税制適格退職年金=適年の移行先としては、確定拠出年金があります。
企業が適年の移行先として確定給付企業年金を選択し、確定拠出年金を
選ばない理由として、従業員が掛金を自分で運用するのは無理、という判断
があります。従業員に「掛金の運用は無理」。。。本当にそうでしょうか?
国の年金記録に不備があったことが判明致しました。
「自分の年金記録がおかしい」「自分の年金額は少ないと思う」といい続けて
社会保険事務所や市町村の年金の窓口に問い合わせて、いわば戦ってきた
人達がいたから、国の誤りが明らかになりました。
厚生労働省や社会保険庁、市町村の年金課が自ら自主的に「記録のミス」を
公表し、間違った記録を正していったのではありません。
自分の年金記録の間違いを認めてもらいたいとして、悔しい思いをした人達は
大勢いたと思います。
「お上に任せておけば安心」ではないのです。
“お金”に関する知識は、重要です。
確定拠出年金制度では、掛金は毎月従業員の確定拠出年金制度上の個人
口座(原則60歳まで引き出しができない)に拠出されます。
つまり、退職金制度において、従業員は会社から自立したことになります。
そして、掛金の運用は、自分の判断で行います。
確定拠出年金制度の導入時には、投資教育が行われるのが普通です。
一般的に、従業員のほとんどが株式の売買や投資信託などに、全く触れた
ことがない人達ですが、この導入時のセミナーは結構興味を持って聞いて
くれることが多いです。今まで関係ないと思っていたこと、セミナー代を
払わないと聞けない“お金”に関する情報に接することができるからです。
新聞もスポーツ欄だけでなく、経済面もみるようになります。
国と会社に任せておけば安心という世の中ではありません。
確定拠出年金は、社員の自立を促す制度なのです。
企業年金のひとつである税制適格退職年金が後5年弱で廃止となります。
2012年3月末までに、他の制度に移行しなければなりません。
従業員の人数が200人前後から500人程の会社で、適年の移行先として、
確定給付企業年金を希望されるところがあります。このような場合、
正直、お答えするのに詰まることが多いのですが、本音で結論を言えば、
「確定拠出年金のほうがいい」ということになります。
確定拠出年金と確定給付企業年金は創設されて、ともに5年が経過しました。
文字通り、確定拠出というのは、掛金の拠出額が決まっており、受取額
は運用しだいで変化するものです。運用は従業員が自己責任で行います。
確定給付というのは、受取額が決まっていて、運用しだいで掛金額は
変更になるということです。運用は企業が責任を負うことになります。
確定給付企業年金は、適年より制度運営が重くなります。単独で厚生年金
基金を運営していた経験がある会社ならともかく、従業員が200人から500人
の会社は、厚生年金基金に加入していても「総合型」であったと思われます
ので、社内に確定給付企業年金の運営に携われる人材がいないことが多い
です。また、確定給付企業年金は、社員が入社し定年退職を迎えた後年金を
受給する期間の面倒を見るという制度です。
20歳前後の新入社員に50年~60年の責任を負うことになります。
長期の経営ビジョンと合わせて検討した結論であるならば、問題ないのです
が、そんなことまで考えて決めてはいないようで気になります。
退職金制度を考える場合、大切なのは長期間の運営に、その会社が耐えられ
るかどうかということだと思いますが、いかがでしょうか?
退職金・企業年金のコンサルティングに従事しています。
その仕事の中で、考えたこと、感じたことを本音で
お伝えしたいと思い、このブログを開設いたしました。
大勢の人に読んでいただきたいので、できるだけわかり
やすく、解説も交えて書いていきたいと思います。
宜しくお願い致します。