皆が使いやすい施設に
Q 2020年の東京五輪・パラリンピックに向け、「バリアフリー」を進めているね。
A たとえば、車いすを使っている人は、階段しかない場所で移動するのに困ってしまう。お年寄りや妊娠中の女性、けがをしている人も上り下りが大変だ。階段が「障壁(バリア)」となり、外出が制限されてしまうんだ。でも、エレベーターやスロープを設ければ、障壁をなくせる。これがバリアフリーだよ。
Q 日本のバリアフリー対策はどうなっているの?
A 法律で取り組みが進められているんだ。1994年に建物を対象にした旧ハートビル法、2000年に交通機関を対象にした旧交通バリアフリー法が施行された。両法は06年に「バリアフリー法」に統一され、都市公園なども対象に含めた。
Q 法律の内容は。
A たとえば、鉄道の駅を新築する場合、エレベーターやスロープを設け、段差を解消しなくてはならない。つえを使う視覚障害者が安全に歩けるように、凹凸のある誘導ブロックを敷く義務などもあるよ。
床面積が計2000平方メートル以上のデパートやホテル、劇場などは、一定のバリアフリーが確保されないと建てられない。階段の手すり、車いす利用者が使えるトイレの設置なども義務づけられているよ。
Q どのくらい進んでいるの?
A 利用者が1日平均5000人以上の全国の駅のうち、92・2%で段差が解消され、97・8%で視覚障害者の誘導ブロックが設置されている。それでも、不便や危険を感じる人は多い。床面積計2000平方メートル以上の建物では、バリアフリー化されているのは55・1%にとどまる。
Q 改善しなくちゃね。
A 政府はバリアフリー法を見直す予定だが、困っている人を見かけたら、声をかけて手助けするなど、私たち一人ひとりが意識を変えることも必要だよ。障害者や高齢者が働き、活動することにつながるから、社会全体にもプラスだね。
