台湾の蔡英文総統が、日本に対して安保・サイバー対処の対話を呼びかけた。
蔡英文総統の主張するところは、台湾と尖閣諸島が中国の海洋進出を扼する位置にあるという地勢的な共通点に基づく安保協力と、昨年行われた台湾の統一地方選挙に対して中国が行った干渉が将来日本にも行われる危険性があるとの懸念から、サイバーテロ対処協力が必要ということである。さらに根底には、1972(昭和47)年の日中国交正常化を機に台湾と断交断絶した以降、両国政府間の公式な関係は断絶しているが中国の急激な膨張政策に対抗して台湾が西側陣営に留まるためには日本との協調が不可欠と判断したものと思う。アメリカは、台湾との国交断絶状態であるにも拘らず、台湾旅行法を発効させて政府間交流の路を構築し、軍事的には最新装備の売却や台湾海峡自由航行作戦を行って、台湾を中国の膨張抑止のための事実上の重要国家としている。日台の政府間協力は対中政策との兼ね合いから困難な面もあるが、何らかの協力関係を模索して欲しいと願うものである。本日は、改めて台湾の歴代総統を眺めて、中台関係と統一に対する台湾国民の意識の変遷を勉強することにした。
歴代総統と事績を列挙すると、1947~1975年 蒋介石(中国国民党:国共内戦に敗れ台湾に逃れて建国)、1975~1978年 嚴家淦(中国国民党:蒋介石死去に伴う繋ぎ総統)、1978~1988年 蒋経国(中国国民党:蒋介石の長男、豊かな時代を導いた実務派。総統の世襲に幕引き)、1988~2000年 李登輝(中国国民党:初の民選総統、日本で高名)、2000~2008年 陳水扁(民主進歩党:積年の国民党支配からの脱却を目指して台湾の正式名称化を目指すもスキャンダルの方が有名)、2008~2016年 馬英九(中国国民党:安易な中国寄り政策で国民党大敗の元となる)、2016~現 在 蔡英文(民主進歩党:?)となる。中国国民党は李登輝氏までは台湾による中国統一を標榜していたが、馬英九氏に至り中国による統一・1国2制度の容認に変質して一敗地にまみれ国民党解体も取りざたされている。民主進歩党は台湾独立を主張しており、一旦は陳水扁時代のスキャンダルで国民の支持を失ったが、中国の1国2制度を危険視する新世代の抬頭と大陸出身世代の減少によって今後の台湾政治の主流になるのではと考えている。
主題に戻れば、中国の新植民地主義と海洋進出を阻むためにも、日台の連携は欠かせない要因であると思う。中国の攻勢によって数少ない友好国から相次いで国交断絶を通告されて四面楚歌の台湾。台湾開発に心血を注いだ先人の努力を無にしないためにも、はたまた、日本独自外交の出発点として、台湾との政府間協力のみならず、台湾国を承認しても良いのでは。