聴覚障害を持つLGBT(性的少数者)の人たちの生き方を、聴覚障害の子どもに伝えるDVD「11歳の君へ~いろんなカタチの好き~」の制作が進んでいる。
企画したのは聴覚障害がある映画監督の今村彩子さん(38)。「世の中には様々な生き方があっていいんだよ、と伝えたい」と話す。
今村さんは聴覚障害者の生き方がテーマの映画をこれまでに26本制作した。今回は、障害者にも多様な性や恋愛の形があることを紹介したいと、思春期の子どもに向けて作った。
インタビューに答える形でDVDに出演するのは、聴覚障害を持ち、生まれつきの性別への違和感から女性から男性になった人や同性愛者ら5組。
登場する一人で、東京都東村山市の手話講師、菊川れんさん(42)は、物心ついた頃から男性という自分の性に違和感があった。24歳の時、聴覚障害者で、男性から女性になったアメリカ人に出会い、自分の気持ちに正直に、女性として生きることを決意した。現在、同じ聴覚障害者の喜久(よしひさ)さん(63)と生活している。
れんさんは「必ず目標となる人がいる。自分の思うままの生き方をすればいい」と思いを伝える。
DVD制作費は、インターネット上で資金を募る「クラウドファンディング」を活用。資金が集まれば、発売は11月、価格は1枚3000円(税別)を予定している。問い合わせは、Studio AYA(スタジオ・アヤ)へメール(studio_aya_ai@yahoo.co.jp)で。
【LGBT】 レズビアン(女性同性愛者)、ゲイ(男性同性愛者)、バイセクシュアル(両性愛者)、トランスジェンダー(心と体の性が一致しない人)の英語の頭文字を並べた総称。電通の調査では日本人の約7%が当事者とされる。性別に違和感がある場合、性別適合手術、ホルモン治療などが可能だが、治療を受けずに生活する人も多い。
2017年8月15日 読売新聞