知的障害のある女性でつくる日本初のソフトボールチーム「武蔵野プリティープリンセス」が9月から本格始動する。
代表を務める工藤陽介さん(38)は「純粋に体を動かす楽しさを知ってほしい。チームスポーツの楽しさ、勝つ喜び、負ける悔しさをみんなで味わいたい」と意気込んでいる。チーム発足に向けての支援も募っている。
「ソフトボールは女性が輝けるスポーツ。その場をつくり出したい」。シドニー五輪ソフトボール女子日本代表に通訳として帯同し、現在は東松山市内の福祉施設で働く工藤さんはチーム創設の目的をこう語る。
女性の障害者スポーツは大人になっていくにつれ、実施できる場が少なくなっていくのが現状だという。男性の障害者チームは、県内にも数チーム存在するが、その中に女性が参加すると、体力的な差が出てしまう。
「スポーツをしたいのにできる環境がない」と指摘し、「将来的には知的障害者の女子ソフトボールリーグを立ち上げたい」という夢を持っている。
ただ、社会人女子ソフトボールチーム「TSMレディース」の監督でもある経験から、「選手や資金を集めるにしても、ぶつかる壁は大きい」と実感を込めて課題を指摘する。道具の準備や練習グラウンドの確保、練習場への移動などは、やはり健常者の補助が必要だ。
それでも「われわれがサポートして、ただやるだけではなく、勝敗にこだわることで楽しさを感じてもらいたい」と前向きだ。
チーム立ち上げへ心を突き動かした大きな要因がもう一つある。野球型競技の障害者スポーツの広がりが少ないことから、2020年の東京五輪・パラリンピックの種目追加に逆風が吹いていること。
副代表の松永侑子さん(27)も「この活動が切っ掛けになって日本中に広まってくれれば」と期待する。
チーム結成には選手が足りず、スカウトキャラバンを実施するためのバットやグラブなどの備品も足りない。
支援調達の一環として現在、インターネット上で「クラウドファンディング」(https://readyfor.jp/projects/softball )を実施中。目標金額は65万円で、今月31日午前11時までに達成すると、決済が完了する。3日午後の時点で6万6千円が集まっている。
練習はさいたま市、川越市内のグラウンドで土曜日の午前中に実施する予定。協賛や練習などの問い合わせは、工藤代表(電話080・7963・4373)へ。チームのフェイスブックでも活動を報告している。
社会人女子ソフトボールチームの監督で、「武蔵野プリティープリンセス」代表の工藤陽介さん
2015年8月4日 埼玉新聞