厚生労働省は、厚生年金基金制度の改革を推し進めるために、この4月の国会に
関連法案を提出します。
AIJ投資顧問による年金消失問題を受け、厚労省は財政難が深刻な基金の改革案
を検討してきました。
民主党政権下では制度の全面廃止を打ち出していましたが、全面廃止に慎重な自民党の
主張を取り入れ、一部基金の存続を認めることになりました。
存続できるのは、最大でも1割程度で、積み立て不足を抱える多くの基金に解散を
促すこれまでの方針は変えていません。
運用の失敗で損失が拡大する事態を繰り返さないため、存続基準は厳しくなります。
最低限必要な積立金の1.5倍※の資産がある基金は例外的に存続を認める見通しです。
※純資産/最低責任準備金
この存続を認められる基金は、約560基金のうちの1割程度です。
法施行から5年間は、積み立て不足を抱える約4割※1の基金に対し、解散を促す
とされています。
但し、解散時に企業が債務を連帯して負う仕組みは廃止されます。
施行から5年後に、存続基準を満たさない基金には、厚労大臣から解散命令が出され
ます。
残りの5割※2の積み立て不足予備軍の基金には、10年以内に他の制度への移行か
解散を選択することになります。
加入者の年金受給権が守られるように、確定給付企業年金か確定拠出企業年金に移行
しやすい支援策も実施されます。
一部基金の存続以外では、厚労省の審議会での検討結果をほぼ踏襲した内容が法案に
盛り込まれます。今後は厚年基金制度の新設は認められず、大半の基金が解散したり、
他の制度に移行したりするため、実質的に制度の廃止をめざす内容となります。
※1:代行割れしている基金。代行割れとは、基金の積立金が最低責任準備金以下のこと。
最低責任準備金は、代行部分を賄うのに必要なお金。
※2:代行割れはしていないけれど、積立不足の基金。