◎熊本学園大社会福祉学部・東教授
災害時の障害者の避難にどう対応するべきか。自らも障害のある熊本学園大社会福祉学部の東俊裕教授に聞いた。
-熊本学園大で障害者を受け入れた理由は。
「東日本大震災の被災地で見た障害者の光景が脳裏にある。狭い避難所では車いすで動けず、トイレもままならない。発達障害の子どもがパニックになり、親が周囲から『連れ出してくれ』と言われた場面も。熊本でも同じだと思った」
-障害者を受け入れる際に重要な点は。
「スペースを確保すること。障害者は車いすで移動できないと暮らせない」
-障害者施設などの福祉避難所だけでは対応できないのか。
「熊本市内で障害者手帳を持つ人は約2万人。福祉避難所で全員を受け入れるのは無理。一般の避難所で対応する仕組みをつくらない限り、障害者が支援の網からこぼれる」
-受け入れを広げるためには何が必要か。
「避難所運営の課題をきちんと検討してマニュアルを作り、現場で訓練することが大事。行政が計画を立て、一般住民に伝えて認識してもらう必要がある。大震災後、熊本ではそれがほとんどできていなかった」
ひがし・としひろ 53年熊本県生まれ。中央大法学部卒。弁護士。内閣府障がい者制度改革推進会議担当室長を経て12年7月~14年3月、内閣府障害者制度改革担当室長。15年4月から現職。第16回ありのまま自立大賞(14年)受賞者。
2016年04月30日 河北新報