大阪府泉南市議の発言に興味を持った。
発言は、泉南市が抱える4人の国際交流員(CIR)のうちの1名が中国人であることに対して、市議が議会の一般質問で「準公務員の性格を持つCIRに、国家情報法の支配下にある中国人は如何なものか」と述べたとされている。
この発言に対して、市長・教育長が議長に国連人種差別撤廃条約やヘイトスピーチ解消法に照らして「市民の憎悪と差別を扇動する発言」と抗議し、議会も違法な諸手続下で「議員に謝罪及び反省を求める決議」を可決した。
CIRを知らなかったので、一夜漬(実質30分)で調べてみた。
事業母体は、総務省・外務省・文科省が協力して行う外国青年招致事業(JETプログラム)の受け皿である一般財団法人自治体国際化協会(CLAIR)である。CLAIRは、地方公共団体の協同組織として昭和63年7月に設立され、自治体からの要望に応じて、地域の国際化を支援・推進するための人員の確保(外国からの招致)や派遣をしており、国際交流員(CIR)、外国語指導助手(ART)、スポーツ国際交流員(SEA)の斡旋を任務としている。
また、JETプログラムに対する監督省庁の主張をHPで眺めると、
・総務省-国別の招致人数を定めた国別招致計画を策定。参加者の報酬、旅費等JETプログラムの所要財源を地方交付税で措置
・外務省-参加者の募集・選考の業務、合格者の配置先の報告
・文科省-学校でのカリキュラムを製作し、教科書や教育の基準を決定。となっている。
更に、CLAIRの財務報告を見ると、事業経費40億円の大半が公的資金である。
このことを前提に市議の発言を眺めると、国際交流員(CIR)を準公務員と看做すのは妥当で、であるならば、国家情報法の支配下にある中国人をCIRとすることに不安を感じる市民の意見を代弁したとする市議の主張は適切と観るべきではないだろうか。
中国が橋頭堡として確保した「軽易な一歩」を時間を掛けて拡大し、何時しか既成事実・実効的事実とする常套手段は尖閣水域で現在進行形として示されている。当初「中国漁船の海難対処のための海警局所属公船の一時的行動」としていたものが、現在では中国海軍海警部の大型艦の常続配備となり、更には目的も日本漁船の違法操業監視・排除に拡大している。
地方議員と雖も議場における発言を懲罰的に封じることは許されず、ましてやCIR配備を中国の公安部がどのように位置付けているのか、軽易な一歩の橋頭堡としているのではないかが不明な現在、市議の発言を杞憂、あり得ない暴論として糾弾することはあってはならないように思う。
個人情報の過度・偏重な保護が迅速な行政手続きを阻害していることはコロナ禍で明らかとなったが、人権保護・ヘイト禁止の盲目的単眼で本来自由であるべき言論、それも議場の討論さえ封じることは全体主義の典型的な兆候以外の何物ではないように思える。
ここにも「日本定説病」の初期症状の一つが顕在化と嘆いて、口説終了。