採用検討 生徒「働けそう」
文具・事務用品大手のコクヨ(本社・大阪市)など三つの企業グループが連携し、今夏、埼玉県内の特別支援学校に通う知的障害を持つ生徒を対象に、職場で実際に仕事を体験してもらうインターンシップを行った。(秋田穣)
不景気で障害者の雇用情勢も厳しい中、学校関係者は今回の試みを歓迎。参加した企業側も「知的障害を持つ人の雇用を検討するきっかけになった」と評価しており、今後の採用計画などに生かしていく構えだ。
■新たな自信
「会ったばかりの人と一緒に仕事をしなければいけないことも多い。初対面でも職場の人と話せるようにしてください」
8月上旬、JR品川駅近くにあるコクヨグループのコクヨマーケティング本社(東京都港区)食堂。同社で1週間のインターンを終えたさいたま桜高等学園(さいたま市)の長瀞陽一さん(16)ら2年生2人は、人材開発部の担当者からこんなアドバイスを受けていた。
同校は県立の特別支援学校で、知的障害を持つ生徒約220人が通っている。インターン中、2人はパソコンの表計算ソフトを使った名刺の入力、ファイルや取扱商品カタログの整理、テープライターによるシール作成などを行った。スーパーの商品陳列などの経験があり、オフィスで働いてみたかったという長瀞さんは、「慣れないことも多かったが、オフィスで働けると思った」という。大手企業での就業体験が、新たな自信となったようだ。
■社員にも刺激
知的障害者のインターンを企画したのは、コクヨ、クレディセゾン、帝人の3企業グループ。過去にも採用活動で連携した実績があるという。今回は、コクヨマーケティング埼玉支店(さいたま市)が、さいたま桜高等学園に机などの備品を納入していることがきっかけで、企画された。知的障害者のインターンについて、グループを挙げて推進することで企業グループ間での話がまとまり、同校と羽生ふじ高等学園(羽生市)を対象にインターン生を募集した。
その結果、8月中に、コクヨマーケティングが2人、クレディセゾンが1人を、それぞれ都内の本社で受け入れ。帝人は、グループ企業の帝人在宅医療が2人をさいたま市内の支店に迎えた。いずれも、期間は1~2週間に及んだ。
企画したコクヨマーケティングの人見泰正・人材開発部長は、「知的障害への偏見をなくす大変さを知った。賛同する企業を一つでも増やし、障害者の皆さんの活躍ぶりを伝え、社会全体の理解を深められるよう貢献したい」と語る。
クレディセゾンの場合、今年6月現在の障害者雇用率は1・9%だが、すべて身体に障害を持つ人たちだ。同社人事部は、「社内で知的障害を持つ人と働くのは初めてだったが、一緒に働いたチームがまとまり、ほかの社員にもいい刺激になった」と話す。同社は今後も同様のインターンを続けるほか、知的障害者の採用も検討する方向だ。
■就職率は微増
さいたま桜高等学園就労支援室の根岸祐子教諭は、今回のインターンについて、「生徒は大きな自信になった。企業側にも不安があると思うが、大手が受け入れてくれたことで、ほかの企業にも広まり、就職につながれば」と期待する。
県は2007年4月、知的障害を持つ生徒の就職を増やそうと、軽度の知的障害の生徒を対象に、就労率100%を目指して両校を開校した。
特別支援教育課によると、08年度の県内特別支援学校30校の高等部の就職者数は156人。卒業生に占める就職者の割合は25・3%で、06年度の22・8%、07年度の21・7%に比べて増えている。同課は、「知的障害者の雇用について、ここ数年、企業の理解が深まっていることの表れでは」と分析しており、今後の企業の取り組みに注目している。
文具・事務用品大手のコクヨ(本社・大阪市)など三つの企業グループが連携し、今夏、埼玉県内の特別支援学校に通う知的障害を持つ生徒を対象に、職場で実際に仕事を体験してもらうインターンシップを行った。(秋田穣)
不景気で障害者の雇用情勢も厳しい中、学校関係者は今回の試みを歓迎。参加した企業側も「知的障害を持つ人の雇用を検討するきっかけになった」と評価しており、今後の採用計画などに生かしていく構えだ。
■新たな自信
「会ったばかりの人と一緒に仕事をしなければいけないことも多い。初対面でも職場の人と話せるようにしてください」
8月上旬、JR品川駅近くにあるコクヨグループのコクヨマーケティング本社(東京都港区)食堂。同社で1週間のインターンを終えたさいたま桜高等学園(さいたま市)の長瀞陽一さん(16)ら2年生2人は、人材開発部の担当者からこんなアドバイスを受けていた。
同校は県立の特別支援学校で、知的障害を持つ生徒約220人が通っている。インターン中、2人はパソコンの表計算ソフトを使った名刺の入力、ファイルや取扱商品カタログの整理、テープライターによるシール作成などを行った。スーパーの商品陳列などの経験があり、オフィスで働いてみたかったという長瀞さんは、「慣れないことも多かったが、オフィスで働けると思った」という。大手企業での就業体験が、新たな自信となったようだ。
■社員にも刺激
知的障害者のインターンを企画したのは、コクヨ、クレディセゾン、帝人の3企業グループ。過去にも採用活動で連携した実績があるという。今回は、コクヨマーケティング埼玉支店(さいたま市)が、さいたま桜高等学園に机などの備品を納入していることがきっかけで、企画された。知的障害者のインターンについて、グループを挙げて推進することで企業グループ間での話がまとまり、同校と羽生ふじ高等学園(羽生市)を対象にインターン生を募集した。
その結果、8月中に、コクヨマーケティングが2人、クレディセゾンが1人を、それぞれ都内の本社で受け入れ。帝人は、グループ企業の帝人在宅医療が2人をさいたま市内の支店に迎えた。いずれも、期間は1~2週間に及んだ。
企画したコクヨマーケティングの人見泰正・人材開発部長は、「知的障害への偏見をなくす大変さを知った。賛同する企業を一つでも増やし、障害者の皆さんの活躍ぶりを伝え、社会全体の理解を深められるよう貢献したい」と語る。
クレディセゾンの場合、今年6月現在の障害者雇用率は1・9%だが、すべて身体に障害を持つ人たちだ。同社人事部は、「社内で知的障害を持つ人と働くのは初めてだったが、一緒に働いたチームがまとまり、ほかの社員にもいい刺激になった」と話す。同社は今後も同様のインターンを続けるほか、知的障害者の採用も検討する方向だ。
■就職率は微増
さいたま桜高等学園就労支援室の根岸祐子教諭は、今回のインターンについて、「生徒は大きな自信になった。企業側にも不安があると思うが、大手が受け入れてくれたことで、ほかの企業にも広まり、就職につながれば」と期待する。
県は2007年4月、知的障害を持つ生徒の就職を増やそうと、軽度の知的障害の生徒を対象に、就労率100%を目指して両校を開校した。
特別支援教育課によると、08年度の県内特別支援学校30校の高等部の就職者数は156人。卒業生に占める就職者の割合は25・3%で、06年度の22・8%、07年度の21・7%に比べて増えている。同課は、「知的障害者の雇用について、ここ数年、企業の理解が深まっていることの表れでは」と分析しており、今後の企業の取り組みに注目している。