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厚生年金基金の改正法が成立・・・一番問題なのは?

2013-06-25 09:56:58 | 厚生年金基金

厚生年金基金制度については、基金制度の見直しに関する法案「公的年金制度の
健全性及び信頼性の確保のための厚生年金保険法等の一部を改正する法律案」
が、6月19日に参議院本会議で賛成多数で可決、成立しました。

これにより、基金の約9割は解散に向かうと思われます。

基金の現状はどうなっているのでしょうか?

6月1日現在の数字は、以下の通りです。

基金数・・・555(単独・連合型69  総合型486)

加入員数・・・403万人※

受給者数・・・268.5万人(平成24年3月末)

加入事業所数・・・10.4万事業所

数字は、企業年金連合会で公表されているものを使っています。
※加入員数は、平成24年3月末の数字を今年6月1日の基金数で修正しています。

気になるのは、加入者と受給者あわせて約700万人という数字です。

健全な基金として、残るのは1割といわれていますから、解散する9割に基金は、
程度の差こそあれ、必要な資産に不足が生じていることになります。

つまり、700万人のうち9割り560万人前後の人たちが、基金の規約で約束され
ていた金額を受け取ることができないということです。

必要な資産に対する不足額は、事業主が補てんすることになります。
この負担は、かなりの金額になるので、こちらの問題がクローズアップされていますが、
でも、加入者・受給者等が被る不利益も大きな問題です。

退職金の一部を構成している場合は、深刻です。

労使合意などで、お困りの場合は、ご相談ください。

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厚年基金の解散に伴う不足額の負担を減らす確かな方法は、ない?

2013-06-18 09:37:14 | 厚生年金基金

この国会で審議されている、厚生年金基金制度を改正する法案は、厚生年金基金
制度を事実上廃止する内容となっています。

この法案が、国会で可決され、施行されると、現存する基金の約9割が、解散すること
になりそうです。

基金の財政状況にもよりますが、解散時に事業主が負担する不足金は、結構な金額
となると思われます。

その負担を減らすための手段として、標準報酬月額を下げる、退職してもらい、雇用
形態を変更する、といった方法を実行する?

上記のようなやり方は、リスクが伴うということを、まず認識してください。

お気持ちは分かりますが、私はあまりお勧めしません。

そのようなやり方に、不自然な点があると、基金事務局との間でもめることになります。

解散に伴う不足金の金額の計算根拠をめぐって、事業主と基金事務局の争いになった
場合、厚生労働省は、基金事務局の言い分を擁護すると思います。

私のところにも、問い合わせがあるのですが、「意図的なやり方は、しないほうがいい。」
と、お答えしています。


厚生年金基金制度改正法案について

2013-06-11 09:28:12 | 厚生年金基金

厚生年金基金制度の見直しに関する法案「公的年金制度の健全性及び信頼性の
確保のための厚生年金法等の一部を改正する法律案」については、衆議院厚生
労働委員会での審議が行われ、5月22日に民主党の主張を一部取り入れた上で
賛成多数で可決されました。

翌23日には衆議院本会議において賛成多数で可決しています。

法案は、参議院に送付され、この6月には審議に入る予定です。

今国会で成立する可能性が大きくなってきました。

法案の内容は、実質的には基金制度廃止です。

基金の約9割は、解散することになります。

解散には、自主解散解散命令による解散があります。

自主解散を選択すると、不足金の納付に関する連帯債務がなくなります。

基金の財政状況が比較的よいとの判断で、基金を存続させて、その後存続が
難しくなった場合、解散命令による解散」に追い込まれると、連帯債務を負わさ
れることになります。

一種の恫喝ですが、改正法の施行の後5年以内に自主解散を選択する基金が
ほとんどだと思われます。

自社やクライアントが加入している基金について、事業主や社会保険労務士から
問い合わせ、相談が入ってきています。

気になることは、何なりとお尋ねください。

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厚生年金基金制度の廃止と中小企業共済の利用について

2013-06-04 10:47:03 | 中小企業退職金共済

昨年の11月21日に、中小企業退職金共済の減額に関する報道がありました。

厚生労働省が、中退共の減額の根拠としているのは、繰越決算金です。
繰越欠損金は、赤字のことです。
今年3月末で、1,741億円あります。
この繰越決算金の償却が、運用環境の悪化により、思うように進んでいない
のです。

一方、中退共の積立金は、約3兆7,700億円です。
現在の中退共の予定運用利回りは、1%です。

厚労省による中退共の減額案の解説の前に、中退共への加入が得か損か?
ですが、私は、あまりお勧めできません。

例えて言うなら、ある金融機関に37,000円預けていると1年で370円の利息
が付くけれど、知らないうちに1,741円減っていた、というのが今の中退共制度
です。

厚労省の中退共減額案は、
1.予定運用利回りを現在の1%から0.8%に引き下げる。
2.それに合わせて、現在の最低掛金を5千円から増やして、不足している積立金
  の上積みに充てる。
  ⇒つまり、積立不足を契約者=事業主に負担させる。

3. 基礎退職金に追加して加入者に支給している「付加退職金」を減額する。
   1%以上の運用益が出た場合、半分を受給者に支給していますが、支給する
   割合を下げて積立金に充当する。

となっています。

このところ、株価が上がってきているので、中退共の予定利回りの引き下げ等に
ついては、とりあえず棚上げされているようです。

しかし、問題は解決されたわけではなりません。

厚生年金基金の廃止案をうけて、基金の加算部分に代わる積立を中退共でと、
お考えの事業主もいると思いますが、慎重に検討されることをお勧めします。