河北新報社が全国の遷延性意識障害者の家族を対象に行った調査からは、偏見や社会の理解不足に8割以上の家族が苦しむ実態が明らかになった。7割以上が「『植物状態』と呼ぶのはやめてほしい」と訴えている。
遷延性意識障害に対する社会の理解不足を「大いに感じる」とした家族は49.0%、「ある程度感じる」は35.7%に上った。
治療や介護などをめぐり、74.3%の家族が「医師や看護師、行政職員らの言葉や態度に傷ついたことがある」と回答。医師から「回復の見込みなし」「リハビリは無駄」などと断定的に言われたという例が多い。「医療費の無駄遣い」(埼玉、50代女性)「病院の在院日数の成績が悪くなるから転院してくれ」(神奈川、50代女性)といった言葉を浴びせられた家族もいた。
看護師や介護士らに、患者本人の前で「どうせ動かないんだから」などと言われたり、声も掛けずに患者を物のように扱われたりした、との回答も複数あった。
「植物状態」という表現に対しては、「絶対に呼ばないでほしい」が35.3%、「できれば呼ばないでほしい」が39.0%に上った。
その理由は「人間として生きているし、感情もあるので、そう呼ばれることには納得できない」(千葉、50代女性)「医学的には正しいかもしれないが、人格を無視した言葉だ」(千葉、50代女性)などの意見が多数を占めた。「遷延性意識障害という名称が一般に知られていないのが問題。以前、主治医に紹介状を書いてもらったら植物状態と書かれた」(滋賀、60代女性)との回答もあった。
植物状態という言葉が与えるイメージを問題視する声もあり、家族らは「感情があったり改善したりするという事実につながらない表現で、誤解を招く」(東京、50代女性)と指摘している。
◎災害時、要援護登録3割弱/6割以上「制度知らぬ」
震災に関する在宅世帯への調査では、総務省の「要援護者の避難支援ガイドライン」に基づく住所登録制度について、6割以上が制度自体の存在を「あるか分からない」と回答した。2006年のガイドライン策定後5年になるが、災害弱者を守る体制づくりがほとんど進んでいない現状が明らかになった。
要援護者の登録制度は、災害時に高齢者や重度の障害者を行政、町内会、民生委員らが避難支援や安否確認をするため、市区町村があらかじめ名簿などを作成する。総務省は、ガイドラインを基に市区町村に名簿づくりを早急に進めるよう促している。
調査では、所在する市区町村に登録制度が「あるか分からない」との回答が61.3%を占めた。「登録した」は29.0%と3割を下回った。
災害時の避難方法などを盛り込んだ居住地の防災計画の信頼度については「大いに信頼できる」との回答はゼロ、「ある程度信頼できる」も19.4%にとどまった。
「全く信頼できない」は27.4%に上り、「あまり信頼できない」も37.1%あった。公的支援への信頼が極めて低いことを裏付けた。
東日本大震災前後の医薬品や食料、水などの備蓄に関しては、震災前は1日以上~1週間以内の33.9%が最多。震災後は1週間超~2週間以内の30.6%が最も多かった。備蓄日数は1人当たり平均で5.9日増加しており、防災意識の高まりを反映した。
在宅介護を続けるため特に必要なサービス(二つ選択)を震災前後で比較すると、震災後は「緊急対応可能な病院」が11.0ポイント増え33.9%に上った。「近隣住民の理解と協力」も9.9ポイント上昇し11.3%になった。
「介護者なき後の入所施設」は、震災前が50.0%、震災後が37.1%でともに最も多い。
2011年11月24日木曜日 河北新報
遷延性意識障害に対する社会の理解不足を「大いに感じる」とした家族は49.0%、「ある程度感じる」は35.7%に上った。
治療や介護などをめぐり、74.3%の家族が「医師や看護師、行政職員らの言葉や態度に傷ついたことがある」と回答。医師から「回復の見込みなし」「リハビリは無駄」などと断定的に言われたという例が多い。「医療費の無駄遣い」(埼玉、50代女性)「病院の在院日数の成績が悪くなるから転院してくれ」(神奈川、50代女性)といった言葉を浴びせられた家族もいた。
看護師や介護士らに、患者本人の前で「どうせ動かないんだから」などと言われたり、声も掛けずに患者を物のように扱われたりした、との回答も複数あった。
「植物状態」という表現に対しては、「絶対に呼ばないでほしい」が35.3%、「できれば呼ばないでほしい」が39.0%に上った。
その理由は「人間として生きているし、感情もあるので、そう呼ばれることには納得できない」(千葉、50代女性)「医学的には正しいかもしれないが、人格を無視した言葉だ」(千葉、50代女性)などの意見が多数を占めた。「遷延性意識障害という名称が一般に知られていないのが問題。以前、主治医に紹介状を書いてもらったら植物状態と書かれた」(滋賀、60代女性)との回答もあった。
植物状態という言葉が与えるイメージを問題視する声もあり、家族らは「感情があったり改善したりするという事実につながらない表現で、誤解を招く」(東京、50代女性)と指摘している。
◎災害時、要援護登録3割弱/6割以上「制度知らぬ」
震災に関する在宅世帯への調査では、総務省の「要援護者の避難支援ガイドライン」に基づく住所登録制度について、6割以上が制度自体の存在を「あるか分からない」と回答した。2006年のガイドライン策定後5年になるが、災害弱者を守る体制づくりがほとんど進んでいない現状が明らかになった。
要援護者の登録制度は、災害時に高齢者や重度の障害者を行政、町内会、民生委員らが避難支援や安否確認をするため、市区町村があらかじめ名簿などを作成する。総務省は、ガイドラインを基に市区町村に名簿づくりを早急に進めるよう促している。
調査では、所在する市区町村に登録制度が「あるか分からない」との回答が61.3%を占めた。「登録した」は29.0%と3割を下回った。
災害時の避難方法などを盛り込んだ居住地の防災計画の信頼度については「大いに信頼できる」との回答はゼロ、「ある程度信頼できる」も19.4%にとどまった。
「全く信頼できない」は27.4%に上り、「あまり信頼できない」も37.1%あった。公的支援への信頼が極めて低いことを裏付けた。
東日本大震災前後の医薬品や食料、水などの備蓄に関しては、震災前は1日以上~1週間以内の33.9%が最多。震災後は1週間超~2週間以内の30.6%が最も多かった。備蓄日数は1人当たり平均で5.9日増加しており、防災意識の高まりを反映した。
在宅介護を続けるため特に必要なサービス(二つ選択)を震災前後で比較すると、震災後は「緊急対応可能な病院」が11.0ポイント増え33.9%に上った。「近隣住民の理解と協力」も9.9ポイント上昇し11.3%になった。
「介護者なき後の入所施設」は、震災前が50.0%、震災後が37.1%でともに最も多い。
2011年11月24日木曜日 河北新報