もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

アイヌ新法とアイヌ民族を学ぶ

2019年03月28日 | 歴史

 政府が今国会で成立を目指しているアイヌ新法、特にアイヌ民族とアイヌ差別の実態について全く知らないので勉強した。

 アイヌ新法(案)提出の背景は、2008年以降に国連の人種差別撤廃委員会が日本政府に対して「アイヌ民族と琉球民族を先住民族と公的に認め、文化・生活様式・土地・天然資源に対する権利を保障するよう」、複数回にわたって勧告したことが発端であるが、政府は「アイヌ民族は先住民として認めるが、琉球民族は存在しない」を正式見解としていると理解した。その延長上に準備されたアイヌ新法案では「アイヌの人々の誇りの源泉であるアイヌの伝統及びアイヌ文化が置かれている状況に鑑み、アイヌ文化の振興並びにアイヌの伝統等に関する知識の普及および啓発を図るための施策を推進することにより、アイヌの人々の民族としての誇りが尊重される社会の実現を図り、あわせて我が国の多様な文化の発展に寄与することを目的とする」とされており、アイヌ文化の維持と振興のための交付金(アイヌ文化の継承や振興を目的として市町村が行う事業は政府負担)制度創設、祭具として使用する林産物の国有林での採取や、河川での伝統的なサケ漁の許可等が盛り込まれており、具体的には博物館の建設等が模索されているようであるが、個人の財産権の保障・補償は盛り込まれていない。アイヌ民族とはどのような民族だろうかと調べてみると諸説あるようであるが、《南方系の縄文人、北方系の弥生人という「二重構造説」で知られる埴原和郎氏が唱えた「アイヌも和人も縄文人を基盤として成立した集団で共通の祖先を持つが、本土人は、在来の縄文人が弥生時代に大陸から渡来した人々と混血することで成立した一方、アイヌは混血せず、縄文人がほとんどそのまま小進化をして成立した。アイヌは大和民族に追われて本州から逃げ出した人々ではなく、縄文時代以来から北海道に住んでいた人々の子孫》というのが定説であるらしい。一方、アイヌ民族は現在何人いるのだろうかと調べてみると全く分からないが、既に純粋なアイヌ人や純粋にアイヌ人の生活様式で暮らす人は存在していないのは明白で、アイヌ族とされるのは2013年に北海道が実施した「アイヌ生活実態調査」で66市町村に16,786人というのが唯一の数字らしきものであった。北海道アイヌ協会にあっても、会員の要件は①アイヌの系譜を持つ人②系譜を持つ人の配偶者③系譜を持つ人の養子の3点で、系譜を持つかどうかは戸籍に基づいて協会が認定しているとしているが、自民党の青山繁晴参院議員が伝聞によるとしながらも「北海道アイヌ協会員で本当にアイヌの血を引く方は2割くらいしかいない」と発言しているように、会員の中には外国人・左翼活動家・明らかな補償目当ての人、等が混在しており、純粋な少数民族の代弁機関ではない一面をも有しているようである。アイヌ民族の定義が曖昧・未確定な状況であるが、言語学的には東北地方に残る”マタギ”や””イタコ”もアイヌ語に由来するとされることから、北海道アイヌ協会の定義を借りるならばアイヌ民族の系譜ははるかに拡大してアイヌ民族は優に百万人を超えるものではないだろうかと思える。

 文字を持たない被抑圧民族の歴史を検証することはともかく、現在におけるアイヌ民族迫害の事実は知ることができなかったが、地域社会では村八分やいじめがあったであろうことは想像に難くない。アイヌ新法が『アイヌ民族が胸を張ってアイヌ民族と主張できる社会の創生』に寄与するものであるとともに、アイヌ民族が朝鮮族のような”物貰い民族”に堕落しないようにアイデンティティを高く維持し続けて欲しいと願うものである。

 昨日の口説で、新元号発表を5月1日と書いてしまいました。まさに汗顔の至りでありますが『ヤヤ痴呆』に免じて御容赦を!。