もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

CIAの通信手法崩壊に思う

2018年01月28日 | 軍事

 CIA協力者(情報提供者)の通信手法が中露によって解明され、CIAのスパイ網が大打撃を受けているらしい。

 解明の発端はCIAの現・元職員による漏洩であり、その結果、中露国内のCIA協力者が相次いで拘束または行方不明となっているそうである。通信手法(情報の受け渡し法)は映画等では巧緻かつ複雑なものと描かれているが、今回解明された手法は極めて初歩的かつ幼稚なものであったとも報じられている。そのことはさておき、今回の事案は、防諜の根幹は諜報に関わる人の防諜意識や使命感であることを改めて教えてくれる出来事である。利によって誘った敵中枢の内報者によって内部崩壊を図ることは昔から存在し、内通者の裏切りや離反で強力な軍団や有意な改革が自滅・自壊・頓挫した例は数知れない。武田信玄は自領に強固な城郭を築くことなく信濃を統治・防衛したが、いみじくも「人は石垣・人は城」と喝破して、組織を守るためには堅牢な城(ハード)よりも家臣の忠誠・団結(ソフト)こそが重要としている。しかしながら、裏切りの主因が「利」であった中世、「資本主義・共産主義」であった20世紀はまだ防諜が比較的容易であったが、現在ではウィキリークスによる内部告発や前川喜平氏の行動に代表されるように「独りよがりの価値観・正義感」が主因であるように思えるので、完全な防諜は極めて困難であると思う。

 日本にも特定秘密保護法や公務員の倫理規定により情報漏洩の罰則が定められているが、罰則だけでは十分ではないように思える。諜報に関わる人のみならず全ての国民に対して、国家/国民の保全と安寧を保つ思考と行動を学校教育に盛り込む時期に来ているのではないだろうか。