入所者への虐待で都から2度目の新規利用者受け入れ停止処分を受けている西東京市の知的障害者入所施設「たんぽぽ」(社会福祉法人田無の会運営)を巡り、新たな暴力が判明した職員について施設の第三者委員会が2013年、入所者を蹴るなどの虐待行為を6項目指摘していたことがわかった。過去の虐待の中心者の一人とみられていたが、介助を続けていた。自治体が事情を把握しながら、再発を防げなかった実態が浮かんだ。
専門家による第三者委は、同施設について13年5月、職員数人による入所者への虐待を認定。この支援員もひざや足裏で蹴る▽突き飛ばす▽ほおをつねる▽食事を口に押し込む−−などの行為があったと指摘していた。
別の職員と元職員は「6月に押し倒された男性は何か訴えようとこの支援員に近づいては、何度も突き飛ばされてきた。介助させないよう都に何度も訴えた」と証言する。
運営法人は前理事長が虐待を認めず、都に処分取り消しを、第三者委にも損害賠償を求め提訴。取り下げて体制刷新に乗り出したのは2月に理事長が交代した後だった。都障害者施策推進部は「処分期間中、再び虐待が起きたのは入所者の方々に申し訳ない」としている。
千葉県内の施設の障害者虐待死亡事件で県の検証委座長を務めた佐藤彰一弁護士は「虐待が明白なら職員に現場から離れてもらうのが通常だ。法人が虐待を認めなくても、自治体は施設に配置換えにつながる指導や処分を行うことは可能だったはずだ」と指摘する。
毎日新聞 2015年08月04日 地方版