◇点字を学び広がる世界−−内藤恒史さん(50)=奈良市
歌で地域住民の交流の場を作っている奈良市の市民団体「和音」が同市で19日に開催した集い。仲間と作った点字歌集を指でなぞり、大きな声で歌った。
「点字は人との出会いを与えてくれた。歌は苦手ですが、皆で歌えば怖くない。1曲でも多く覚えたい」
5歳の春、はしかの高熱で視力を失った。県立盲学校で点字を学び、図書室で昆虫図鑑にはまった。色、大きさが詳しく説明してあり、形が凹凸で分かる。カブトムシ、セミ……。指でなぞってはイメージを膨らませた。高等部では点字で文通を始めた。現在も約10人と続いている。夏に長野から届いた手紙には「高原は涼しい」とあった。一人旅が難しいなかで、各地からの便りは楽しみだ。「奈良は暑くて。『日本は広いな』と実感する」。
はり・きゅうを学んで卒業後、大和郡山市のはり・きゅう院に就職。1990年、奈良市で独立開業した年に、市視覚障害者協会に入った。会長に就任後、平日働いている市民から「点字を学びたい」と相談され、2009年6月から「日曜点字教室」を開講。基礎から1年間教えている。12年には和音から「視覚障害のある人にも参加してほしい」と、点字歌集の作成を頼まれた。内藤さんが監修し、教室の生徒らの協力により430曲の歌集ができた。
教室の卒業生は約50人になった。「エレベーターや駅の券売機にある点字が身近に感じる」「学ぶ以前よりも視覚障害の方に話しかけやすくなった」という声が、活動の励みになっている。
毎日新聞 2014年02月25日 地方版
歌で地域住民の交流の場を作っている奈良市の市民団体「和音」が同市で19日に開催した集い。仲間と作った点字歌集を指でなぞり、大きな声で歌った。
「点字は人との出会いを与えてくれた。歌は苦手ですが、皆で歌えば怖くない。1曲でも多く覚えたい」
5歳の春、はしかの高熱で視力を失った。県立盲学校で点字を学び、図書室で昆虫図鑑にはまった。色、大きさが詳しく説明してあり、形が凹凸で分かる。カブトムシ、セミ……。指でなぞってはイメージを膨らませた。高等部では点字で文通を始めた。現在も約10人と続いている。夏に長野から届いた手紙には「高原は涼しい」とあった。一人旅が難しいなかで、各地からの便りは楽しみだ。「奈良は暑くて。『日本は広いな』と実感する」。
はり・きゅうを学んで卒業後、大和郡山市のはり・きゅう院に就職。1990年、奈良市で独立開業した年に、市視覚障害者協会に入った。会長に就任後、平日働いている市民から「点字を学びたい」と相談され、2009年6月から「日曜点字教室」を開講。基礎から1年間教えている。12年には和音から「視覚障害のある人にも参加してほしい」と、点字歌集の作成を頼まれた。内藤さんが監修し、教室の生徒らの協力により430曲の歌集ができた。
教室の卒業生は約50人になった。「エレベーターや駅の券売機にある点字が身近に感じる」「学ぶ以前よりも視覚障害の方に話しかけやすくなった」という声が、活動の励みになっている。
毎日新聞 2014年02月25日 地方版