北海道電力は30日、印刷・製本などを行う子会社「ほくでんアソシエ」(札幌市)が障害者雇用促進法に基づく特例子会社の認定を得たと発表した。同社の障害者雇用の実績が、親会社とグループ9社の実績として算入できる。同電力は「一人一人の特性に合った雇用の場を拡大するなど、グループ一体となって障害者雇用の促進に取り組んでいく」としている。(
◇障害を持つ奥州の男性「支援法は違憲」
障害者自立支援法が福祉サービス料の1割を利用者に原則負担させるのは生存権を保障する憲法に違反するとして、知的障害を持つ奥州市の男性(38)らが国や自治体を相手取った全国一斉提訴に参加することになり、県内の支援組織結成総会が29日、盛岡市であった。
全国一斉提訴は08年11月に続く第2弾で、今回は県内から初めて男性と盛岡市の女性(18)の2人が参加する。女性は市との交渉が続いているため提訴は遅れる見込みだが、男性は来月1日、利用料上限額を決定した行政処分の取り消しや慰謝料などを求めて盛岡地裁に提訴する予定。
総会では、男性の父親の佐々木直人さん(76)が「このままでは息子が人間らしく生きていくことが大変難しい」と困窮ぶりを訴えた。【
障害者自立支援法が福祉サービス料の1割を利用者に原則負担させるのは生存権を保障する憲法に違反するとして、知的障害を持つ奥州市の男性(38)らが国や自治体を相手取った全国一斉提訴に参加することになり、県内の支援組織結成総会が29日、盛岡市であった。
全国一斉提訴は08年11月に続く第2弾で、今回は県内から初めて男性と盛岡市の女性(18)の2人が参加する。女性は市との交渉が続いているため提訴は遅れる見込みだが、男性は来月1日、利用料上限額を決定した行政処分の取り消しや慰謝料などを求めて盛岡地裁に提訴する予定。
総会では、男性の父親の佐々木直人さん(76)が「このままでは息子が人間らしく生きていくことが大変難しい」と困窮ぶりを訴えた。【
◇定着すれば、商店街に活力--コミュニティーバス運営、春日井市商店街連合会・胡桃沢勝久会長
春日井市商店街連合会は昨年12月、市内2カ所の商店街を結んで走るコミュニティーバス(愛称・かっちぃ)の運行を始めた。自治体や第三セクターが運営するバスは各地にあるが、商店街の団体が直接運営に乗り出すのは全国的にも珍しい。先頭に立つ市商連会長の胡桃沢勝久さん(57)は「バス運営の経験がなく、試行錯誤の発車でした」と話す。運行開始から3カ月が過ぎ、少しずつ利用者が増えてきたという。
--「かっちぃ」とは。
市南部に位置する「勝川」と「味美」の二つの商店街を結んで走る循環バスです。JR勝川駅と名鉄味美駅もつなぎ、約40分で約9キロを一周します。午前9時台から午後6時台まで右回りと左回りで計14便を運行しています。料金は1日乗り放題で中学生以上200円、小学生100円。幼児と障害者は無料です。
--きっかけは?
両地区間を走っていた民営バスが廃止となり、大変不便になったことを知って、それでは私たちでバスを走らそう、ということになりました。それに、両商店街から少し離れた場所に超大型ショッピングセンターがオープンし、買い物客が流れる危機感もありました。
--運行までには苦労があったのでは。
それはもう大変でした。バス運営については素人ばかりで、国や市へ何度も足を運び、一からの準備でした。始発時間をもっと早くし、夜も11時台まで運行したかったのですが、バスやタクシーの会社から反対されました。結局、昼間帯だけの運行になりました。
--どう採算をとるのですか。
バス会社に運行を委託したので、初期費用はわずかですみました。月々の経費はバス会社への支払いが110万円。これを乗車料金50万円、広告料60万円でまかなう計画です。
--うまくいっていますか。
まだ計画通りには、いっていません。利用者は1月733人、2月969人と少しずつ増えていますが、無料の障害者の利用者が3倍になったこともあり、収入はあまり上がっていない。それでも、社会的に弱い立場の人に喜ばれているのは、うれしいことです。
--今後の見通しは。
とにかく一人でも多くの人に利用してもらいたい。まだ知らない人もいるので、バス停にのぼりを立てたり、駅前のビルに懸垂幕を下げてPRに努めています。広告料を増やすため、車内のつり下げ広告だけでなく、車体にも広告枠を設けてスポンサーを募っています。市民の足として定着すれば、私たち商店街にも活力が生まれます。
==============
■人物略歴
◇くるみざわ・かつひさ
長野県出身。高校入学と同時に春日井市に移り、新聞配達をしながら通学した。運送会社、宝石販売会社で働いたあと、32歳の時に弁当店を開業。一時は10店に拡大したが現在は5店に縮小した。03年に市商連副会長、08年6月から会長。
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--「かっちぃ」とは。
市南部に位置する「勝川」と「味美」の二つの商店街を結んで走る循環バスです。JR勝川駅と名鉄味美駅もつなぎ、約40分で約9キロを一周します。午前9時台から午後6時台まで右回りと左回りで計14便を運行しています。料金は1日乗り放題で中学生以上200円、小学生100円。幼児と障害者は無料です。
--きっかけは?
両地区間を走っていた民営バスが廃止となり、大変不便になったことを知って、それでは私たちでバスを走らそう、ということになりました。それに、両商店街から少し離れた場所に超大型ショッピングセンターがオープンし、買い物客が流れる危機感もありました。
--運行までには苦労があったのでは。
それはもう大変でした。バス運営については素人ばかりで、国や市へ何度も足を運び、一からの準備でした。始発時間をもっと早くし、夜も11時台まで運行したかったのですが、バスやタクシーの会社から反対されました。結局、昼間帯だけの運行になりました。
--どう採算をとるのですか。
バス会社に運行を委託したので、初期費用はわずかですみました。月々の経費はバス会社への支払いが110万円。これを乗車料金50万円、広告料60万円でまかなう計画です。
--うまくいっていますか。
まだ計画通りには、いっていません。利用者は1月733人、2月969人と少しずつ増えていますが、無料の障害者の利用者が3倍になったこともあり、収入はあまり上がっていない。それでも、社会的に弱い立場の人に喜ばれているのは、うれしいことです。
--今後の見通しは。
とにかく一人でも多くの人に利用してもらいたい。まだ知らない人もいるので、バス停にのぼりを立てたり、駅前のビルに懸垂幕を下げてPRに努めています。広告料を増やすため、車内のつり下げ広告だけでなく、車体にも広告枠を設けてスポンサーを募っています。市民の足として定着すれば、私たち商店街にも活力が生まれます。
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■人物略歴
◇くるみざわ・かつひさ
長野県出身。高校入学と同時に春日井市に移り、新聞配達をしながら通学した。運送会社、宝石販売会社で働いたあと、32歳の時に弁当店を開業。一時は10店に拡大したが現在は5店に縮小した。03年に市商連副会長、08年6月から会長。
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見直しに向けた議論が進む障害者自立支援法について学ぶ「勉強会」がこのほど、南丹市八木町氷所の農村環境公園「氷室の郷(さと)」で開かれた。愛知淑徳大の谷口明広教授が議論のポイントや今後の見通しを解説した。
谷口教授は、厚労省の社会保障審議会が昨年12月に示した報告書について、国の新年度予算案での動きも踏まえながら説明。サービス量に応じた自己負担の「応益負担」については、法施行後に講じられた軽減措置を残した形で現行体系が維持されるのではないか、との見方を示した。
4月に実施される報酬改定は、事業者の経営を安定させるため平均5・1%の引き上げになり、サービスの必要度を示す障害程度区分に障害の実態をより正確に反映させるため調査項目が106項目から190項目に増える見通しを説明した。
勉強会には丹波2市1町の障害者と家族、施設職員ら約130人が参加。会場から「親が死んだ後に重度障害の子どもが置き去りにされるのではないか」「障害分野でのケアマネージャーの制度化は重要」などの意見が出た。主催した府南丹保健所は今後も継続して勉強会を開くという。
谷口教授は、厚労省の社会保障審議会が昨年12月に示した報告書について、国の新年度予算案での動きも踏まえながら説明。サービス量に応じた自己負担の「応益負担」については、法施行後に講じられた軽減措置を残した形で現行体系が維持されるのではないか、との見方を示した。
4月に実施される報酬改定は、事業者の経営を安定させるため平均5・1%の引き上げになり、サービスの必要度を示す障害程度区分に障害の実態をより正確に反映させるため調査項目が106項目から190項目に増える見通しを説明した。
勉強会には丹波2市1町の障害者と家族、施設職員ら約130人が参加。会場から「親が死んだ後に重度障害の子どもが置き去りにされるのではないか」「障害分野でのケアマネージャーの制度化は重要」などの意見が出た。主催した府南丹保健所は今後も継続して勉強会を開くという。
無届け9か所がNPO運営
火災で入居者10人が死亡した渋川市の高齢者施設「静養ホームたまゆら」が無届けだったため、県が高齢者向けの無届け宿泊施設の洗い出しを進めたところ、「たまゆら」と「花みづきたまゆら」を含めた22施設の実態調査が必要であることがわかった。うち9施設がNPO法人の運営という。県が27日発表した。
県は、これらが老人福祉法上の有料老人ホームに該当するかどうかの調査を4月10日頃までに済ませ、該当すると判断した施設に届け出を強く促す考えだ。「たまゆら」などについても、運営するNPO法人「彩経会」から運営や施設の実態、今後の方針を聞き取る。各土木事務所や地元消防と連携し、施設の安全面も指導するという。
この22施設とは別に、介護と食事がつくなど、県が有料老人ホームと見なしている施設で、届け出をしていないのは24施設(NPO運営は4施設)。いずれも運営内容を記した文書を提出済みで、うち11施設は届け出の意思を伝えている。残る13施設は行政の関与を避ける傾向というが、県は届け出を求める方針だ。
県は、障害者や児童向けの無届け宿泊施設の洗い出しも進め、通所型についても同様に調べる予定だ。
現行制度上、届け出がない限りは県の監督権限はない。運営がNPO法人の場合は、業務に行政が極力介入しないことが法律の趣旨でもある。大沢知事は、「群馬だけの課題ではない」として、無届け施設への関与を可能にする制度改正を、全国知事会を通じて働きかける考えを示している。
◆県警本部長「徹底解明」
大平修県警本部長は27日の定例記者会見で、「静養ホームたまゆら」の火災について、「10人の尊い命が失われた。大惨事に至った原因を徹底的に捜査し、全容を解明していく」と述べた。また、「防火、避難など管理体制がどうなっていたか、様々な観点から捜査し、刑事罰に触れる事実があれば、厳正に対処していきたい」とした。
◆墨田区職員が8人と面会
「静養ホームたまゆら」に生活保護受給者15人を紹介した墨田区の職員2人は27日、渋川市内外の4か所を訪れ、生存する入居者9人のうち8人と面会し、都内の別の施設に移ってもらいたいとする、区の基本方針を説明した。入居者には、「たまゆら」に残るかどうか、近く最終的な意思確認をする方針。
「たまゆら」を訪れた職員は、記者団に、「入居者はおおむね元気だった」と説明。また、区が紹介した人の遺体と判明し、引き取り手がいない場合は、区が引き取る方針を明らかにした。都内で火葬、遺骨を保管するが、葬儀はしない。生活保護受給者を区外に送り出した場合の通常手続きという。
区職員から説明を受けた男性入居者は取材に、「移りたいと伝えた」と話した。また、「墨田区は、(施設を)自分たちでしっかり点検して、(生活保護受給者を)送るべきだった」と、改めて不満を漏らした。
火災で入居者10人が死亡した渋川市の高齢者施設「静養ホームたまゆら」が無届けだったため、県が高齢者向けの無届け宿泊施設の洗い出しを進めたところ、「たまゆら」と「花みづきたまゆら」を含めた22施設の実態調査が必要であることがわかった。うち9施設がNPO法人の運営という。県が27日発表した。
県は、これらが老人福祉法上の有料老人ホームに該当するかどうかの調査を4月10日頃までに済ませ、該当すると判断した施設に届け出を強く促す考えだ。「たまゆら」などについても、運営するNPO法人「彩経会」から運営や施設の実態、今後の方針を聞き取る。各土木事務所や地元消防と連携し、施設の安全面も指導するという。
この22施設とは別に、介護と食事がつくなど、県が有料老人ホームと見なしている施設で、届け出をしていないのは24施設(NPO運営は4施設)。いずれも運営内容を記した文書を提出済みで、うち11施設は届け出の意思を伝えている。残る13施設は行政の関与を避ける傾向というが、県は届け出を求める方針だ。
県は、障害者や児童向けの無届け宿泊施設の洗い出しも進め、通所型についても同様に調べる予定だ。
現行制度上、届け出がない限りは県の監督権限はない。運営がNPO法人の場合は、業務に行政が極力介入しないことが法律の趣旨でもある。大沢知事は、「群馬だけの課題ではない」として、無届け施設への関与を可能にする制度改正を、全国知事会を通じて働きかける考えを示している。
◆県警本部長「徹底解明」
大平修県警本部長は27日の定例記者会見で、「静養ホームたまゆら」の火災について、「10人の尊い命が失われた。大惨事に至った原因を徹底的に捜査し、全容を解明していく」と述べた。また、「防火、避難など管理体制がどうなっていたか、様々な観点から捜査し、刑事罰に触れる事実があれば、厳正に対処していきたい」とした。
◆墨田区職員が8人と面会
「静養ホームたまゆら」に生活保護受給者15人を紹介した墨田区の職員2人は27日、渋川市内外の4か所を訪れ、生存する入居者9人のうち8人と面会し、都内の別の施設に移ってもらいたいとする、区の基本方針を説明した。入居者には、「たまゆら」に残るかどうか、近く最終的な意思確認をする方針。
「たまゆら」を訪れた職員は、記者団に、「入居者はおおむね元気だった」と説明。また、区が紹介した人の遺体と判明し、引き取り手がいない場合は、区が引き取る方針を明らかにした。都内で火葬、遺骨を保管するが、葬儀はしない。生活保護受給者を区外に送り出した場合の通常手続きという。
区職員から説明を受けた男性入居者は取材に、「移りたいと伝えた」と話した。また、「墨田区は、(施設を)自分たちでしっかり点検して、(生活保護受給者を)送るべきだった」と、改めて不満を漏らした。