障害のある人への生活支援などを盛り込んだ改正障害者総合支援法が二十五日の参院本会議で自民、公明、民進各党などの賛成多数により可決、成立した。六十五歳で障害福祉サービスから介護保険サービスに移行する際に生じる自己負担を、低所得者に限りゼロとする救済策などが柱。障害のある子どもへの支援も拡充する。一部を除き施行は二〇一八年四月一日。
障害福祉サービスはほとんどの人が自己負担はなく利用できるが、六十五歳になって同じサービスを利用する場合、自己負担一割の介護保険が優先される原則がある。利用料を支払えずサービス利用を諦める人が出ていた。
施設で暮らす障害者がアパートなどで一人暮らしができるよう、自宅を定期訪問し、食事や健康状態を見守るサービスを新設。意思疎通が難しい難病患者や重度の障害者が入院した際、現在は認められていないヘルパー利用も解禁する。
危険な状態で生まれ、人工呼吸器や胃ろうなどの医療的ケアが欠かせない子どもの支援も初めて法律に明記。虐待を受けて施設に入所する障害児も増えているため、保育士らが出向き生活訓練をするサービスも設けた。
改正法の審議では、参考人として招いた筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者の岡部宏生(ひろき)さんが衆院厚生労働委員会への出席を拒否され、与野党が調整して参院で実現。岡部さんは障害者の差別撤廃を訴えた。
2016年5月26日 東京新聞