新しい会場に利用登録しましたが、

 そこは予約が抽選なので 部屋を確保できるとは限らないのです。

 新代表と相談しながら、 他の会場を探したりもし、

 元の会場に 個人で登録 (利用制限あり) したり、 苦労してます。

 でも 会のお役に立てるのは、 嬉しいことです。

 ところで、 新しい会場は、 心子とも来たことがある所です。

 初めて知り合った直後、 別のグループの忘年会が この会場であり、

 彼女も参加したいと 言ってきたのです。

 (また、 会場の隣の公園は、 心子と初めて 口づけを重ねた場所でした。)

 そんな想い出の会場ですが、 家族会には 新しい参加者も増えており、

 このような場を求めている人は 沢山いるのだと思います。

 BPDの家族を抱え、 訳も分からず、 どうしていいか途方に暮れ、

 他に行く所もなく、 救いを求めて来るのです。

 こういう会の存在の 必要性を物語っています。

 これから 会が育っていき、 家族の人たちの支えになり、

 活動が社会に浸透していけばと 願いながら、 頑張っていきたいと思っています。
 
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(感想.2) 若い世代の自殺を防げ ~ 境界性パーソナリティ障害 (9)

2011年03月13日 21時10分34秒 | 「BPD家族会」
 
(前の記事からの続き)

 オーストラリアの BPDに対する取り組みなどの 情報は貴重でした。

 2年ほどの治療で 症状が落ち着いてくるというのは、

 ボーダーは治らないと 思っている人が 少なくない現状に対して、

 希望的な影響を 与えられるのではないでしょうか。

 日本の行政も こういう取り組みを、 参考にして取り入れていくべきでしょう。

 番組では、 日本の治療が遅れており、

 BPD患者を敬遠したがる 医療者の実情も伝えていました。

 ネガティブなイメージを 与えてしまう懸念だけでなく、

 問題意識を持ってもらうために 必要なことでもあると思います。

 ポジティブなイメージを 持ってもらうためとすれば、

 ボーダーの人は 非常に純粋であり、 魅力的な面が 少なくないということも、

 描かれればよかったと思います。

 また、 周りの人も困惑するが、

 誰よりも苦しんでいるのは 本人だということも、 強調してもらえればと。

( 「境界に生きた心子」 では、 それを表現するのに 最も腐心しました。)
 

 ともあれ、 こうして少しずつ TVなどを通して

 BPDの情報が伝えられていくのは、 喜ばしくありがたいことです。

 一歩ずつでも、 着実にBPDは 表に出始めているでしょう。

 BPDは 多様な深い問題を 併せ持っていますが、

 1度や2度の放送で それらを描けるわけもなく、

 正しい理解を 伝えられるはずもありません。

 何事も浸透するには 時間がかかります。

 今現在 苦しんでいる人たちにとっては 待ちあぐむことかもしれませんが、

 ある程度 長期的な展望で 見ていくのがいいのではないでしょうか。

 また今後の伸展を 望みたいと思います。
 
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(感想.1) 若い世代の自殺を防げ ~ 境界性パーソナリティ障害 (8)

2011年03月12日 20時15分42秒 | 「BPD家族会」
 
(http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/61652894.html  からの続き)

 今回 「クローズアップ現代」 の BPDの番組は、

 「おはよう日本」 より 放送時間が長かった分、

 やはり境界性パーソナリティ障害の いくつかの面を

 カバーできていたのではないかと思います。

 登場した母子を見て 共感した人たちもおり、

 BPDの実態を ある程度伝えることができたのではないでしょうか。

 ただ 前回同様、 自殺との関連で 境界性パーソナリティ障害を捉えていました。

 前は、 短い放送時間で 視聴者の関心を得るための 切り口なのだろうか

 とも思いましたが、 そればかりではないようです。

 確かに BPDの自殺は 生命に関わる重要な問題で、

 死んでしまっては全て終わりですが、 BPDの困難さは それだけではありません。

 自殺で亡くなってしまうのは BPDの1割くらいの 人なのに対し、

 感情の変化の激しさや 対人関係のトラブルは、

 ほとんど全ての BPDの人の問題です。

 BPDは今や 誰の近くにいても おかしくない状況で、

 接することの難しさや 人間関係の混乱に、

 苦慮している人も 少なくないと思います。

 それは とてもタイムリーな話題で、 そういう 身近な視点から入っていくと、

 誰しもが自分のこととして 関心を持てはしないでしょうか? 

 自殺防止の観点から 入っていくという捉え方は、

 BPDを丸ごとつかんで 伝えることになるだろうかと考えると、

 違和感を免れないのですが いかがでしょう。

 もっとも 自殺対策の立場から見るなら、

 日本では経済問題など 中高年に重点が 置かれていることに対して、

 元々僕自身も 強く異存を持っていました。

 境界性パーソナリティ障害など 心の問題に、

 もっと目を向けなければならないと 思い続けていたのです。

 その点にスポットが 当てられたことにおいては、 会心のいくところではあります。

(次の記事に続く)
 
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若い世代の自殺を防げ ~ 境界性パーソナリティ障害 (7)

2011年03月10日 18時44分37秒 | 「BPD家族会」
 
(前の記事からの続き)

山室 「オーストラリアの施設では、 患者の 考え方の癖を改めて、

 自分で感情をコントロールできるようにする カウンセリングなど、

 心理療法を中心とした 治療を進めています。

 この施設のスタッフが、 各地の医療機関で 研修会を頻繁に開いて、

 地域の精神科医に 患者との接し方とか、 心理療法を教えているんです。

 精神科医と臨床心理士が チームを組んで 治療に当たっています。

 これまで2500人が 治療を受けてきて、

 ほとんどが2年ほどで 自傷行為をやめ、 症状も落ち着いているということです。

 患者や家族には 電話でもアドバイスをするなど、

 様々な形で 支援を進めているんです。

 オーストラリアでは、

 患者の治療費や 医師の育成を 公的な資金でまかなっています。

 日本では、 自殺対策は中高年に絞られており、

 境界性パーソナリティ障害は 重視されてきませんでした。

 また日本では、 心理療法は時間がかかるわりに 診療報酬につながらないため、

 積極的に取り組む医療機関が 少ないのが実情です。

林 「境界性パーソナリティ障害の治療は、

 世界ではここ数年で 急速に進歩しているんです。

 この治療で治るんだということが、 次々と確認されています。

 それを日本にも持ってくれば、 何とかなるのではないかと考えます。

 日本でも 名だたる精神科医が このテーマに取り組んできて、

 成果も上げているんです。

 でも 診察室での活動に留まっていて、 家族を取り込んだり、

 地域の社会資源と一緒になる 体制になってないんですね。

 いわば 点で支えている体制だったんです。

 それを 面で支える体制を 作り上げなければいけないですね。

 準備はまだまだ不足していて、

 私たちこれから 相当に頑張らなければいけない段階にあります。」

〔 NHK 「クローズアップ現代」 より 〕
 
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若い世代の自殺を防げ ~ 境界性パーソナリティ障害 (6)

2011年03月09日 19時42分25秒 | 「BPD家族会」
 
(前の記事からの続き)

 NHKが 全国の大学病院を対象に 行なったアンケート調査。

 ほんとどの病院が、 患者との関係に 問題があると捉えていました。

 「自傷行為が改善せず、 治療意欲に乏しい」

 「社会的規範に則った行動ができず、 スタッフや他の患者に 迷惑をかける」

 「できればかかわりたくない」

〔国立精神・ 神経医療研究センター (東京・ 小平)〕

 こうした現状を 何とか改善しようと、

 医療スタッフを対象にした 研修が始まっています。

 本人の考えを否定せず、 じっくり話を聞くなど、

 接し方を知ってもらうのが目的です。

 しかし日本には、 この病気に詳しい 医師がまだ少なく、

 模索は始まったばかりです。

参加者 「本当に対処法が 分からないところがありまして」

参加者 「試行錯誤というか、 難しいところがあると思います」

〔スタジオ〕

 取材に当たった 山室桃記者。

 都立松沢病院・ 林医師。

林 「(病院が消極的なことに関しては) 非常に残念なことです。

 しかしながら、 ゆとりのある診療ができないという 状況もあるんです。」

山室 「厚生労働省は、

 境界性パーソナリティ障害が 自殺と深く関わっていることは 認識していますが、

 今のところ 具体的な対策の動きは ないのが実情です。

 一方 欧米などでは、 自殺を予防するという観点から、

 行政として 取り組んでいる国もあります。

 中でも注目されているが オーストラリアで、

 境界性パーソナリティ障害の治療を 専門に行なう施設があります。」

〔 NHK 「クローズアップ現代」 より 〕

(次の記事に続く)
 
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若い世代の自殺を防げ ~ 境界性パーソナリティ障害 (5)

2011年03月08日 21時20分04秒 | 「BPD家族会」
 
(前の記事からの続き)

 治療に関しては、 日本では本格的に 広まっていないのが実情です。

〔BPD家族の会〕

 東京都内で開かれた、 患者の家族会です。

 月に2回、 境界性パーソナリティ障害の家族を 持つ人たちが、

 互いの悩みを相談しています。

 3年前にできた この会には、 およそ50人が参加。

 その多くが、 医療から見放された 経験を持っています。

参加者 「20歳前後から30歳くらいまで、 8ヶ所くらいの病院に行って、

 断られて かなりしんどかったです。

 今は何をすべきかという 手詰まり感があるんです。」

 頼るべき医療から拒絶される 患者と家族。

 インターネットや本などの情報を、 頼りにせざるを得ないのが実情です。

〔精神科の病院〕

 ある精神科の医師は、

 境界性パーソナリティ障害の患者の対応に 苦慮してきたといいます。

医師 「一番難しいのは、 患者側からの攻撃性が強い。

 攻撃性が 時には私たちにも向くし、 そのリスクも含めて、

 非常に大変な 患者さんだと考えられます。」

 医師のささいな言動から、 見捨てられたと感じる 患者もいるといいます。

 診察中に突然 外に飛び出し、 近くの川に飛び込んだ ケースもありました。

医師 「病室の2階からジャンピングされて、 骨折されたりとか。

 そういう場面が 2度3度と起きてくるので、

 非常に緊張の連続で 治療していかなければならない」

〔 NHK 「クローズアップ現代」 より 〕

(次の記事に続く)
 
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若い世代の自殺を防げ ~ 境界性パーソナリティ障害 (4)

2011年03月07日 21時19分47秒 | 「BPD家族会」
 
(前の記事からの続き)

〔スタジオ〕

 松沢病院・ 林直樹医師。

林 「境界性パーソナリティ障害の 主な症状の発現の場が、 対人関係なんです。

 患者さんがよく、 感情のジェットコースターという 表現を使う。

 それに 家族も巻き込まれて苦労します。

 見捨てられる不安や 怒りの感情に押し流されて、 とことんいってしまう。

 それで自傷行為をしたり、 空虚感, 虚無感,

 生きていてもしょうがないという 気持ちを抱き続けます。

 原因の解明は不充分ですが、 次々と新しい知見が 明らかになっています。

 脳の機能異常が 反映しているのではないか、とか。

 逆に、 社会・ 文化的な要因も 関与しているのではないか。

 例えば、 先進国にはあるが 発展途上国にはない、

 都市部には多いが 農村部には少ない。

 無視してならないのは 養育環境です。

 ストレスが多い 養育環境に育つと、

 病気になりやすいという 知見も明らかになっています。

 20~30代に多いのは、

 その頃には 衝動的な行動に走りやすい 傾向があるからです。

 40~50代になると、 落ち着いてくることが期待されます。

 もちろん、 治療によって もっと早く良くなる人も いらっしゃいます。

 アメリカの研究では 人口の1~2%と言われていますが、

 日本でも同じくらいの発症が あるだろうと考えられています。

 私たちの病院では 患者さんの数は、

 自傷行為や自殺未遂の数と 軌を一にして増えています。

 患者の身近な人たちは、

 患者のジェットコースターから降りるということが 正しい方向だと思います。

 簡単にはできませんが、 患者も家族も、 冷静さを取り戻すトレーニングをするとか、

 ひとつの見方をしたら 別の見方もすることを 習慣づけていくことで、

 だんだん回復していく。

 家族の協力があると、 患者の回復も早いと思います。

〔 NHK 「クローズアップ現代」 より 〕

(次の記事に続く)
 
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若い世代の自殺を防げ ~ 境界性パーソナリティ障害 (3)

2011年03月06日 18時45分08秒 | 「BPD家族会」
 
(前の記事からの続き)

 境界性パーソナリティ障害と若者の自殺に、

 深い関わりがあることが 分かってきました。

 東京都立松沢病院・ 林直樹医師の調査です。

 自傷行為や自殺未遂で、 1年間に入院した 150人を診察したところ、

 およそ60%が 境界性パーソナリティ障害でした。

 その全てが 20~30代の若い世代でした。

 退院後の追跡調査では、 患者の10%が 自殺で亡くなっています。

 退院から2年以内に 再び自殺しようとした再発は、

 うつ病や統合失調症では 35%、

 それに対し 境界性パーソナリティ障害では 67%に上りました。
 

 19才だった香枝子さんは、 境界性パーソナリティ障害と診断されていました。

 高卒後、 第一希望の会社で 働き始めましたが、

 3ヶ月後、 突然気分が落ち込み、 職場へ行けなくなりました。

 休職し、 週に1度 精神科に通院していましたが、 症状は重くなる一方でした。

 広い砂漠に たった一人 置き去りにされたような、 絶望感に襲われていたのです。

父親 「死なせてほしいと、 泣きながら叫ぶことがありました。

 死にたいではなくて、 死なせてほしいと。

 娘が眠りに就くまで、 妻はベッドに付き切りの 日々でした」

 次第に感情のコントロールが できなくなっていった香枝子さん、

 自殺で亡くなったのは 発病から1年後でした。

父親 「遺書には 『ごめんなさい』 って。

 何も謝ることはないのにね ……。

 これ以上生きていたら、 自分がどうなってしまうか 分からないということが、

 心の中にあったんじゃないかと ……」

〔 NHK 「クローズアップ現代」 より 〕

(次の記事に続く)
 
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若い世代の自殺を防げ ~ 境界性パーソナリティ障害 (2)

2011年03月05日 20時45分01秒 | 「BPD家族会」
 
(前の記事からの続き)

 かおりさんは、 常に自分を見てほしい という思いが強く、

 母親から離れられない 時期もありました。

 かおりさんのお母さんは、

 何気ない一言が引き金になり、 感情を高ぶらせるかおりさんに 翻弄されてきました。

 買い物帰りの 車の中でのこと。

 楽しそうに はしゃぐかおりさんに、

 お母さんがからかうつもりで  「わざとやっているの ?」 と言った途端、

 かおりさんは突然 怒りを爆発させ、 「私が邪魔なんでしょ !」 と叫びながら、

 シートベルトで 自分の首を絞め始めたのです。

お母さん 「何でこんなことをするんだろう ? 

 どうしたらいいんだろう?  分からなかった。

 ガラスを割ったこともあるし、 熱湯を 自分の手にかけてしまったりとか ……」

 突如として沸き上がる 怒りの感情に、 かおりさん自身 戸惑ってきました。

 日記には、 「愛してほしい」 「離れて行かないで」

 「感情をどうしたらいいの」 「助けてください」 などと 綴られています。

かおりさん 「生きてる価値がないと思う。

 自分がいなくても、 何か変わることがあるのかと 考えると、 ないわ ……」

お母さん 「私なんかいないほうがいいんでしょ、 という言葉を聞くと、

 涙も出てくるし、 胸が潰れてしまいそうになりました」

 
 かおりさんは週に1度 病院に通い、 医師の診察と カウンセリングを受けています。

 社会とつながりを持ちたいと、 アルバイトも始めました。

かおりさん 「1%理解してくれる人が 100人いたら、

 100%ということじゃないかと、 ちっちゃい希望を持ってる」

〔 NHK 「クローズアップ現代」 より 〕

(次の記事に続く)
 
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若い世代の自殺を防げ ~ 境界性パーソナリティ障害 (1)

2011年03月04日 21時28分12秒 | 「BPD家族会」
 
 3月3日の 「クローズアップ現代」 で放送された、

 パーソナリティ障害の番組の 内容を紹介させていただきます。

 「おはよう日本」 と同じく、 自殺に焦点を当てた 切り口でした。

( いつもの国谷裕子キャスターでは ありませんでしたね。 (^_^;))

--------------------------------------

 自殺者が13年連続で 3万人を超える日本。

 なかでも このところ深刻なのが、 20~30代の 若い世代の自殺です。

 その数は この1年間で7836人。

 過去最悪の水準が続いています。

 若者の自殺の 多くに関係しているとして 注目されているのが、

 境界性パーソナリティ障害という精神疾患です。

1. 見捨てられることへの不安

2. 激しく変化する感情

3. 衝動的な自傷行為

 これまで 性格の問題として片付けられ、

 どのような病気か 知られてきませんでした。

 この病気を もっと知ってほしいと、 患者と家族が 取材に応じてくれました。

 かおりさん (仮名・19才) は 2年前、

 境界性パーソナリティ障害と診断されました。

〔 本人と母親が 素顔を出して登場しています。 〕

 きっかけは9年前、 小学校5年生の時でした。

 学校で 友だちの輪に入れなくなり、

 辛い気持ちに気付いてほしいと、 カッターで 手首を傷つけるようになりました。

 かおりさんのカルテには、 「見捨てられ不安が強い」

 「調子の落差が激しく、 予測が困難」 などと記され、

 「境界性パーソナリティ障害」 と診断されました。

 かおりさんは 言葉にできない 不安に襲われるたび、

 手首や腕を 自ら傷つけてきました。

 これまでに縫った傷口は、 300針を超えています。

かおり 「なんか、 切ったら、 不安が取れる。

 一時的だと分かるけど、 はまってしまってやめられない」

〔 NHK 「クローズアップ現代」 より 〕

(次の記事に続く)
 
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☆ 緊急告知 ☆  「クローズアップ現代」 でBPD放送

2011年03月03日 08時34分13秒 | 「BPD家族会」
 
 本日7:30pm. NHK 「クローズアップ現代」 で、

 BPDの番組が放送されます。

 以前NHK 「おはよう日本」 の中で、

 BPDのコーナーを 担当した方が 制作したものです。

(http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/61140701.html )

 「おはよう日本」 では 10分足らずのコーナーでしたが、

 今度は 30分の番組全体で扱っています。

 「クローズアップ現代」 で取り上げられることは、 大きな意義があると思います。

 この番組は視聴率も高く、 問題意識を持った視聴者が 見るでしょうから、

 より多くの人に 正しく理解されることを 期待したいものです。

 番組の一部で、 僕も参加している  「BPD家族の会」 のことも紹介されます。

 参加者はプライバシー保護のため、 全員映像処理をされています。

 (いずれ関係者や BPD本人の方も、

 素顔を出して 放映できる時代が 早く来てほしいと思います。)

 こうして少しずつ、 BPDのことが 広まっていってほしいと願うばかりです。

 是非  「クローズアップ現代」 をご覧になってみてください。
 
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NHK 「おはよう日本」 / 「境界性パーソナリティ障害」 (8) -- 感想 (3)

2010年10月28日 20時55分59秒 | 「BPD家族会」
 
(前の記事からの続き)

 例えば、 次のような表現も、 もっと細心の注意を 払って欲しかったと思いました。

(編集に口を出すことになってしまうし、

 BPDは大変なものなのだということを 言いたかったのかと思いますが。)

>  発症の原因も はっきりしないということもあり、

>  今のところ 治療に効果のある薬もない というのが現状です。

 「薬もない」 と言ってしまうと、 見る人に ネガティブな印象を与えてしまいます。

 そのあとで  「心理療法がある」 ことを 言っているのですが、

 例えば このふたつを離すのではなく、

 「薬はないが、 心理療法がある」 とくっつけて 言って欲しかったと思います。

 最初に  「薬はない」 と聞いた視聴者の マイナスの印象は、

 残ってしまうのではないでしょうか? 

 あるいは、 「今のところ薬では、 根本的に治すことはできませんが、

 感情を落ち着かせるなどの 対症療法はできます」 というように、

 プラスの情報を送ってほしいのです。

 とにかく少しでも 誤解や偏見を生まないため、

 草分けの報道は 慎重の上にも慎重を期す 必要があると思います。

 ちなみに、 発症の原因 (ランディ・クリーガー氏によれば 「リスク因子」) は、

 幾つかはっきりしています。

 先天的な脳の気質 (物理的および化学的)、 養育環境、

 個人的な体験、 時代や社会の影響など、

 それらのうち 幾つかが組み合わさって、 BPDが発症するとされています。

 それも短時間の放送で 詰め込むことができなかったのかもしれません。
 

>  若年層の自殺を考えるうえで、 境界性パーソナリティ障害を頭に入れて、

  対応対策を考えていく 必要があると思います。

 これは今まで 公に言及されたことがなく、

 僕は常々 考えてほしいと思っていたので、 とても大切なことです。

 ぜひ次回の番組では、 また別の切り口で BPDを描いてほしいと思います。
 
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NHK 「おはよう日本」 / 「境界性パーソナリティ障害」 (7) -- 感想 (2)

2010年10月27日 21時20分27秒 | 「BPD家族会」
 
( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/61244591.html からの続き)

 自殺を切り口として取り上げるのなら、 何故 自殺行為をしてしまうのか、

 本人の苦しみが伝わるように 描ければよかったと思います。

 ただそれも 短時間では難しいことかもしれません。

 あと、 小さいことですが、 気になった点を 幾つか挙げてみます。

(決して批判ではなく、 BPDを より良く理解してもらうための 進言です。)

>  特徴は大きくふたつです。

>  ・見捨てられ不安

>  ・依存と攻撃

>  (米国精神医学会の診断基準)

 米国精神医学会の診断基準 DSM-Ⅳ-TRの中には、

 「依存」 「攻撃」 という 言葉はありません。

 BPDの 一番の特徴は何かというと、

 専門家によっても 意見が異なっています。

 見捨てられ感、 衝動性、 感情調節障害、 感情・思考の偏り、 など。

 依存と攻撃は、 BPDの根本にあるものの 結果として、

 現れるものではないでしょうか? 

 例えば、根本に 「見捨てられ感」 があるから  「依存」 してしまう。

 「感情調節障害」 があるから  「攻撃」 してしまう、 というように。

 もっとも番組では  「特徴」 と言っているのであって、

 根本とは言っていないので、 間違いではないでしょう。

 ただ、 「依存」 「攻撃」 という言葉は、

 ネガティブな (悪くすればストーカー的な)  印象も与えてしまうため、

 もっと吟味してもらえたら 良かったのだがと思います。

 BPDは 誤解・ 偏見を非常に受けやすいから、 それを極力排除するには、

 最初はできうる限り、

 理解・ 共感しやすい表現をしたほうが いいのではないかと思うのですが。

(次の記事に続く)
 
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NHK 「おはよう日本」 / 「境界性パーソナリティ障害」 (6) -- 感想 (1)

2010年10月25日 21時08分12秒 | 「BPD家族会」
 
(前の記事からの続き)

 全体的には、 境界性パーソナリティ障害を知ってもらいたいという

 真摯な姿勢が感じられる 作りだったと思います。

 ただ、 「若い世代の自殺」 という タイトルで始まり、

 それを軸に 進めていく構成は、 最初 違和感を覚えました。

 確かに BPDの自殺 (またはそのそぶり) は 重要な問題ですし、

 PTBは その診断基準の中に、 自殺行動が含まれている 唯一の疾患です。

 近年の自殺者増加の中で、 BPDが原因の自死は 今まで言及されたことがなく、

 そういう点は 意義があると思います。

 けれども自殺は BPDの一面でしかなく、 それを中心に据えるのは、

 BPD = 自殺という印象を 視聴者に与えはしないでしょうか? 

 とはいえ、 ごく短い放送時間で、

 一般の視聴者に 関心を持って 目を向けてもらうための  「切り口」 として、

 馴染みのない 「境界性パーソナリティ障害」 を 唐突に持ち出すより、

 若者の自殺対策という観点で 取り上げた方がいいと 考えたのかもしれません。

 結果はどうだったのでしょうか? 

 とにかく今回は あくまで第一歩。

 最初は 関心を持ってもらうことが大事で、

 広く深く伝えていくには、 長い時間が必要です。

 長期的な目で見て、 一足前進したことを 喜ぶべきでしょう。

 NHKの担当記者は 引き続き取材を進め、

 次は もう少し大きい枠で 作りたい意向のようです。

 これからも少しずつ 取り上げていってほしいと望んみます。

(続く)
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/61251651.html
 
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