生活保護を受けずに暮らしている障害がある人のおよそ60%は年収が100万円以下にとどまっているというアンケート調査を全国の福祉作業所などで作る団体がまとめました。調査を行った団体は、障害者が自立して生活できるような所得保障が必要だと指摘しています。
この調査は福祉作業所などの団体「きょうされん」が、去年7月からことし2月にかけて加盟する全国の作業所などの協力を得て行い、知的障害者と身体障害者、それに精神障害者など、1万4000人余りから回答を得ました。
まず、生活保護を受けているかどうかを尋ねたところ、「受けている」が11%、「受けていない」が89%でした。「生活保護を受給していない」と答えた人に障害年金に作業所から受け取る工賃などを合わせた年収の総額を聞いたところ、61%が「100万円以下」と答え、合わせて98%が「年収200万円以下」という結果となりました。
団体によりますと、調査に答えた障害者の平均年齢は41歳でしたが、半数余りが「親と同居している」と答え、年齢が高くなってからも親が生計を支えているケースが多いとみられています。
「きょうされん」の藤井克徳専務理事は「障害のあるなしにかかわらず、自立して社会参加していくための経済的基盤が不十分だ。国には障害者個人の所得保障の確立を求めたい」と話しています。
これについて厚生労働省は「障害者が地域で暮らしていけるように、就労の支援や工賃の引き上げなどを進める一方、介護などの福祉サービスを受ける際の負担の軽減にも引き続き取り組みたい」と話しています。
5月18日 NHK