今週は老人週間(二十一日まで)。県内で本年度、百歳になるのは三百五十六人(今月一日現在)を数える。県が発注して一人一人に贈られる記念品は、今年は県内の障害者施設で働く障害者たちが製作した。丁寧な製品やサービスは評価も高く、障害者たちがやりがいを感じながら仕事に打ち込める環境に近づきつつある。
宇都宮市の東武江曽島駅近くで、空き店舗を活用して手芸品の製作販売、仕出し弁当の調理、焼きそば店などを営むNPO法人「みどり」。施設長の木村千春さんは「(障害者の)工賃アップと、まちづくりに貢献したいという二つの気持ちでやってきた。(記念品の受注は)それに沿った形になり、うれしい」と喜ぶ。
精神障害をはじめ、二十~五十代の男女約二十人が通う。継続して注文をくれるリピーターも増え、活動は順調だ。しかし、障害者の作業は長くて一日五時間、収入は多い人でも月四万円という。そんな中、縦と横の糸を組み合わせる「さをり織り」の手提げバッグを百個単位で作ってほしいという大口の依頼が県から届いた。
障害者らが作った製品、サービスの受注機会を確保するための障害者優先調達推進法が今年四月に施行されたのを受け、県は五月に「県障害者優先調達推進方針」を全国に先駆けて策定。報告書の印刷、弁当の調達、公共施設の清掃など、県の機関が物品・役務を発注する際には、「障害者優先調達の一層の推進を図る」と明記した。
今回の記念品の製作依頼も、その一環という。推進方針に基づき、県内の障害者施設でつくる組織「とちぎセルプセンター」(宇都宮市)を窓口として、県内五つの施設に発注した。
記念品は手提げバッグ、ステンドグラスのペン立て、木製の三段引き出しの計三種類。百歳になる人に一つずつ、市町を通じて手渡される。一個当たりの単価は三千円程度だが、障害者施設が普段作っている手芸品などに比べて高く、賃金向上につながる。
手提げバッグ百十四個を請け負った「みどり」の木村さんは「オーダーがきたときに、それに応えられる技術をつけておきたいという動機づけになった」と、意識の変化が生まれたことを強調する。
<県障害者優先調達推進方針> 県内の障害者就労施設で働く障害者の賃金は、月額平均で1万4485円(2012年度)。推進方針は、県がこれらの施設から優先して物品やサービスを調達することで、障害者の自立や賃金アップを目指すのが狙い。対象は県内120カ所の事業所など。推進方針ができる前の12年度は、県の発注実績は746万円だったが、本年度は1250万円が目標。
NPO法人「みどり」が運営するブティックで手芸品などを作る人たち=宇都宮市で
東京新聞-2013年9月18日
宇都宮市の東武江曽島駅近くで、空き店舗を活用して手芸品の製作販売、仕出し弁当の調理、焼きそば店などを営むNPO法人「みどり」。施設長の木村千春さんは「(障害者の)工賃アップと、まちづくりに貢献したいという二つの気持ちでやってきた。(記念品の受注は)それに沿った形になり、うれしい」と喜ぶ。
精神障害をはじめ、二十~五十代の男女約二十人が通う。継続して注文をくれるリピーターも増え、活動は順調だ。しかし、障害者の作業は長くて一日五時間、収入は多い人でも月四万円という。そんな中、縦と横の糸を組み合わせる「さをり織り」の手提げバッグを百個単位で作ってほしいという大口の依頼が県から届いた。
障害者らが作った製品、サービスの受注機会を確保するための障害者優先調達推進法が今年四月に施行されたのを受け、県は五月に「県障害者優先調達推進方針」を全国に先駆けて策定。報告書の印刷、弁当の調達、公共施設の清掃など、県の機関が物品・役務を発注する際には、「障害者優先調達の一層の推進を図る」と明記した。
今回の記念品の製作依頼も、その一環という。推進方針に基づき、県内の障害者施設でつくる組織「とちぎセルプセンター」(宇都宮市)を窓口として、県内五つの施設に発注した。
記念品は手提げバッグ、ステンドグラスのペン立て、木製の三段引き出しの計三種類。百歳になる人に一つずつ、市町を通じて手渡される。一個当たりの単価は三千円程度だが、障害者施設が普段作っている手芸品などに比べて高く、賃金向上につながる。
手提げバッグ百十四個を請け負った「みどり」の木村さんは「オーダーがきたときに、それに応えられる技術をつけておきたいという動機づけになった」と、意識の変化が生まれたことを強調する。
<県障害者優先調達推進方針> 県内の障害者就労施設で働く障害者の賃金は、月額平均で1万4485円(2012年度)。推進方針は、県がこれらの施設から優先して物品やサービスを調達することで、障害者の自立や賃金アップを目指すのが狙い。対象は県内120カ所の事業所など。推進方針ができる前の12年度は、県の発注実績は746万円だったが、本年度は1250万円が目標。
NPO法人「みどり」が運営するブティックで手芸品などを作る人たち=宇都宮市で
東京新聞-2013年9月18日