障害者やお年寄り、子どもを区別なく受け入れる「富山型デイサービス」の理念を掲げたライブイベントが11月17日、アイザック小杉文化ホール(射水市)で開催され、人気ロックバンド「フラワーカンパニーズ」が出演する。合言葉は、心の垣根を壊す「バリアブレイク」。全国でも例のない福祉とロックの異色コラボが注目を集めている。
県内の富山型デイ職員らでつくる実行委が主催するイベント名は、「かちゃカチャ熱遊陽(ねっちゅーび)」。2011年6月の初開催に続く第2弾で、「かちゃかちゃ」は富山弁で「めちゃくちゃ」の意味。障害の有無、性別、年齢に関係なく一緒に楽しむのがテーマだ。実行委員長の旅家健一さん(33)は「固定観念を壊して『ごった煮』にすることで、人と人の距離が縮まる」と狙いを語り、約20年前に県内で生まれた福祉サービスの理念を実行する。
福祉行政は当時、年齢や障害別に財源を分ける縦割りで、富山型デイはいずれにも当てはまらず補助金を受けられなかった。介護保険法に基づくデイサービスも高齢者と身体障害者のみが対象だった。しかし、子どもと障害者らの交流が双方の活力になると評判を呼び、国は03年、知的障害者と障害児をデイサービスで受け入れる「富山型デイサービス推進特区」に富山市などを指定。06年には規制緩和が進み、全国で富山型デイを行えるようになった。
一方、フラワーカンパニーズは、攻撃的な楽曲に哀愁漂う歌詞が魅力のロックバンド。富山型デイ「ふらっと」(射水市)代表の宮袋季美さんが10年秋、バンドのホームページに「障害があっても、本物のロックを楽しめるライブを開催したい」とつづったのをきっかけに交流が始まった。
宮袋さんの長男は音楽が好きだったが、自閉症のため、慣れないライブハウスの環境で発作を起こす不安があった。障害者がライブに行くのは難しいと諦めていたが、数日後、ベースのグレート・マエカワ氏から「俺らのライブなら喜んでやるよ」と電話があり、11年6月の第1弾が実現した。
ライブ会場は階段にスロープを設け、運営ボランティア約100人が障害者との接し方の研修を受け、みんなが安全に楽しめるよう万全の準備を尽くした。当日は約650人が訪れ、障害者も若者も同じリズムに体を揺らした。旅家さんは「『障害とロック』の組み合わせが想像できないという人ほど一度足を運んでほしい」と話す。午後1時半開演。チケットは2500円(当日券は3000円)。同文化ホールなどで販売。問い合わせは「ふらっと」(0766・56・6661)。

ライブに向けて段取りを話し合う実行委メンバー
(2013年9月28日 読売新聞)
県内の富山型デイ職員らでつくる実行委が主催するイベント名は、「かちゃカチャ熱遊陽(ねっちゅーび)」。2011年6月の初開催に続く第2弾で、「かちゃかちゃ」は富山弁で「めちゃくちゃ」の意味。障害の有無、性別、年齢に関係なく一緒に楽しむのがテーマだ。実行委員長の旅家健一さん(33)は「固定観念を壊して『ごった煮』にすることで、人と人の距離が縮まる」と狙いを語り、約20年前に県内で生まれた福祉サービスの理念を実行する。
福祉行政は当時、年齢や障害別に財源を分ける縦割りで、富山型デイはいずれにも当てはまらず補助金を受けられなかった。介護保険法に基づくデイサービスも高齢者と身体障害者のみが対象だった。しかし、子どもと障害者らの交流が双方の活力になると評判を呼び、国は03年、知的障害者と障害児をデイサービスで受け入れる「富山型デイサービス推進特区」に富山市などを指定。06年には規制緩和が進み、全国で富山型デイを行えるようになった。
一方、フラワーカンパニーズは、攻撃的な楽曲に哀愁漂う歌詞が魅力のロックバンド。富山型デイ「ふらっと」(射水市)代表の宮袋季美さんが10年秋、バンドのホームページに「障害があっても、本物のロックを楽しめるライブを開催したい」とつづったのをきっかけに交流が始まった。
宮袋さんの長男は音楽が好きだったが、自閉症のため、慣れないライブハウスの環境で発作を起こす不安があった。障害者がライブに行くのは難しいと諦めていたが、数日後、ベースのグレート・マエカワ氏から「俺らのライブなら喜んでやるよ」と電話があり、11年6月の第1弾が実現した。
ライブ会場は階段にスロープを設け、運営ボランティア約100人が障害者との接し方の研修を受け、みんなが安全に楽しめるよう万全の準備を尽くした。当日は約650人が訪れ、障害者も若者も同じリズムに体を揺らした。旅家さんは「『障害とロック』の組み合わせが想像できないという人ほど一度足を運んでほしい」と話す。午後1時半開演。チケットは2500円(当日券は3000円)。同文化ホールなどで販売。問い合わせは「ふらっと」(0766・56・6661)。

ライブに向けて段取りを話し合う実行委メンバー
(2013年9月28日 読売新聞)