緊急時の防衛出動を電話閣議で可能とする方向で、法整備が検討されているが同感である。
現在、防衛出動は閣議決定事項であるが、緊急な場合は持ち回り閣議による決定も可能として緩和運用されている。このことは、外交交渉が破綻し、相手国からの宣戦布告が予想される等の正規戦を想定したものであろうが、大東亜戦争以後70年間《宣戦布告を伴う戦争》は起きていない。数多く生起した紛争においてもフォークランド紛争以外、《予兆はあったであろうが、まさか》という奇襲で紛争は始まっており、事前準備などできる状態ではない。まして、防衛出動待機命令は相手国に誤ったシグナルを送ることが懸念されるのみならず、情報・通信手段の発達した現在では対象国に手の内を見せるだけのものでしかない。奇襲攻撃への対応は時間との戦いで、出動の可否を速やかに行うための手続きとして電話閣議による決定はぜひ実現させてほしいと考える。
この際、重要なことは通話内容の秘匿であろう。閣僚間の通信手段がどうなっているか知らないが、秘話装置つきの通信手段が整備されているのだろうか。対象国は、おそらく関係閣僚の有線・携帯電話は傍受するであろうし、暗号化ソフトによるメールも解読するであろう。法整備に併せて、通信インフラ整備と閣僚の防諜意識強化をも希望するところである。