国際環境経済研究所理事の竹内純子氏の論を読んだ。
原発と再生可能エネルギーの相関に関して、今まで自分は現在の電力需要を基に推論を重ねてきたが、少子化という要素を考えていなかったことを竹内氏は教えてくれた。氏は「全国6割の地域で2050年には人口が半分になり水道・道路等のあらゆるインフラが維持困難になり」、「送電網も例外ではない」と述べている。昨年の人口移動報告に依れが東京圏への転入者が転出者を11万人上回っており、政府が努力する地方創生が思ったほど効果を発揮していないことと併せて考えれば、地方の人口減少は更に加速度的に進行することと思われる。65歳以上の住人が50%を超える限界集落以上に区分される地区にあっては電力を含む公共料金収入がライフラインの維持費をはるかに下回っているものの、都市部の住民が差額を補填している現在の構図すら立ち行かない状況に陥ることは想像に難くない。インフラ維持が頓挫してしまえば、電気がない集落が現れることすら想像される。救済策は限界集落の住民を意に反してでも都市部に移住させるか、住民がインフラ維持を自己負担するか、再生可能電力を利用した自給自足に頼ることとなるのだろう。エネルギーの需給を小さなコミュニティに完結すればインフラも小規模なものとなりインフラ整備の破綻から逃れられるかもしれないが、短期間で限界集落が廃集落となった場合はすべての投資と努力が無に帰してしまう。都市部の電力需要は高い水準を維持する傍ら、人口減少の地域では需要が減少し続ける状態は少子化が解消されるまで続くのだろう。
電力を含むライフラインの維持について、公共という概念を捨てて経済原則に任せるのか、高負担に耐えてでも互助を目的とする公共精神を持ち続けるのか。究極の選択を迫られる日も、そう遠くない将来にありそうである。自分も、原発問題に少子化の要素を投影させた上で、改めて考えてみたい。