改めて立憲民主党の閣僚名簿を眺めてみた。
立民のネクストキャビネット(以下:NC)設置は、8月26日の新執行部発足に際して代表が提唱したものであるが、9月13日の閣僚名簿発表(組閣完了)までに18日間を要したことを見ると、立民の本気度の無さと人材不足を露呈したものであるように思える。
発表されたNC閣僚は泉総理を含め13名であり、秋にも開催が見込まれる臨時国会で岸田内閣の閣僚と論戦を交わすとしているので現在猛勉強中であろうと期待しているが、NC閣僚中5名が党務を兼務していることを見ると、かっての民主党影の内閣と同様に竜頭蛇尾の終幕も見え隠れしている。
NC泉内閣で危惧されているのは、防衛大臣が置かれずに外務・安全保障大臣となって、外務・防衛を兼務させていることである。このことは、参院選の公約で、防衛という言葉を「生活安全保障」という内容の無い表現に言い換えることで、防衛の先鋭化・軍事費の突出を防ぐ「ソフトな政党」を演出して大敗したことと無縁ではないように思っている。
外交と国防を別人が担当するのは世界の常識で、外国との軋轢に関して外相は「交渉」を、国防相は最適な軍事オプションの規模と時期を、という相反する選択をトップに進言するという役割が求められているからに他ならない。大東亜戦争開戦に至る歴史を眺めてみても、対米交渉担当の外務省と好機を逃すまいとする陸海軍省のせめぎあいであることが理解できる。さらに、戦争末期に東条首相が外相・陸相・法相まで兼務したことで、全てに遅滞して有効な戦争指導ができなかった例もある。
NC泉総理は、「単なる担当の分担で、現存省庁の改編・改組を意味しない」としているが、二省の任務・事務を一人で統括することは不可能である以上に「正常なシビリアンコントロール」を損なうとともにタイムリーな軍事力行使を阻害することに繋がると思う。このことは、アフガンからの邦人輸送に際して、防衛省が直ちに派遣準備に着手したのに比し、外務省は近隣諸国配慮から自衛隊機の派遣を躊躇して、まず民間機の派遣を、次いで米・英軍に輸送を依頼したが、いずれもが嘲笑を伴なって拒絶され、ようやく空自機がパキスタンのカブール空港に到着した時には、韓国は救出を完了してソールに帰還していた苦い経験をしたばかりである。
NCの外務・防衛兼務の一事を以って、同党の「政権担当能力の欠如」を指摘する識者は多い。自分は政権担当能力云々の前に、行政を知らない、特に軍事知識に至っては皆無であると云いたい。
なにはともあれ、立憲民主党は国際感覚と国際情勢から遊離しており、政権担当能力と実行力は無いように思える。
以下、NC閣僚名簿を参考(自分の忘備録として)に書き留める。
総理大臣 泉健太、内閣官房長官 長妻昭(党務兼務)、内閣府担当相 杉尾秀哉(党務兼務)、総務相 野田国義(党務兼務)、法務相 牧山弘恵、外務・安全保障大臣 玄葉光一郎(党務兼務)、財務金融相 階猛、文科省 菊田真紀子、厚労相 早稲田夕季、農水相 金子恵美(党務兼務)、経産相 田嶋要、国交・復興相 小宮山泰子、環境相 近藤昭一