もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

島嶼防衛の兵力整備

2015年02月15日 | 社会・政治問題

 昨日は、自衛隊出動に対する電話閣議について考察した。

 電話閣議で迅速な決断がなされた場合、次に必要なのは防衛兵力の展開である。特に、島嶼防衛では海上自衛隊の初動対処と輸送能力が大きな課題となる。小部隊の急速展開は陸自のヘリボーンで可能であろうが、規模は小隊規模程度にとどまり、銃器・弾薬・食糧などの常続的な兵站は維持し得ない。空自の対地支援も敵上陸の牽制しか行い得ないだろう。常続的な海上封鎖・上陸阻止・兵站は海上自衛隊の艦艇が担うこととなる。明治中期、対ロシア戦備のための陸軍予算を海軍予算の流用をもって解決しようとした内閣に対し、海軍大臣は『優秀な陸軍工兵が対馬から橋梁を掛けて海峡を渡るなら結構』と述べバランスの取れた戦備に落ち着いた故事もある。えてして直接戦闘にのみ意を用いられがちであるが、バランスの取れた兵力整備を期待するとともに、海自でも準備おさおさ怠りないものと思うがさらに万全を期して欲しいと考えるところである。

 米海軍は、第4艦隊という乗員の訓練を主とした部隊が本土に置かれており、訓練した乗員を7艦隊等の実動部隊に送り出している。戦艦大和の出撃にも、少尉候補生と海兵団を修了したばかりの新兵が乗艦することとなっていた。艦艇の修理と乗員の交代は止むを得ないものであろうが、虚を突かれることのない体制作りをお願いするものである。