中小企業退職金共済の未払い問題に続き、建設業退職金共済でも未払
いがあることが、10月19日に報道されました。
中退共が49万人、建退共が20万人に対して未払いとなっているそうです。
中退共や建退共の未払いは、退職したまま連絡が取れない、事業主に
連絡したが回答がないことが原因となっています。
建設業における退職金共済の未払い問題の背景には、二つの要素がある
と思います。ひとつは、退職金を受け取るための書類の問題、もうひとつは
経営審査事項です。
中退共や建退共から、退職金を受け取る時は、本人確認のため「住民票」
か「印鑑証明書」のどちらかが必要になります。建設業の場合、この点が
ネックになっていることもあるのではないでしょうか。
経営事項審査制度とは、公共工事を受注しようとする建設業者について、
その業者の規模、財務内容など経営に関する事項の審査を建設業法に
基づき国土交通大臣又は都道府県知事が行う制度です。
公共事業の受注は建設業にとっては、大きなメリットです。公共事業の
受注業者になるためには、経営事項審査の評点を上げることが必要で、
退職金制度がある、中退共に加入、建退共に加入はプラスの評点となり
ます。
中退共や建退共に加入は、もちろん、退職金制度のためですが、同時に
経営事項審査のためでもあります。
公共事業に携わっている全ての建設業者がそうではなく、一部であると
思うのですが、中退共や建退共への加入が経営事項審査のための便宜
的な手段となっていると、従業員への説明などが疎かになるということも
あると思います。
中小の建設業に向いているのは、個人型DC(下記)だと思います。
先週のブログでご紹介した前払い退職金制度に積立手段として個人型DC
を使う方法です。建設共では、転職や独立して起業することが、他の業種
より多いので、個人型DCが向いています。自分の退職金は自分で管理す
るので、未払いの問題は起こりません。
但し、前払い退職金制度は、経営事項審査の評点にはなりませんので、各
都道府県の担当部門へ申請し認めてもらう必要があります。
ある保険代理店からの問合せで、大阪府に聞いたことがあります。「内容を
みて判断したい」との返答でした。
機会があればチャレンジしたいと思っています。
尚、企業型DCは経営事項審査の対象です。
●確定拠出年金のことを、DCといいます。
DCは、defined contributionを略したものです。
◆いつも、ブログをお読み下さり、ありがとうございます。
ご質問、ご意見は、コメントとしてではない場合は、
gooメールへお送りください。
アドレスは、goo0218_2007@mail.goo.ne.jp です。
回答やお返事は、早ければ翌日、遅くても1週間以内に
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東京都の従業員数300名未満の会社で、退職一時金のみを導入している
企業は、66.4%です。この退職一時金の支払い準備形態は、社内準備の
みとしている企業が40.4%と最も多くなっています。
社外に準備している企業が60%くらいあるのですが、この社外準備とは、
退職金共済制度のことです。
社内準備と退職金共済の併用は、39.5%
社外準備つまり退職金共済のみは、18.9%
となっています。
使われている退職金共済は、
中小企業退職金共済(建設業退職金共済等を含む)が最も多く、44.6%
特定退職金共済が、8.7%、中退共と特退共の両方に加入は、4.3%です。
特定退職金共済は、中小企業退職金共済の類似制度で、各地の商工会議
所が主に実施しています。中退共との違いは、掛金が1,000円~30,000円ま
で1,000円単位なのと、企業の規模に関係なく加入できるところです。
中退共は、掛金が5,000円~30,000円まで16通りで、加入には業種による
従業員数または資本金の要件があります。
現在のところ、特退共へは、適格退職年金の積立金を移すことはできません。
退職一時金の支払いのために、保険商品を利用している場合は、社外準備と
はいいません。社外準備とは、あくまで、掛金を納めている金融機関から直接
退職金が従業員に支払われる場合が、該当します。
保険商品は、いずれの商品でも、退職金を支払うためには、一度企業に保険
会社からお金が支払われ、その後、企業から従業員に退職金が支払われるの
で、これは、保険料を保険会社に払っている形態でも、社内準備になります。
東京都では、2年に1度退職金制度について、従業員300人未満の会社に
アンケートによる調査を実施しています。直近の調査は昨年でした。
それによると、退職一時金制度だけの会社が66.4%で、企業年金を導入
している割合は33%です。
このうち、企業年金を導入している企業のうち、使っている企業年金の
増減を平成16年度と平成18年度で比較しています。
平成16年度 平成18年度
適格退職年金 48.0% 47.7%
厚生年金基金 22.7% 19.9%
適年と厚年基金の併用 21.3% 16.0%
その他※ 2.6% 10.6%
※確定拠出年金、確定給付企業年金、自社年金
適格退職年金の減少以上に、厚生年金基金が減少しています。
厚生年金基金は、調査対象が従業員が300人未満の企業なので、総合型
か連合型だと思われます。連合型はグループ企業が設立している形態、総
合型は同業者や商工業団地の企業が共同で設立している形態です。
基金の減少は解散や代行返上によるものです。総合型は様々な規模の企業
が集まっているので、解散・代行返上の同意がとりにくいのですが、平成24年
3月末での制度廃止が決まっている適格退職年金より、厚生年金基金が減少
しているのは、基金の制度運営が重くなっている、基金に加入しているメリット
が無くなっているということだと考えられます。
確定拠出年金などが大きく増加しています。
税制適格退職年金の移行先について、昨日に引続き東京都の調査結果です。
(東京都の退職金調査は2年に1度で、平成18年度が直近のデータです。)
調査対象の企業は、東京都内の300人未満の中小企業です。
企業規模別の集計結果は出ていないので、調査産業の合計です。
移行先のとして多いのが、以下の3制度です。
中小企業退職金共済・・・50.0%
確定拠出年金・・・・・・・・21.4%
確定給付企業年金・・・・13.1%
その他、
自社の退職一時金制度・・2.4%
年金制度の廃止・・・・・・・2.4%
その他・・・・・・・・・・・・・・10.7%
となっています。
中小企業退職金共済は、300人以下の中小企業でないと利用できない制度で
す。加入するには、業種別に常用従業員数または資本金の要件を満たしてい
ることが必要です。
・一般業種(製造業・建設業)は、従業員300人以下または資本金3億円以下
・卸売業は、従業員100人以下または資本金1億円以下
・サービス業は、従業員100人以下または資本金5千万円以下
・小売業は、従業員50人以下または資本金5千万円以下
例えば、製造業で、従業員が300人を超えていても、資本金が3億円以下なら
中退共に加入できます。
確定給付企業年金は、適年からの移行では、制度運営と掛金負担が重くなり
ます。が、従業員が300人以下で資本金が3億円以下の場合は、年金資産の
運用方針の策定が免除されます。
確定拠出年金は、運営管理機関(金融機関)により取扱人数に違いがあります
が、総合型の場合は15名から加入できるところもあります。
総合型とは、厚生労働省で認可された幹事会社の規約に参加するもので、企業
独自で規約を作成し厚労省の認可を受ける手間が省ける、中小企業がDC(下記)
を導入しやすい仕組みとなっています。
●確定拠出年金のことを、DCといいます。
DCは、defined contributionを略したものです。
2012年3月末での、税制適格退職年金の廃止まで後4年余りとなりました。
適年から他の制度への移行が順調に進んでいるのかというと、どうもそう
ではありません。
東京都の平成18年度末に公表された調査結果があります。(東京都の退
職金の調査は、2年に1度で、18年度版が一番新しい。)
平成16年度と平成18年度の調査結果から現在の状況が推測できます。
〈平成16年度〉 〈平成18年度〉
既に移行済み 9.9% 19.9%
移行を決定している 6.6% 12.3%
移行を検討中 66.7% 57.9%
移行する予定がない 16.8% 10.0%
既に移行済みと移行を決定しているをあわせると、平成16年度から18年度で、
16.5%から32.2%に増えています。この1年で、10%~15%増えているとすると、
移行を検討中と移行する予定がないという企業数の合計は、今現在50%くらい
でしょうか?移行に手間取っている企業の数ということになります。
適年をまだどの制度にも移行していない、一定規模の企業に対しては、金融
機関(運営管理機関)の営業のパワーゲームになっているそうです。
逆に100名以下、50名以下の企業は、ほっておかれているのかなと思います。
退職金制度は、企業の人事戦略・財務戦略と結びついており、一度決めたら
間単に変更できるものではありません。
適年を持っている企業には、スピード感を持って、尚且つ慎重に対処されるこ
とが望まれます。
●確定拠出年金のことを、DCといいます。
DCは、defined contributionを略したものです。
携帯ホームページを作りました。
今月始めからアクセス解析機能を取り入れました。それで、私の
ブログを、docomoから見に来てくださっている方がいらっしゃるのが
分かりました。そこで、自分のブログを携帯で読んでみました。
あ~なるほど~。そうですよね。携帯って便利なんだと、やっと認識
しました。
そこで、携帯版にチャレンジしました。
その前に、私の携帯は、メールの受信を家族に限定している設定な
ので、それに携帯ホームページの登録に使うメールアドレスを加え
るために変更しなければ、ということで、どうやるかすっかり忘れて
いたため、それだけに1時間近く掛かりました。(必要なかったかも?)
もう、これだけでめげて、断念しようかと思いましたが、なんとか立ち
あげることができました。
アドレスは、こちらです。
http://k.fc2.com/cgi-bin/hp.cgi/consul/
宜しくお願い致します。
◆いつも、ブログをお読み下さり、ありがとうございます。
ご質問、ご意見は、コメントとしてではない場合は、
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東京都の退職金に関する調査で、300人未満の企業の定年退職金の平均額は、
退職一時金制度だけでは、
高校卒・・・1048.7万円
大学卒・・・1145.4万円
退職一時金制度と企業年金の併用では、
高校卒・・・1379.8万円
大学卒・・・1549.6万円
となっています。
退職一時金制度だけでは、企業年金(厚生年金基金、適格退職年金、確定給
付企業年金、確定拠出年金・企業型)がある企業より、退職金支給額が少なく
なっています。
少ない分は、是非、自助努力で補ってほしいと思います。
個人型DCは、そのための力強い味方だと思います。
個人型DCの加入者は、地方銀行が健闘し、加入者を増やしています。
その背景としては、、銀行口座の獲得のために、個人型DCへの加入をお勧め
しているようです。
損保会社でも、個人型DCの所得控除のメリットをあげて、お勧めする努力をし
ているところもあります。生命保険や個人年金(保険会社が販売している商品)
では、それぞれ10万円の保険料で、5万円の所得控除ですが、個人型DCの所
得控除は、それより大きく、会社員で21万6千円、個人事業主で81万6千円です。
個人型DCの裾野を広げるのには、退職金制度として使うのがひとつの有効な
方法だと考えます。一昨日、昨日のブログでご紹介した、前払い退職金の積立
手段として個人型DCを使う方法です。事業主も従業員と一緒に個人型DCに加
入でき、事業主にとって個人型DCの所得控除は魅力であることは、先週のブロ
グでお伝えしました。
個人型DCの加入に際しては、加入企業で投資教育と個人相談会を行うと効果
的です。特に、個人相談会は、金融機関にとってメリットがあると思います。
これまでに受けた相談事例で最多は加入生命保険・損害保険についてでした。
他には、住宅ローン、年金制度への加入暦、国の年金制度への質問等がありま
す。金融機関のいろいろな業務へ繋がっていくことになります。
但し、退職金制度として、前払い退職金+積立手段として個人型DCを導入する
に当たっては、一定のコンサルティングが必要です。この点をないがしろにすると
うまくいきません。
●確定拠出年金のことを、DCといいます。
DCは、defined contributionを略したものです。
会社の定年退職金は、750万円とします。退職金制度は、「会社は毎月前払
い退職金を支払い、それを従業員が個人型DCで積み立てる」仕組みです。
個人型DCの運用利回りを2.5%(30年国債の平均利回り)とすると、38年間※
の運用で750万円の定年退職金とするためには、毎月の前払い退職金は1万
円になります。(※22歳入社60歳定年)
会社が1人の従業員に支給する、前払い退職金の総額(38年間)は、456万円
です。会社は、456万円の負担で760万円の退職金を支払ったことになります。
但し、社会保険料が増えますが、社会保険料は前払い退職金1万円に対して
掛かるのではなく、標準報酬月額に対してで、標準報酬月額は、等級ごとに
幅がありますので、1万円が直ぐ等級に反映されるわけではありません。
従業員は、前払い退職金を受け取って、それを給与に上乗せしたままのお金
にしておくと、所得税・住民税の対象となります。前払い退職金を個人型DC
の掛金とすると、小規模企業共済等掛金控除の対象となり、その分税金が
安くなります。控除額の上限は月額18,000円ですので、前払い退職金に自分
のお金を8,000円プラスして、個人型DCの掛金をすることができます。
18,000円を38年間2.5%で運用すると、1,367万円となります。掛金1万円の場
合より607万円多くなります。
企業型DCでは、確定拠出年金法の決まりがあり、それに則った制度を作り、
厚生労働省の認可が必要ですが、個人型DCを使う場合は、会社の制度とし
ては前払い退職金制度なので、そういった制約はありません。企業の任意の
制度が作れます。
前払い退職金を個人型DCで積み立てる退職金制度は、事業主にとって負担
の軽い制度といえます。
従業員にとっては税制の優遇措置のメリットを使った老後生活資金をつくる
手段となります。
→税制の優遇措置については、10月23日と24日のブログをご覧下さい。
●確定拠出年金のことを、DCといいます。
DCは、defined contributionを略したものです。
個人型DCを退職金制度として使う場合、会社が導入する退職金制度としては、
「前払い退職金制度」になります。
会社が毎月の給与支払日に、前払い退職金を支給し、その前払い退職金を、
従業員が個人型DCで積み立てていくことになります。
企業型DCとして取り扱う最低加入人数は、運営管理機関(金融機関)により
違います。一番少ないところで、15名です。加入従業員数は30名以上あるい
は50名以上でないと、企業型は取り扱わないとしているところもあります。
従業員数が少ない場合や、一定期間後には独立していく従業員が多い企業
では個人型DCを使うことが適しています。
前払い退職金を個人型DCで積み立てるという場合のメリットは、個人型DCの
掛金として、会社からの前払い退職金だけでなく、自分のお金をプラスして、
掛金とすることができる点です。
先週のブログ(11月16日)で、東京都の中小企業の退職金額について書いて
います。従業員50名未満の企業では、60歳定年時の退職金は退職一時金の
みが75,5%で、金額は1,000万円~1,100万円くらいでした。この金額は従業員
数300人未満の企業の平均なので、従業員数が100人未満だと定年退職金は、
もう少し小さな金額になります。700万円~800万円といったところでしょうか?
この退職金額と国の年金だけでは、老後生活はちょっと厳しいです。
会社の退職金制度が前払い退職金で、それを個人型DCの掛金として、2.5%で
運用しながら約40年間積み立てると、60歳時に700万円になる、という内容だと
します。個人型DCは、加入者(=従業員)の任意の制度ですので、前払い
退職金の金額だけを個人型DCの掛金としなくていいのです。会社からの前払い
退職金に自分のお金を足して、DC掛金とすることができます。掛金額は、限度
額(所得控除となる金額)の上限の18,000円まで、拠出できます。
→明日のブログに続く
●確定拠出年金のことを、DCといいます。
DCは、defined contributionを略したものです。
DC制度に関しては、「掛金を自分で運用する制度」であるため「投資教育」
が、問題視されることが多いです。
「自分の会社の社員には、無理」とか「日本人には向かない」とか。。。
新聞紙上でも、「アンケートの結果、理解していない人が何割いる。」と
いう報道が、時々あります。
中小企業庁が行った、DC導入企業へのアンケートでも、従業員に投資経験
がないことが、問題点として挙げられています。
退職金のコンサルにあたっては、企業型はもちろん、個人型DCによる退職
金制度でも、導入時セミナーを行うようにしています。内容は、退職金制度
改定の目的や意義、公的年金制度、老後必要金額、金融商品全般の説明、
運用(リスクとリターン、複利効果、分散投資、長期投資等)についてです。
インターネットの使い方も必要です。
これらの知識やスキルは、社会人として持っていても困らない、むしろ必要
なものだと考えてます。
今まで、いろいろな業種、規模の中小企業で、DC導入時セミナーに立ち会っ
てきました。理解度に性別、職種、学歴などによる差は、ほとんどありません。
参加者は、金融商品や運用について、お金を出さないで聞けるセミナーという
受け止め方をしています。拒絶反応は全くといっていいほどありません。
「掛金を自分で運用」について、心配しすぎ、騒ぎすぎだと感じています。
いろいろな企業にお邪魔させていただいて、つくづく思うのが、「日本の中小
企業の従業員は、優秀だ」ということです。
DCはまだ始まったばかりの制度です。時間を掛けてより良いものに育ててい
けばいいのであって、それは十分可能だと思います。
●確定拠出年金のことを、DCといいます。
DCは、defined contributionを略したものです。