ゴエモンのつぶやき

日頃思ったこと、世の中の矛盾を語ろう(*^_^*)

なぜ、アメリカでは障害者を「弱者」と呼ばないのか?

2017年08月01日 10時09分00秒 | 障害者の自立

相模原殺傷事件が起きてから1年が経った。犠牲者を追悼するため、メディアは「弱者に思いやりを」「弱者を差別しない社会をつくろう」と呼びかける。しかし、障がい者の置かれている状況が変わる兆しは見えてこないばかりか、むしろ悪くなっている。共同通信が全国の知的障害者の家族を対象に実施したアンケートでは、事件後、障害者を取り巻く環境が悪化したと答えた人が7割だった。

私は長年アメリカに住んでいるが、アメリカ人と日本人では障がいに関する考え方が大きく違う。そもそも英語では障がい者(disabled people)とは言わない。障がいを持つ人、障がいと共に生きる人(people with disabilities)という言い方をする。子どもの場合は、障がい児(disabled children)とは言わず、特別なニーズのある子ども(children with special needs)と呼ぶのが一般的だ。あくまでも「人」に焦点を当て、私たちには人間として同じ権利があることを強調する。

そして、アメリカ人はそれを子どもの頃から自然に学んでいく。「インクルージョン・クラスルーム」と言って、障がい児も健常児(typical children)も同じ学校に通う。障がいのあるすべての子どもたちが、健常児と同じように学ぶことができる「環境」を提供することは、公立学校の義務であると法律で定められているのだ。

教育だけではない。交通機関や公共機関へのアクセス、雇用や住居の機会均等が法律で守られており、世間一般では当然のこととして認識されている。

このような社会では、障がいや病気のある人を「弱者」とは呼ばない。もし、彼らを "weak people(弱者)"などと呼んだら、アメリカ人は間違いなく「差別だ」と言うだろう。もし、障がい者が「社会的弱者」であるとしたら、社会が変わる必要があると彼らは考えるのだ。

「弱者」の代わりに英語では、「ボーナブルな人たち(people who are vulnerable)」という言い方をする。日本語にはない表現で、「弱者」とも意味が違う。ボーナブルは、障がいの有無を問わず誰もが経験することだ。たとえば、言葉の話せない国に行ったとき、暗い夜道を一人で歩いているとき、風邪にかかったときなどには、ボーナブルな状態になり得る。

私が生まれて初めて、長期間このような状態を経験したのは、19歳でアメリカに渡ったときだった。英語がほとんどできない状態で大学に通いはじめた私は、すべてのことにおいて助けが必要だった。どのように大学のクラスを取ればいいのか、宿題は何なのか、どうすればバスに乗れるのか、シャワーはどう使えばいいのか。当たり前のことがわからなくて本当に困った。とにかく助けてくれそうな人を捕まえて、慣れない英語で何とかわかってもらおうとする日々だった。

このような状況が1年ほど続いた頃、心身共に限界を感じた。常に助けられる立場にいるということが、いかに疲れることで苛立つことかを初めて実感したのだ。

この経験は、後に音楽療法士となり、障がいや病気と共に生きている人たちと接する上で役に立った。私には障がいや病気はないかもしれないが、ボーナブルな状態になったことは何度もある。その点で共感することができるからだ。

「弱者」という言葉が、〈彼ら〉と〈私たち〉を区別する言葉だとしたら、「ボーナブル」は、人間誰もが経験する苦しみや悲しみを通じて、私たちをつなぐ言葉である。

「障がい者」や「弱者」とそうでない人たちを、白黒で分けることはできない。あなたが今健康だとしても、病気や事故でいつ障がいをもつかわからないし、すべての人に死は訪れる。そして死期が近づいているとき、私たちは人生で最もボーナブルな状態にあると言えるだろう。どんなにお金や学歴があっても、どんなにハンサムでも美人でも、死ぬときは皆ボーナブルだ。突然ポックリ死ぬことがない限り、確実に誰かの支えや助けが必要になる。

そのときあなたは何を求めるだろう? 弱者というカテゴリーに振り分けられ、「かわいそう」と思われたいだろうか? どうせもうすぐ死ぬのだからと、生きていても意味のない人間のように扱われたいだろうか?

おそらくあなたは、体は弱っていても、人間として本質的な部分では変わっていないと感じるだろう。だから、ありのままの自分を受け入れて欲しいし、自分の気持ちをわかって欲しい、と願うと思う。周りの人に、完全に理解されることは無理でも、わかろうとする努力をして欲しい。アメリカで英語が話せず苦労したとき、私はそう感じた。そして、私が今まで出会ったホスピスの患者さんや障がいのある人々の切実な願いも、同じだった。これは、人間誰もが心の奥底で願っていることなのだ。

善意の人々からの浅い理解は、悪意の人々からの絶対的な誤解よりも苛立たしい。

キング牧師はそう言った。

障がい者に対して悪意を抱いている人は少ないだろう。しかし、私たちの理解は深いと言えるだろうか? 彼らを「弱者」と分類し、無意識に差別してはいないか?

私たちが目指すべき社会は、「弱者を思いやる社会」ではなく、「弱者をつくらない社会」だと思う。

(2017年7月30日「佐藤由美子の音楽療法日記」より転載)

   米国認定音楽療法士


ダウン症の書家が「祈」 障害者殺傷事件1年で

2017年08月01日 10時03分52秒 | 障害者の自立

相模原市の知的障害者施設で起きた殺傷事件から1年となり、ダウン症の書家の金澤翔子さんが、入所者が一時的に暮らす施設を訪れ、追悼の思いを込めて「祈」のひと文字を書き上げました。

ダウン症の書家、金澤翔子さんは、NHKの大河ドラマの題字を手がけるなど幅広く活躍していて、殺傷事件が起きた相模原市の知的障害者施設「津久井やまゆり園」にも訪れ、入所者と交流していました。

今月26日で事件から1年となり、金澤さんは、31日に事件後初めて津久井やまゆり園を訪れ花を手向けました。

このあと、施設の建て替えに伴って入所者が一時的に生活している横浜市の施設を訪れました。

そして、およそ50人の入所者や職員に見守られながら、縦横1メートル余りの紙に犠牲者への追悼の思いを込めて大きな筆で「祈」のひと文字を力強く書き上げました。

金澤さんは「心を込めて集中して書けました」と話していました。

施設の入倉かおる園長は「これから頑張っていくための勇気をいただきました。入所者の方たちにも伝わり、力になっていると思います」と話していました。

7月31日    NHK


障害者配慮に課題 車いす男性、自力でバニラ・エア搭乗

2017年08月01日 09時56分30秒 | 障害者の自立

 足の不自由な車いすの男性が階段式のタラップを腕の力で上るという出来事が、格安航空会社LCC)のバニラ・エア(本社・成田空港)で先月起きた。企業に求められている障害者に対する「合理的配慮」への理解が課題になった。

 友人5人と鹿児島県奄美大島への旅を楽しもうと、関西空港へ向かった木島英登(ひでとう)さん(44)=大阪府豊中市。広告会社勤務をへて、2004年に「バリアフリー研究所」を起業。海外旅行記をメディア向けに執筆したり、企業研修の講師を務めたりしてきた。飛行機に乗る機会も多いが、バニラ・エアの搭乗カウンターで「歩けないこと」を理由に搭乗を拒否された。

 昨年4月施行の障害者差別解消法(解消法)は、障害があることを理由にサービスの利用を拒否することや、サービスの提供の場所や時間などを制限したり、条件をつけたりする「不当な差別的取り扱い」を禁じている。また、障害者から障壁を取り除くよう要請があった場合、企業には負担が重すぎない範囲でこれを取り払う「合理的配慮」をする努力を義務づけた。

 国土交通省は法の施行を受け、差別解消に取り組むための「一般的な考え方」を対応指針にまとめ、セミナーなどを通じて航空各社にも周知した。

 同省安心生活政策課の担当者は「(合理的配慮の程度や負担の範囲が)航空会社の事業規模で差が出ることはあり得るが、LCCだからといって合理的配慮を提供することに取り組まなくてもいい、ということではない」と説明する。

 この出来事の報道後、木島さんの元には同社に事前連絡すべきだったとの声がメールなどで届いた。木島さんは、多くの荷物があったり、複数の車いすの人がいたりするなど過度の負担が予想される時は連絡をしている。ただ、過去には「当日空港で判断する」と言われて搭乗を諦めたり、電話でたらい回しにされたりした経験もあり、悔しい思いをしてきた。

 ログイン前の続き今回は「ひょっとしたらタラップかも」とは予想したが、何かあれば同行者に手伝ってもらえばいいと気軽に考えて、連絡しなかった。「断られるとも思っていなかった」と話す。しかし、バニラ・エアは当時、関空と奄美を結ぶこの便では「車いすのお客さまから事前連絡があった場合、搭乗をお断りしていた」(同社人事・総務部)という状況だった。

 木島さんは大阪に戻った後、鹿児島県大阪府障害者差別の窓口などに相談した。事実確認がされ、同社は、座った状態で運べる担架「アシストストレッチャー」や座ったまま階段を移動できる「階段昇降機」の導入の案を示し、6月29日までに設置した。

 ネット上では木島さんのことを「クレーマー」などと書き込む人もいた。こうした現象に国際人権NGO「ヒューマンライツ・ナウ」(東京)事務局長で弁護士の伊藤和子さんは、「障害者が声をあげることが『わがまま』と受け取られたためで残念としかいいようがない。『弱者』に対する社会の冷たい目線が背景にある」と分析。「だからこそ声をあげることは、多くの人が目に見えないことを気づかせてくれるので重要なはずだ」と話す。相談を受けた鹿児島県の担当者は「不便や不満を感じていても、言われなければ気づかないところがある。不都合なことがあれば声をあげて知らせてほしい」と話した。

 解消法は、06年に国連で採択された障害者権利条約に日本が翌年署名して以来、整備が進められてきた。条約は、障害に基づく差別の禁止をうたい、障害がある人の人権や基本的自由、平等を促すと規定している。そのためにも、社会にある障壁をなくすことが必要であり、様々な分野での「合理的配慮」を求めている。

 外務省人権人道課によると、7月現在で締結しているのは173カ国と1地域機関(EU)。日本は解消法制定への取り組みなどを進め、ほかの先進国に比べて遅く14年1月に締結したが、以来3年あまりがたつ。

 解消法の今後について、東洋英和女学院大学大学院の石渡和実教授(障害者福祉論)は「誰しも納得できる社会にすることが目標だが、現実はまだその前段階」とみる。「企業との間で知恵を出し合っていくことが大事。そうした積み重ねが合理的配慮をどの場面でどれだけするのがいいかといった国民的合意につながる」と指摘している。

 〈出来事の概要〉 高校時代にラグビーの練習中に脊椎(せきつい)を損傷し、車いすで生活をしている木島英登さんが6月3日、関西空港発奄美行きのバニラ・エア便に乗ろうとした際、降機時に階段式タラップになるとして、搭乗カウンターで「歩けない人は乗れない」と言われた。同社は当時、昇降機などの機材を奄美空港に設置していなかった。

 木島さんは「同行者に手助けしてもらう」と伝えて搭乗し、行きは友人らに車いすごと担いでもらって降りた。ただ、同社ではそれを危険だとして禁じていたため、同5日の帰りの便に乗ろうとした際、同社の業務委託を受けた空港職員に止められた。木島さんは車いすを降り、階段を背にして腕の力でタラップをずり上がって搭乗した。

2017年7月31日   朝日新聞


障害者給付金詐欺  元事務補助員を再逮捕 福岡県警

2017年08月01日 09時51分41秒 | 障害者の自立

 福岡市の障害者就労支援施設などを巡る給付金不正受給事件で、福岡県警は31日、障害福祉サービスを提供する特定相談支援事業所の元事務補助員で、同市中央区今泉2、無職、中橋武彦(42)と同市城南区南片江4、無職、平田敏之(35)の両容疑者を詐欺容疑で再逮捕し、新たに同市博多区博多駅前3、飲食店経営、迎(むかえ)真介容疑者(34)を同容疑で逮捕した。

  逮捕容疑は2015年12月~16年10月、障害者18人が、迎容疑者が代表を務める障害者就労支援施設「ステージア」(同市南区)を利用したように装い、同市から11回にわたり計約2062万円をだまし取ったとしている。ステージアに活動実態はなく、中橋、平田の両容疑者が迎容疑者を代表に据えていたとみられる。県警は3人の認否を明らかにしていない。

 また、福岡地検は31日、別の就労支援施設に通ったように装って福岡市から計約3829万円をだまし取ったとして、中橋、平田の両容疑者ら3人を詐欺罪で福岡地裁に起訴した。

毎日新聞   2017年7月31日


相模原 障害者殺傷事件から1年…tvkで特別番組放送

2017年08月01日 09時47分01秒 | 障害者の自立

 津久井やまゆり園殺傷事件をテーマにした報道特別番組『見えない壁~津久井やまゆり園事件から1年~』が、tvkにて8月12日(土)後4・00より放送される。

 昨年7月、神奈川県相模原市緑区の障害者施設・津久井やまゆり園で起きた殺傷事件。戦後最悪といわれる同事件では、入所者が次々と刺され、19人が死亡、27人が重軽傷を負った。

「障害者はいなくなればいい」という、元職員・植松聖被告の言葉。事件から1年経った今もなお、この言葉を否定するために戦い続ける人たちがいるという。障害者をめぐる見えない壁はどこにあるのか、その壁を越えるために何をすべきか、事件を振り返るとともに目指すべき社会を考える。

 報道特別番組『見えない壁~津久井やまゆり園事件から1年~』は、tvkにて8月12日(土)後4・00より放送。

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