厚労省は11月27日、厚生年金基金制度の廃止について専門委員会を開きました。
出席した大半の委員が廃止に賛成しています。運用難から積み立て不足の解消が
見えず、国から借りて運用している資産(=代行部分)での損失拡大を止めたいとの
意見が多かったということです。
厚生年金基金が廃止されると基金の年金受給待機者や年金受給者はどうなるかと、
心配している方も大勢いらしゃると思います。
この点については、既に一度、ブログで書いています。
⇒5月22日「厚生年金基金の事業所脱退と解散⇒代行部分や加算部分はどうなるのか?」
上記ブログは、最近、閲覧数がいちばん多くなっています。
基金の解散の場合は、基金が代行部分の資産(最低責任準備金)を国※1に返した後、
基金に残る資産=残余財産によって、年金受給待機者や年金受給者、加入者に支払わ
れるお金が決まります。
残余財産の分配方法は、基金の規約に書いてあります。
基金の積立時状況によっては、残余財産が全くないということもあります。
これについては、厚生労働省から11月2日に公表された、「厚生年金基金制度の見直し
について(試案)」の中に、以下のような記載があります。
「受給者にも一定のルールの下に負担を求める。」
これは、追加掛金の負担では、もちろんありません。
基金の残余財産が少ない、あるいはまったくないという場合には、基金独自の給付である
上乗せ給付については、これまでと同じ支給はできないということです。
では、厚生年金も減額になるのかというと、これはそうではありません。
この点についても上記試案に書かれています。
「これまで基金が給付していた厚生年金の代行給付は、代行割れ※2の有無にかかわら
ず、厚生年金本体から全額支給する。(代行給付は公的年金給付であるため、代行制度
の廃止により減額されることはない。)」
※1:通常の解散の場合、最低責任準備金は企業年金連合会に納付
特例解散の場合、最低責任準備金(又は減額責任準備金)は国に納付
※2:基金の積立金が代行部分に必要な金額である最低責任準備金より少ないこと