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企業年金・退職金制度と保険商品の関係について

2011-01-25 07:18:08 | 保険商品

保険商品は、企業年金・退職金制度の中で使えないのかということですが、そうでは
ありません。
但し、従業員の退職金準備手段としては、ふさわしくないというのが、私の基本的な
考えです。

役員退職慰労金の準備手段として、保険商品は利用できます。
従業員の退職金制度についてコンサルティングしていると、役員退職慰労金について
は、きちんとして取り決めがされていない、支給のための準備も不十分であることに、
気がつくことがよくあります。
従業員退職金の整備と併せて行うように提案いたします。

さて、ここからの本題ですが、確定拠出年金制度の企業型では、いわゆるマッチング
拠出が認められる予定です。
マッチング拠出を盛り込んだ「年金確保支援法案」が、今国会で審議され、(国会が
紛糾しなければ)成立する見通しです。

マッチング拠出では、企業の掛金にプラスして、従業員が拠出限度額までの掛金を
拠出することができるこようになります。
従業員の掛金は、小規模企業共済等所得控除となります。税金がかからないお金で
老後生活資金を貯めることができるわけです。

拠出限度額(月額)は、確定給付型の企業年金がある場合には25,500円、ない場合
では51,000円ですので、かなり大きい金額です。

預貯金や保険商品からマッチング拠出へと、お金の流れが変わっていくでしょう。

「運用は日本人には向かない」等と言っていていいかということです。

 保障は安い掛け捨ての定期保険で、老後生活資金の準備は確定拠出年金で
という時代が来ると考えます。

適切な保障内容を提案し、DC掛金の運用に関して必要な情報を提供することが、
今後ますます求められると思います。
そのような仕事をしたいという方と、一緒にお仕事がしていきたいと切望しています。

 


退職金の準備手段に保険商品を使わないほうが良い例(2)

2011-01-18 09:12:58 | 保険商品

適年からの移行に、中退共と保険商品を使う提案例です。
ここでも、保険商品は、長期定期保険でした。

背景には、役員退職慰労金の準備手段としての長期定期保険の提案が優先されて
いることがありました。

二兎は追わないほうがいいということは、いうまでもありません。

具体的な提案内容は、適年は中退共へ移行します。掛金はやはり一律5千円です。
中途退職の場合は、会社の手出しとなる金額は少ないのですが、60歳定年時の
不足額に対して、会社で準備できない場合には、役員を被保険者として加入している 
長期定期保険を少しづつ解約して、それに充てることができるというものです。

読者の皆さまも、これはおかしいとお思いになりますよね。

適年の移行、従業員の退職金制度、役員退職慰労金の準備として、いずれの場合にも
不適切な提案です。

保険商品、特に法人契約の保険商品については、企業の担当者も疎いということがあり
もっともらしい理由をつけて語られると、「何かおかしい」と感じながらも、問題点を見抜け
ません。 

適年の移行は、制度終了の期限が迫っていることもあり、金融機関においては、細かな
対応ができないこともあるかもしれませんが、企業側では、一度立ち止まって、しっかり
検討することが求められていると思います。
まだ間に合いますから。

昨年末、このブログを読んで、「適年の移行と保険商品の提案」について、ご質問下さった
企業があります。
気になる点がありましたら、是非ご相談ください。

連絡先等については、この前のブログを、ご覧ください。


退職金の準備手段に保険商品を使わないほうが良い例(1)

2011-01-11 05:52:21 | 保険商品

退職金の準備手段に保険商品を使わないほうが良い例です。

適格退職年金からの移行で、長期定期保険が提案されていました。
保険料の総額を、適年の保険料と同じにするということが、提案の背景にあります。

養老保険のハーフタックスプランでは、普遍的加入が条件で、従業員の加入に条件
を設けることはできません。しかしながら、長期定期保険では、従業員の加入に条件
をつけることができます。
この例の場合は、長期定期への加入において、50歳以上の従業員は除いています。
それにより、適年の保険料と中退共+長期定期の保険料が同額となっています。
適年は、中退共へ移行し、全員一律5,000円の掛金としています。

問題は何か、というと、60歳定年時に、中退共の積立金+長期定期の解約返戻金で
必要とする支給額にならないということです。
また、60歳解約時までの保険料総額と返戻金では、保険料のほうが多く、実質返戻
率は、100%にはなりません。

適年は積立不足ですので、中退共、簡易型の確定給付企業年金(=DB)、移行時に
不足額を補てんしない方法で確定拠出年金へ、移行した場合、従業員の退職した時に、
会社が支給する一時金は必要なのですが、簡易型DBやDCを利用したほうが、退職
時における一時金支給額は、保険商品を使った場合より少なくて済みます。

保険商品の利用においては、費用(保険料)に見合う効果があるかどうかを、見極める
ことが大切です。

ご質問やお問合せは、メールまたはお電話で。
 sai@rice.ocn.ne.jp   新しいメールアドレスです!
(これまでのアドレス goo0218_2007@mail.goo.ne.jp も使えます。)

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2011年、初めの記事は、退職金と保険商品です。

2011-01-03 20:45:50 | 保険商品

新年あけましておめでとうございます。

さて、今年初めの記事は、「退職金制度と保険商品」です。
これまでも繰り返して書いてきたテーマです。

企業年金・退職金制度の見直しの案件には、直接または間接的に保険会社が
絡んでいるものが多いです。
ですから、何らかの形で、保険商品を使うことを念頭に置きながら、検討を重ねる
ことになります。しかしながら、「保険商品」を退職金制度に組み込むことができる
のかというと、難しい場合のほうが多いというのが、実状です。

これは、もう諦めてもらうしかないです。

退職金の準備手段として、保険商品を使えるという前提には、まず企業が利益を
だしていることあります。当然ですが、これは外せません。
次に、退職給付会計を採用していない、又は採用する予定がない、あるいは採用
しなくても差し支えない規模であることが必要です。
これらを無視した保険商品の提案はあり得ません。

企業年金・退職金制度は、その企業にとって、持続可能な制度であるべきです。
また、コスト上でも、最も効率が良い仕組みを採用すべきだと考えます。

保険商品の、こういった使い方はしないほうがいいという例を、来週以降、いくつか
ご紹介します。その上で、企業年金・退職金制度と「保険商品」の、あるべき関係に
ついて、考えていきたいと思います。

今年も宜しくお願い致します。


退職給付制度に保険商品を使う場合、何がいいか。(2)

2010-06-10 09:55:10 | 保険商品

中小企業では、退職給付債務は、期末自己都合要支給額で計算する場合が
ほとんどです。

退職給付制度の準備手段として、保険商品を使う場合には、退職金規程の
自己都合退職金支給率で計算される金額は、中退共か企業型DC(総合型)
で準備し、会社(定年)都合支給率と自己都合支給率の差額を埋める手段と
するのがいいでしょう。

養老保険ももちろん、上記差額を埋める手段の一つです。
あくまでも、定年時における自己都合退職金と定年退職金の差額を準備する
ために使います。

残念ながら、養老保険ハーフタックスプランは、自己都合退職金と定年退職金
の差額ではなく、自己都合退職金分まで準備するために使われていることが
かなり多いです。

「懲戒解雇の時、中退共やDCでは、取り戻せない。」

それが心配なら、懲戒解雇が多いようなら、人事制度の改定など、他にやる
べきことがあると思います。

自己都合退職金と定年退職金の差額を埋める保険商品として、養老保険以外
では、掛け捨てタイプではない「がん保険」で、解約返戻金の立ち上がりも早い
商品がお勧めです。

養老保険との違いは、
①加入できる範囲が広い。
 →養老保険では、病気を理由に加入できない従業員が必ず出ますが、
  がん保険の場合、がん以外の病気はほぼ問題視されません。
  「自分は加入できなかった。」と悲しい思いをする従業員は少なくて済みます。
②養老保険は保険料の半分が損金ですが、がん保険は保険料全額が損金です。
→養老保険は、原則的に従業員全員の加入を条件として、保険料の半分を損金
  にすることができます。一方がん保険は、全員加入という条件は必要ではあり
  ません。定年まで勤続する可能性が高い勤続10年以上の従業員を加入対象と
 するといったこと等も可能です。

がん保険については、注意すべき点もあります。
現在は保険料の全額が損金扱いですが、将来この点の税制が変更になる可能性
が全くないとは言えません。

最後に、企業が保険商品を採用するかどうかは、あくまでの事業主次第です。
   とくに適格退職年金の積立不足で、保険会社に不信感を抱いている事業主も
   多いですから、そうなると当然、無理ということになります。

養老保険ハーフタックスプランに疑問を持っていたり、お悩みの場合は
  是非ご相談ください。

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退職給付制度に保険商品を使う場合、何がいいか。(1)

2010-06-08 09:42:31 | 保険商品

退職給付制度に保険商品を使う場合は、何がいいか?

退職給付会計との関係で、保険商品は退職金準備手段に使わないほうがいいと
ブログでは、何度もお伝えしてきました。
しかし、一方で、会社都合支給率(定年時支給率)と自己都合支給率の差額を
どう準備しておいたらいいか、という問題が残ります。

中小企業が退職金を準備する方法としては、中小企業共済や企業型DCの総合型
が適していると思います。
この二つの制度では、一度拠出した掛金は、事業主には戻らないので、自己都合
退職金の準備手段です。

中小企業では、退職給付会計を採用しているところのほうが、確かに少ない現状で
すが、その点を無視して、退職金制度の準備手段を提案するのはどうでしょうか?
提案時点では、企業が退職給付会計を考えていなくても、後になって退職給付会計
を採用した時、保険商品の使い方をめぐって、トラブルになるのは避けたいものです。

退職給付会計上は、保険商品の積立金は年金資産とはなりません。
退職給付債務-年金資産=退職給付引当金ですから、保険商品では、この引当金
の負担を減らすことにはなりません。
中小企業では退職給付会計は関係ないということで、そのことを説明しないというのは、
感心しません。

中小企業には退職給付会計は関係ない。
     そのことには触れずに、養老保険ハーフタックスプランを提案しよう。
     「養老保険は、半分が損金になります。
      会社の資金繰りにも使えます。
      そもそも、中退共や401K(確定拠出年金)は、懲戒解雇の時
      会社にお金が戻ってこないですよ。それはまずいですよね。。。」

この方法だと、あとで、ことになります。  続く
     



退職金制度に養老保険を選択する前に、もう一度お考えください。

2009-09-04 15:05:45 | 保険商品

退職金制度の支給原資として、養老保険のハーフタックスプランを
採用する場合、しない場合では、事業主の退職金制度にお考えが
違うと思います。

それは、退職金の支給原資を社外積立とするかのをよしとするか、
しないかの違いです。

養老保険の保険料は、保険会社に支払うので、社外に出るお金で
すが、退職金は養老保険を解約して一旦会社が受け取り、その後
従業員に支払うので、社外積立ではありません。
企業年金や共済制度を利用した退職金制度は、退職時に退職金
は、金融機関から直接従業員に支払われるので、社外積立となり
ます。

養老保険は、会社が資金繰りに困った時に流用できますが、企業
年金や共済制度では、退職金の支給の目的以外には使えません。
養老保険を使った退職金制度は、退職金の支給を名目とした、
会社のためのお金の積立という視点があるといえます。

確かに、事業主の中には、「いざというときのための運転資金」と
して使えるお金を有利に積み立てておきたいというお考えがある
のもわかります。
しかし、従業員のモチベーションを考えるとどうでしょうか?

企業年金や共済制度では、退職金は金融機関から従業員に直接
支払われます。しかし、養老保険では会社から支払われる形になり
ますので、受給権ということでは、後退することになります。
企業年金・共済制度では、加入者の要件として健康状態は問われ
ませんが、養老保険では健康状態により加入できない場合があり
ます。
会社の資金繰りにウエートをおいた選択により、従業員にマイナス
の影響を与えてしまうことにならないでしょうか?

退職金と会社の資金繰り・運転資金は、切り離して考えてください。
退職金や会社の運転資金の積立としては、養老保険以外の選択
肢もあります。養老保険以外の保険商品と企業年金や共済制度を
組み合わせることもできます。いくつかのプランを比較検討し、財務
状況と照らして検討されることをお勧めいたします。







養老保険ハーフタックスプランに否定的な方、肯定的な方、それぞれからお電話をいただきました。

2009-09-03 09:47:16 | 保険商品

退職金制度に養老保険ハーフタックスプランを使う事に、肯定的なお考え、
否定的なお考えを持っている、保険会社の営業の方から、それぞれお電話
をいただきました。

肯定的な方からは、
「適格退職年金の移行先として、ある企業で、確定拠出年金と養老保険
が移行後の制度として検討の俎上に上がっているけれど、確定拠出年金
の場合、イニシャルコストやランニングコスト、投資教育の費用はどれくらい
かかるのか?」というお問い合わせでした。

わかる範囲でお答えいたしました。

確定拠出年金の手数料や投資教育の費用を問題にしてくる場合は、養老
保険を勧めたいという意図があります。

イニシャルコストやランニングコストを問題にしても仕方ないですが、養老の
保険料のほうが、確定拠出年金の掛金より高くなるので、コストの比較は、
養老保険に不利だと思います。また、養老保険の保険料は、損金となるの
は半分だけですが、確定拠出年金は掛金全額が損金となります。
企業の財務への影響を考えると、確定拠出年金に軍配が上がります。

養老保険に否定的な方は、
「税務調査で否認されることもある。」と、問題のある加入事例について
話してくださいました。

『税務調査で否認』というのは、従業員の退職金制度として退職規程が
整備されていない、実際は役員の退職金の支払いに使われているという
ようなケースについてのご指摘でした。(←これは、結構あると思います。)

こちらの方は、退職金制度に養老保険を売らなくても、別の形態の保険
契約というのはあるというお考えでした。

それぞれ、視点が違うところにあるので、同一には論じられないとは思って
います。

しかし、このブログやホームページから、いろいろなお考えの方と交流
できるのは、うれしいことです。教えていただくことも多いです。
                        



退職金規程がない養老保険

2009-05-28 10:00:00 | 保険商品

養老保険のハーフタックスプランを導入しているけれど、退職金規程は
ないという事例にぶつかりました。

これは、税務調査で否認される可能性があります。

現状では、退職金は、退職者が出るたびに、事業主が個別に判断し
支給額を決めています。

この企業には、退職金制度の整備と退職金規程の作成を、ご提案して
いくことになります。

顧問の税理士や社労士もいる企業ですが、税理士からも社労士からも
退職金規程の不備について、今までに指摘されたことはないそうです。

そんなことってあるんだろうか?と思われる方もいると思います。
しかしあるんですね。。。

税理士の先生は、決算時に保険料を仕訳して、決算書に載せるだけで、
多分、退職金規程に関しては、注意を払っていないと思われます。

社労士の先生は、もしかしたら保険に詳しくなく、養老保険と退職金の
関連が分からないのかもしれません。

ここで、注意していただきたいのは、保険会社に退職金規程を持ってくる
ように頼むと、一般的なサンプルを持ってくるか、ちょっとだけ手直しした
ものを持ってくるかで、この会社にあった内容の規程を用意してくれると
いうことは、ありません。

また、養老保険のハーフタックスを契約した時、保険会社の準備した退
職金規程をそのまま使っているというケースでも、注意が必要です。
会社の支給実態とあっていないということもありますから。

気になるようでしたら、是非ご相談ください。

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適格退職年金制度導入企業での養老保険

2009-05-26 10:10:10 | 保険商品

適格退職年金を導入している企業で、養老保険ハーフタックスも使っている
企業があります。養老保険が無駄ではないかと思うケースに出会いました。

退職金は、100%適年から支給される内容になっているからです。
養老保険は、1人300万円で契約していますが、この養老のお金がなくても、
退職金制度としては、問題はありません。

社員の平均年齢が35歳で、定年が60歳、平均勤続年数が10年です。
養老保険は65歳満期です。

この養老保険契約は、退職金制度から見たら、どう考えても無駄ですよね。
何のための養老保険ハーフタックスプランかというと、内部留保、節税目的
で加入したということになります。

養老保険ハーフタックスプランは、利益が出ている企業でないと節税対策に
なりません。税金を繰り延べていることになりますが、そうすることが本当に
必要かどうかは、余り考えられていないようです。
保険会社の、節税対策になる有利な商品という説明だけで納得し、契約し
ていると思われます。でも節税したお金は、益金として企業に戻ってくること
になりますが、その時、損金として処理できる、つまり退職金の支払いに使う
なら税金は掛かりませんが、退職金は全額適年から支払われるので、損金
処理することはできません。税金を繰り延べただけのお金になってしまいます。

以上のような説明に、事業主も納得してくださいました。
養老保険は、役員の退職金を考えた商品に切り替えることになりそうです。


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