政権交代で誕生した鳩山内閣が始動して1週間余りが経過する中、長妻昭厚生労働相が障害者自立支援法の廃止方針を打ち出すなど、障害者の福祉制度は大きく変わろうとしている。サービスの原則1割負担が重くのしかかっていた、山梨県内の障害者は「現場の声を反映した新しい制度をつくってほしい」と期待する。現行法は衆院に改正案が提出されたまま解散で廃案になった置き去りの案件。当事者や施設関係者は「議論の先送りは、もうやめてもらいたい」と今後の動向を注視、仕組みが次々変わっているため、恒久的な制度の早期設計を求めている。
障害者自立支援法の施行で、障害者がサービスを受けるときの利用料は、所得に応じた「応能負担」から定率で支払う「応益負担」になった。低所得者からは「サービスが利用できない」と批判が相次ぎ、国が負担軽減措置を講じて施設を利用しても現状は上限1500円になっている。
低額とはいえ施設利用料を払うほか、食費も徴収され自己負担がなくなったわけではない。障害者が野菜作りなどに励む事業所「みらいコンパニー」(南アルプス市)の栗原早苗園長は「十分な報酬がない障害者から利用料を徴収するのは、少額でも心苦しい」と胸の内を明かす。
政権交代後、長妻厚労相が自立支援法の廃止を明言、全国で相次ぐ訴訟対応も見直す考えを示すなど、障害者福祉のあり方は今、転機を迎えている。車いす生活をしながら、重度の身体障害者の夫と2人で暮らす甲府市の三村麻理子さん(59)は、制度の見直しを評価しながらも、大胆なコストカットを推し進める新政権に一抹の不安があり、新しい制度の中身が気になるという。「年金暮らしの私たちのような所得の少ない人たちへの配慮は忘れないでほしい」。そう願う毎日だ。
「自立支援法は検討する時間が短く、見切り発車だった」と振り返る県障害者福祉協会の竹内正直理事長は、「新しい制度づくりでは、障害者や施設関係者の意見を十分聞いてもらいたい」と注文する。現行法の改正案が衆院に提出されながら一度も審議されず廃案になったことが頭から離れない障害者や支援団体メンバーも少なくなく、「また後回しにされないか」と心配している。
障害者福祉は、行政が一方的にサービス内容を決めてきた措置制度が2003年度、本人が自由に選べる支援費制度となり、06年度には自立支援法が施行されるなど、制度変更が続いた。甲斐市の事業所「あゆみの家」の戸田美穂所長は、「障害者のことを考えると仕方ないが、制度が変わるたびに、新たな対応を迫られ、振り回された感じもある」と話し、障害者の視点に立った制度の実現を求めている。
障害者自立支援法の施行で、障害者がサービスを受けるときの利用料は、所得に応じた「応能負担」から定率で支払う「応益負担」になった。低所得者からは「サービスが利用できない」と批判が相次ぎ、国が負担軽減措置を講じて施設を利用しても現状は上限1500円になっている。
低額とはいえ施設利用料を払うほか、食費も徴収され自己負担がなくなったわけではない。障害者が野菜作りなどに励む事業所「みらいコンパニー」(南アルプス市)の栗原早苗園長は「十分な報酬がない障害者から利用料を徴収するのは、少額でも心苦しい」と胸の内を明かす。
政権交代後、長妻厚労相が自立支援法の廃止を明言、全国で相次ぐ訴訟対応も見直す考えを示すなど、障害者福祉のあり方は今、転機を迎えている。車いす生活をしながら、重度の身体障害者の夫と2人で暮らす甲府市の三村麻理子さん(59)は、制度の見直しを評価しながらも、大胆なコストカットを推し進める新政権に一抹の不安があり、新しい制度の中身が気になるという。「年金暮らしの私たちのような所得の少ない人たちへの配慮は忘れないでほしい」。そう願う毎日だ。
「自立支援法は検討する時間が短く、見切り発車だった」と振り返る県障害者福祉協会の竹内正直理事長は、「新しい制度づくりでは、障害者や施設関係者の意見を十分聞いてもらいたい」と注文する。現行法の改正案が衆院に提出されながら一度も審議されず廃案になったことが頭から離れない障害者や支援団体メンバーも少なくなく、「また後回しにされないか」と心配している。
障害者福祉は、行政が一方的にサービス内容を決めてきた措置制度が2003年度、本人が自由に選べる支援費制度となり、06年度には自立支援法が施行されるなど、制度変更が続いた。甲斐市の事業所「あゆみの家」の戸田美穂所長は、「障害者のことを考えると仕方ないが、制度が変わるたびに、新たな対応を迫られ、振り回された感じもある」と話し、障害者の視点に立った制度の実現を求めている。