前回のファンド情報の訂正をうけて、バランス型ファンドのマイストーリー・株25と
ポートフォリオ(国内債券75%、国内株式17%、外国株式8%)を比べてみたい
と思います。
◇マイストーリー・株25
債券75%(国内債券約2割、外国債券約5割)
株式25%(国内株式17%、外国株式8%)
リターン :9.69%
リスク(σ):6.04%
手 数 料:年1.10%±0.15%
◇ポートフォリオ・株25
債券75%(野村国内債券インデックスファンド)
国内株式17%(トピックス・インデックス・オープン)
外国株式8%(三菱UFJ<DC>外国株式インデックスファンド)
リターン :5.07%
リスク(σ):4.6%
手 数 料:年0.227745%
債券に外債が入っているいないの違いがありますが、ポートフォリオのほうは、
リターンが低くなりますが、リスク(σ)も小さな値になっています。
なによりも、手数料(信託報酬)が、かなり少なくなります。
ファンドを選択する場合、どうしてもリターンの数字に目がいきがちです。
(実は、私もそうです!?)
そして、なんとなくバランス型ファンドを選んでしまいますよね。
「分散投資」を強調されたりすると、面倒でなくていいや、みたいに。。。
でも、気をつけたいのは、ファンドのブレ幅であるリスク(シグマ=標準偏差)と
手数料です。
今回の連載の目的は、ポートフォリオのリターン、リスク、手数料の計算方法を
お伝えすることでした。
是非、自分でポートフォリオを作ってみましょう
情報の間違いもありましたし、分かりずらい点もあったと思いますが、多少とも
お役にたつことを願っています。
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ブログの読者から、あいおい損害保険の運用商品であるバランス型ファンドは、
ファンド・オブ・ファンズであり、債券は内外の債券に投資しているというご指摘
がありました。
あいおい損害保険のホームページに情報では、株式に関しては国内株式と外国
株式の比率は記載がありますが、債券については記述がありません。
運用会社の野村アセットマネジメントのホームページでは、「主に内外の株式
および内外の債券に実質的に投資」と説明されています。
読者の方からは、マイストーリー・株25は、「内債券が75%ではありません。
イボットソンの投信検索機能を使うと MSCIワールド30%, シティグループ世界
国債70% の合成指数(円ベース)と出てきます。因みにシティグループ世界国債
の内訳は、『世界国債 除く日本』が69.63%となっています つまり野村マイ
ストーリー25に含まれている日本国債の比率は、70×30=21%程度。
残り49%は外国債券です。」と、丁寧な解説もいただきました。
結論(=『バランス型ファンドと購入するより、自分でポートフォリオを組んだほうが
いい。』)を急ぐあまり、情報の収集がおろそかでした。
申し訳ありません。
ファンド・オブ・ファンズは、ファンドの中に別のファンドを組みこんでいる商品です。
メリットとしては、一つのファンドで分散投資ができる、つまり国内債券、外国債券を
それぞれファンドに組み入れる代わりに、国内・外国債券に投資しているファンドを
組み入れれば済むからです。そのためデメリットとしては、コストが2重に掛かること
になります。ファンドの手数料+ファンドに組み入れているファンドの手数料です。
さて、同じ読者から、信託報酬についても、ご指摘がありました。
マイストーリー・株25について、「実質的に受益者が支払うのは年1.10%±0.15%」と
いうことです。
以上のご指摘を受けて、この連載について、次回のブログでまとめたいと思います。
続く
手数料は、運用の良くても悪くても必ずファンドから差し引かれます。
つまりマイナスのリターンで、コンスタントに投資リターンに悪影響を
与えます。
手数料=コストを信託報酬のみと仮定して計算してみましょう。
信託報酬は、ファンドから日々差し引かれていますが、計算するうえで、
便宜的に年一度引かれるものとしています。
100,000万円を次の二つの条件のファンドで運用したとします。
A:リターン=5% 手数料(信託報酬)=0.5%
B:リターン=10% 手数料(信託報酬)=1%
運用期間は30年です。
リスクは考慮せず、それぞれのリターンで運用できた場合、手数料の
影響はどうなるでしょうか?
まず受取額は、
A→ 371,853円
B→1,290,733円 です。
Bのほうが10%運用なので、当然受取額も大きいです。が。。。
手数料が引かれない場合は、
A→ 432,194円
B→1,744,940円 です。
30年間の手数料合計は、
A→ 60,341円
B→454,207円
手数料がなかった場合の元利合計で手数料を割ると、
A→14%
B→26% ということになります。
「こんなに多いの!」
手数料=コストは、常にマイナスのリターンとなることに注意してください。
ポートフォリオやそれを構成しているファンドに影響を与える要素として、
リスク=σ=ブレ幅があります。
先日のブログで作ったポートフォリオ(国内債券と日本株式で構成)では、
リスク=σ=5.34でした。
ポートフォリオのσの計算は、リターンや手数料のようにファンドの組入
比率による加重平均で計算しません。(→説明は3月18日のブログ)
仮にポートフォリオのσを加重平均で計算すると、どうなるでしょうか?
国内債券ファンド(A)のσは1.74%で組入比率は70%
日本株式ファンド(B)のσは19.62%で組入比率は30%
1.74×0.7+19.62×0.3=7.104
ポートフォリオのリターンや手数料はファンの組入比率の加重平均
だけれど、σ=リスクは加重平均より小さい値となります。
このポートフォリオ(国内債券ファンドが7割、日本株式ファンドが3割)の
リターンは3%、リスクは5.34%です。
100万円をこのポートフォリオで運用すると、1年間での騰落の幅は、
1,136,800円から923,200円です。
リスク=ブレ幅は2標準偏差内に収まる確率が95%ですから
値上がりすると→3+(5.34×2)=13.68%
値下がりすると→3-(5.34×2)=‐7.68%
リターンが3%のポートフォリオを作る場合、これまでの検証から、
債券ファンドを7割、株式ファンドを3割とするのが、大体の目安に
なるようです。
この1月から書き始めた『運用』に関するブログの目的の一つは、
ポートフォリオのリスクの計算でした。
自分に合ったポートフォリオを作ること、そしてそのリスクを
計算して認識しておくことは大切です。特にリスクが重要だと
思います。『自分のお金の運用先は、どれだけのブレ幅を持っ
ているか』を、確かめる参考になることを願っています。
ポートフォリオに入れる資産は、債券と日本株式とします。
ファンドは、次の二つを選択するkとにします。
◆債 券 は⇒野村国内債券インデックスファンド・NOMURA-BPI総合
リターン:1.24%、リスク:1.74%、手数料:0.618%
◆日本株式は⇒トピックス・インデックス・オープン(確定拠出年金向け)
リターン:6.88%、リスク:19.62%、手数料0.5985%
利回りを3%(手数料は考慮しない)とする場合、どのような配分となる
でしょうか?
債券ファンド=Aは、70%
日本株式ファンド=Bは、30% となります。
念のため、検算してみます。
1.24×0.7+6.88×0.3=2.932・・・約3%
次にリスクはどうなるでしょうか?
ファンドは二つなので、次の式にあてはめます。
・資産A、B、
・ウエイト(=資産割合):WA、WB
・リスク:σA、σB、
・相関係数:ρAB
(σABC)^2=WA^2*σA^2+WB^2*σB^2
+2*WA*σA*WB*σB*ρAB
リスクの計算には、相関係数が必要です。
ファンドAとファンドBの相関係数は、-0.53でした。
σ^2=28.53 なので、σ=リスク=5.34となります。
手数料(信託報酬)は、0.168%×0.7+0.5985×0.3=0.29715%
企業型DCの想定利回りは2%~3%なので、その範囲に収まる
ポートフォリオとなります。
但し、あくまでも計算の一例ですので、お勧めしているわけでは
ありません。
ポートフォリオのリターン、リスク、手数料(信託報酬)は以下のようになりました。
・ポートフォリオ・株25
リターン=5.07% リスク=4.6% 手数料=0.294
・ポートフォリオ・株50
リターン=8.9% リスク=9.9% 手数料=0.4202%
まず手数料ですが、これは運用の良し悪しにかかわらず、必ず必要です。
つまりファンドやポートフォリオに常に影響を与えるマイナスのリターンと
いうことになります。
手数料を考慮すると、それぞれのリターンは、
・ポートフォリオ・株25→4.48%
・ポートフォリオ・株50→8.48%
リスク=ブレ幅は、2標準偏差内に95%の確率で収まります。
それをもとにポートフォリオ・株25とポートフォリオ・株50は、ブレ幅は以下のよう
に推測されます。
・ポートフォリオ・株25は、値上がりすると13.68%、値下がりすると‐4.72%
4.48+(4.6×2)=13.68 4.48-(4.6×2)=‐4.72
・ポートフォリオ・株50は、値上がりすると28.28%、値下がりすると‐11.32%
上記の値より高騰したり、下落したりする確率は5%です。
つまり100年に2~3回しか起こらないということです。
さて、ポートフォリオのリスク、リターン、手数料の計算が分かったところで、
もう少し、DC掛金・積立金の運用について考えてみることにしましょう。
企業型DCでは、想定利回り※が大体2%~3%で設定されています。
例えば、3%の利回りのポートフォリオを作りたいとしたら、ファンドの配分は
どうなるでしょうか?
続く
※企業型DCにおける『想定利回り』とは、掛金及び積立金を運用する時の
目標とする利回りのことです。『想定利回り』通りに運用できれば、
退職金規程通りの金額の退職金を受け取ることができます。
最近、「中退共」「退職給付会計」「養老保険」等に関する検索が驚くほど
増えています。数か月前は毎日数件でしたが、今はブログの検索の8割を占め
ています。今年初めから、「運用」について書き始めたのですが、起きている
状況とのミスマッチに、実は慌てています。
適年の制度廃止まで後2年ということで、今までと違った状況が
起きつつあるのかなという気もします。
過去の記事をお読みいただくと、参考になることもあると思います。
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ポートフォリオのリスクの計算式は、以下のようになります。
・資産A、B、C
・ウエイト(=資産割合):WA、WB、WC
・リスク:σA、σB、σC
・相関係数:ρAB、ρBC、ρCA
(σABC)^2=WA^2*σA^2+WB^2*σB^2+WC^2*σC^2
+2*WA*σA*WB*σB*ρAB
+2*WB*σB*WC*σC*ρBC
+2*WC*σC*WA*σA*ρCA
※^2は2乗、*は×
バランス型ファンドの資産配分は、
・マイストーリー・株25が、株式が25%(日:17%、外:8%)、債券が75%
・マイストーリー・株50が、株式が50%(日・34%、外:16%)、債券が50%
なので、これと同じ資産配分のポートフォリオを
・ポートフォリオ・株25
・ポートフォリオ・株50
としてみましょう。
ポートフォリオに入れたファンドは、次の3つです。それぞれをA、B、C
としました。
A:債券インデックスファンドNOMURA-BPI総合
B:トピックス・インデックス・オープン
C:外国株式インデックスファンド
まず、ポートフォリオ・株25は、
資産割合=Wは、WA=75%、WB=17%、WC=8%
リスク =σは、σA=1.74%、σB=19.62% σC=24.2%
相関係数=ρは、ρAB=‐0.53、ρBC=0.92 ρCA=‐0.54
です。
この数字を、上記計算式にあてはめて計算すると、ポートフォリオ・株25の
リスクは、4.6%になります。
同じようにポートフォリオ・株50では、9.9となりました。
続く
ファンドA、B、Cの過去2年間四半期のリターンは以下の通りです。
年 期間 A B C
_________________________________________________________________________
2008 1~3 1.30% -17.10% -20.90%
4~6 -1.30% 8.80% 3.90%
7~9 ・ ・ ・
10~12 ・ ・ ・
2009 1~3 ・ ・ ・
4~6 ・ ・ ・
7~9 ・ ・ ・
10~12 ・ ・ ・
すみません。・・・のところは、数字をそろえてアップできなかったので、
・・・にしました。
次の相関係数の計算では、小数以下第3位を四捨五入しています。
ファンドAとBの相関係数は、ρAB=CORREL(Aの列:Bの列)=-0.53
ファンドBとCの相関係数は、ρBC=CORREL(Bの列:Cの列)=0.92
ファンドCとAの相関係数は、ρCA=CORREL(Cの列:Aの列)=-0.54
ファンドAは、国内債券のインデックスファンド
ファンドBは、国内株式のインデックスファンド
ファンドCは、外国株式のインデックスファンド です。
ファンドAとB、ファンドCとAは、相関係数がマイナスの値を取っている
ので、『相関が低い』ということです。
つまり、国内債券と国内株式、国内債券と外国株式は同時に同じ方向
に動きにくいということで、債券と株式を組み合わせると効率的にリスク
を分散することができるということになります。
逆に、ファンドBとC、つまり国内株式と外国株式は『相関が高い』ので、
この二つだけの組み合わせでは、リスクの分散は難しいということにな
ります。
相関係数が分かったところで、ファンドのリスク=標準偏差=σを計算
してみましょう。
続く
相関係数の計算には、エクセル=表計算ソフトの関数を使います。
CORRELという関数です。
この関数は、二つの配列の相関係数を計算するものです。
ここでいう配列とは、ファンドの同じ期間のリターンを列方向に並べた
ものです。
ポートフォリオに入れたファンドは、次の3つです。それぞれをA、B、C
としました。
A:債券インデックスファンドNOMURA-BPI総合
B:トピックス・インデックス・オープン
C:外国株式インデックスファンド
この3つのファンドの同じ期間のリターンを調べることになります。
AとBの運用会社は野村アセットマネジメント、Cは三菱UFJ投信です。
しかし残念ながら、同じ期間のリターンをそれぞれのホームページから
入手できませんでした。
そこで、モーニングスターのホームページに行き、調べることにします。
確か、Cの標準偏差=σも、三菱UFJ投信のホームページでは分から
なかったので、こちらも一緒に見てみましょう。
Cの過去1年間の標準偏差は、24.2%でした。
それぞれのリターンはというと、2008年、2009年の四半期ごとのリターン
入手できることが分かりました。
本当は、月次リターンで、できるだけ長い期間で計算するといいのかも
しれませんが、やむをえません。
入手できる情報で、計算してみることにします。
相関係数は、計算する資産の組み合わせにより、+1から-1の間の
数字になります。
計算結果は、どうなるでしょうか?
続く
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ポートフォリオのリスクは、リターンや手数料と同じように、加重平均
して計算するのではありません。
次のような計算を行います。
・資産A、B、C
・ウエイト(=資産割合):WA、WB、WC
・リスク:σA、σB、σC
・相関係数:ρAB、ρBC、ρCA
(σABC)^2=WA^2*σA^2+WB^2*σB^2+WC^2*σC^2
+2*WA*σA*WB*σB*ρAB
+2*WB*σB*WC*σC*ρBC
+2*WC*σC*WA*σA*ρCA
※^2は2乗、*は×
う~ん、この計算、面倒ですよね。
しかし、やらなければポートフォリオは完成しない。
冬季オリンピックの選手の活躍を見習って、やるしかないです。
相関係数とは、資産あるいはファンドが同時にどのような動きをするか
を数値化したものです。
『相関が低い』とは、同時に同じ方向に動きにくいということです。
相関係数が小さいほど、より効果的にリスク分散ができます。
ポートフォリオのリスクは、構成する資産のリスクの加重平均より
小さくなるといわれています。
ここで、問題は相関係数です。
相関係数には、エクセル=表計算ソフトに組み込まれている関数を
使います。
続く