大阪府の富田林署で拘留中の容疑者が面会室から逃亡した。
原因は、接見室のアクリル製間仕切りが脆弱であったこと、面会者側ドアを警戒すべき監視員が休日シフトのために配置されていなかったこと、監視員に代わる警報ブザーの電池が抜かれていたこととされている。富田林署の不手際と断じるのはたやすいが、根底には日本の現状と近未来の問題を端的に示していると思う。警戒員が配置できなかった背景には、働き方改革等に見られる労働環境改善(労働時間短縮)の速度に作業規律が追い付けないことと、住民サービス強化が求められるための正面(目に見える作業現場)に人手を取られ後方部門が手薄になっていることが挙げられると思う。警報装置の不使用については、人手不足を補完するための装置の必要性に対する作業員の意識改革が遅れていることが原因と思はれる。管理者は人手不足を機械に置き換えることで解決しようとするが、十分な人手の下で勤務した経験者は装置の必要性が理解できず、かつ新装備機器の操作に忌避感を持つために装置自体が宝の持ち腐れになっている例は枚挙にいとまがない。新しいサービス体系、新しい装備、新しい働き方、それらを導入する場合、最も必要なことは、社会の変革に対応できなければ現代社会を生き抜くことができないという労働者の意識改革ではないだろうか。
武田節は信玄公の遺訓を「人は石垣、人は城」と謳い、防衛のみに留まらず諸事の根幹は「人」にありとしている。少子化による労働人口の減少とAIの発達は今後も、いろいろな場所で、いろいろなケースで顕在化して、無機質な社会がくる日も近いと思う。技術の進歩に歩調を合わせた教育とともに、人間性の教育が必要な時期に来ていると思う。
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