昨日発表された追加経済対策に中に、「企業型確定拠出年金での
個人拠出を導入」が、盛り込まれていました。
企業型確定拠出年金では、掛金は企業が従業員の個人口座に拠出し、
それを従業員が運用する仕組みです。掛金の拠出は企業のみができ、
従業員個人が企業型へ掛金を拠出することができません。
それが、従業員個人も、企業型確定拠出年金へ掛金の拠出ができる
ようになります。
確定拠出年金制度をより使いやすい制度とするため、企業年金連合会
から2009年度の企業年金税制改正に関しては、以下の要望が出され
ていました。
①特別法人税の撤廃
②確定拠出年金に関する税制の改善
・本人拠出(マッチング拠出)の導入
・拠出限度額の撤廃もしくは引き上げ
③加入者範囲の拡大
④脱退一時金受取要件の緩和
⑤制度間におけるポータビリティの拡充
②の本人拠出(マッチング拠出)は、所得控除との関係で、これまで
難しいとの見方がありました。
が、一挙に動いたとの感じです。ちょっと驚いています。
企業年金連合会では、自助努力による老後の所得保障を拡充するため
に、本人拠出を容認する必要性を指摘していました。
企業型確定拠出年金の掛金は、給与比例の定率型が多くなっています。
そのため、給与水準の低い若年従業員は多く積立てすることが不可能で、
資産運用の複利効果を十分に享受できず、給与水準の上がった中高年は、
拠出限度額が低いため若年期の不足を埋めることができません。
以上の問題を解決するのに、マッチング拠出が求められていました。
マッチング拠出による本人掛金は、所得控除となると思われます。
税金がかからないお金による、老後生活資金の形成が期待できます。
米国の、いわゆる401Kは、本人拠出が制度の広がりに大きく寄与して
います。
日本でも、やっと本格的な確定拠出年金の時代になろうとしています。
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確定拠出年金制度の中での資産の運用は、分散投資が基本です。
「ひとつ籠に卵を盛るな。」です。
日本株式の期待リターンを5%、リスクを20%として考えてみます。
(日本株式の期待リターン=5%、リスク=20%は1級DCプランナーの資格
更新テキスト2008年度版応用実務編を参考にしています。)
10,000円で買った日本株が1年後に10,500円になることを期待していたと
します。リスク、つまり将来リターンとのズレ=リスクは20%です。
リターンに対するリスクは標準偏差という言葉で表します。
将来リターンとのズレは、約95%がプラスマイナス2標準偏差内に収まると
されています。
計算すると、5%以上に高騰すると、5%+2×20%=45%なので、14,500円
まで上がる可能性があります。
反対に大きく値を下げると、5%-2×20%=-35%なので、6,500円まで下落
するかもしれません。
単年度で見た場合、通常では10,000円が10,500円となると期待されますが、
14,500円から6,500までの間でずれる事があるということです。
14,500を超えての高騰や逆に6,500円以下になることは、100年に2~3回の
確立で起きる可能性があります。
10,000円が14,500円になるのは歓迎だけれども、6,500円は耐えられない
という場合は、株式以外の資産も運用商品に加えていきます。
リスクのない安全資産として、0.65%の金利の定期預金に資産の6割をシフト
するとどうなるでしょうか。
期待リターンは、5%×0.4+0.65%×0.6=2.39%となります。
そして、最大損失率は、(5%-2×20%)×0.4+0.65%×0.6=-13.61%
となります。
投資額が1万円なら、単年度での価格の下落は8,639円までになります。
(これ以上の下落は、100年に2~3回しか起こらない。)
このように、株式だけで資産を運用するより、他の資産を加えた方が、リスク
をおさえることができます。
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昨日10月27日朝7時からのNHKの「おはよう日本」で、5分間ほど、
企業年金の運用の問題について、放送がありました。
株価の下落、急激な円高が企業年金の運用に深刻な影響を及ぼし
ているという内容でした。
10月24日のブログでお伝えしたように、この番組の中で、本当に少し
だけ、10月22日の勉強会の模様が写し出されました。
勉強会では、「悩み深まる日本の企業年金運用」と題して、元・朝日
新聞厚生年金基金常務理事で現在山梨学院大学の講師をしておら
れる吉田弘文氏が、講演されました。
お話はNHKの報道のニュアンスとは違い、「運用環境悪化は深刻な
問題だ、困ったことだ。」というような内容ではありませんでした。
現在の状況を踏まえて、年金基金の運用のあり方について、分かり
やすく解説してくださいました。
勉強会の内容は、DCプランナーのメールマガジンに掲載されると思い
ますので、それを待ってお知らせということにします。主催者より先に
内容を書いていいかということになりますので。
さて、企業年金の運用、確定拠出年金の企業型、個人型にご加入され、
掛金を運用されている方々や個人投資家の方々が株価の下落に悩ま
れていることは、最近よく報道されています。
株価の大幅な下落など運用環境の変化には、
①運用資産を時価で計算し、決めてある資産配分比率と大幅にズレが
生じている場合は、リバランスする。→決めてある資産配分へ戻す。
②運用資産や配分比率そのものを見直す。→例えば株式を減らして
債券を多くする。
③何もしないで、静観する。
があると思います。
企業年金の運用は①で行うそうです。(上記、吉田弘文氏のお話)
新聞、マスコミでは、個人投資家には②をお勧めしているようです。
それから、③もあると思います。
どれがいいとかではなく、ご自分にあった方法はどれかということです。
→続く
「企業年金の運用」について、NHKテレビで放送予定があります。
10月27日(月)朝7時からの「おはよう日本」のなかで5分ほど放送される
ようです。
10月22日(水)6時半からDCプランナーの勉強会が東京都内でありました。
勉強会は、企業年金の運用について、元・朝日新聞厚生年金基金常務理事
で山梨学院大学講師の吉田弘文氏によるのもで、「悩み深まる日本の企業
年金運用」と題して行われました。
会場に行くと、いつもと違いカメラとマイクがありまして、何かなと思ったら、
主催者からNHKの取材だと説明がありました。突如決まったのだそうです。
取材は勉強会とその後の懇親会が収録されました。合計で6時間の取材で
放送されるのは、5分間の内容にまとめられるそうです。
放送予定の日時は、27日朝7時台の「おはよう日本」とのことです。
日時が変更になることもあるかもしれませんが、興味がおありでしたら、ご覧
いただくといいのではないかと思います。
勉強会は、大変参考になりました。
27日に何かの都合で放送されなかった時は、翌日以降の同じ番組で放送さ
れるそうです。
(ちょっと余計なことですが、)私は勉強会のみ参加しました。
いつものことですが懇親会(飲み会)には出ていません。
決して嫌いではありませんが。。。
前回のブログでお伝えしたように、「役割等級人事制度」については、
適格退職年金の移行コンサルティングを始めるにあたって、勉強する
機会がありました。
関西生産性本部の西村聡先生の集中講義に参加させて頂きました。
「役割等級人事制度」は、「同一役割・同一賃金」がベースとなる制度
です。役割が変わらなければ、賃金も変わらないということで、人件費
の膨張を抑える効果のある制度です。
が、そういった側面だけでこの制度を捉えるのは問題です。
「役割等級制度」は、なによりも人事制度と経営戦略をリンクさせる手段
です。「役割等級制度」の目的は、経営戦略の実現であり、マーケット
での競争に勝ち、企業が成長発展することにあります。
「役割等級制度」を構築するには、企業の内部環境・外部環境を分析
することから始めます。その上で、企業の基本戦略、長期目標を設定
し、ビジネスプロセスの構築→必要なプロセス機能の選択→経営資源
の配分の検討→個別ビジネスプロセスの確認→職務行動の明確化→
役割成果の明確化→役割成果の評価などといった過程をとって設計し
ます。
「役割等級人事制度」は、賃金抑制を目的とした制度ではなく、企業が
市場で勝ち残り、成長発展していくための経営戦略を実現することを
目的とした人事制度です。
そして、大切なのは、「役割等級人事制度」は、従業員のモチベーション
アップを促すとともに、従業員にとって分かりやすい、公平感のある制度
であることが必要だということです。
西村先生の講義で使ったテキストは、今でも大切にしています。
人事制度で分からないことがあると、紐解いて読んでいます。
市販されている本としては、
「役割等級人事制度 導入・構築マニュアル」
西村 聡著 三浦 眞澄構成
日本法令発行 2,000円+消費税
があります。
こちらの本も、時々読み返して参考にしています。
退職給付制度の再編、適格退職年金の移行や退職一時金制度における準備
手段の検討などについてコンサルティングを行う時、その企業の人事制度にも
踏み込まなければいけないことがあります。
中小企業では、人事・給与制度は改定したけれど適格退職年金を使った退職
金制度はそのままにしてある、給与制度も退職一時金制度も数十年前の制度
をそのまま維持している、あるいは、かなり高いコンサルティング費用を払って
改定したと思われる人事制度が結構使いづらいものになっている、といった事
例によく出会います。
もともと退職給付制度は人事制度の一環なので、退職給付制度に関する仕事
をするときには、人事制度、給与制度と切り離して考えることはできません。
退職給付制度のコンサルティングには、人事・給与制度に関する知識が必要だ
と思います。
今回のブログは、ちょっと唐突な感じですが、実は、「役割等級人事制度」に
ついて書いてみようと思い立ちました。
それは、1級DCプランナーの資格更新のための通信教育テキストの中に、この
「役割等級人事制度」という言葉があったからです。
(資格更新は今回で3回目ですが、資格更新テキストで「役割等級人事制度」
について言及しているのは、初めてだと思います。)
「役割等級人事制度」は、「同一役割・同一賃金」が原則です。
役割の変更がない限り、賃金も変わりません。よって人件費が増えるのを抑制
する効果がある制度です。
この「役割等級人事制度」については、適年の移行コンサルティングを始めるに
あたって、6~7年前に勉強しました。
→続く
前回のブログでお伝えした、厚生労働省、中小企業庁、中小企業退職金共済
の資料のうち、一番ご覧頂きたいのが、中小企業庁の適格退職年金の移行
事例集です。
これは、適格退職年金の移行を取り上げたものですが、適年のみの移行では
もちろんなく、他の退職給付制度も含めた移行事例となっています。
移行先は、確定給付企業年金、確定拠出年金、中小企業退職金共済です。
全部で14例が紹介されています。確定給付企業年金への移行は2例、確定
拠出年金への移行は9件、中退共が3例です。
社員数が40名で確定給付企業年金を使った企業もあれば、社員数が100名
では、確定拠出年金の企業もあれば、中退共の企業もあるといった事例等が
紹介されています。
ある意味、固定観念を払拭するのに役立ちます。企業規模で移行先を考える
のではなく、移行を検討する場合は、企業の持っている問題意識が大事だと
いうことを教えられます。
最後にアンケート調査の結果が載っています。
各制度ごとに、従業員規模や制度改定の理由、その制度を選択した理由など
の集計結果を見ることができます。
次に見ていただきたいのが、厚生労働省の企業年金の運用実態です。
確定拠出年金を実施している企業の規模による集計が載っています。
事業主単位の従業員データをみると、確定拠出年金を導入している企業は、
従業員300人未満の企業が約80%を占めていることがわかります。
確定拠出年金を導入しているのは、大企業が中心というイメージが覆されます。
ホームページは、左下にあるブックマークの「適格退職年金の移行コンサル
ティング」をクリックしていただけると、ご覧いただけます
今回ご紹介した資料は、5ページ目にあります。
「適格退職年金の移行先の選択に失敗しなし、中小企業のための適年移行
ハンドブック」を発売したおかげで、いろいろな方と情報交換させていただいて
います。
「適年移行ハンドブック」や、このブログでは、適年の移行に保険商品を使う
ことについて、注意を促しています。
保険会社の方や、保険代理店の方ともお話を致しました。
ある代理店の方は、「でも保険を売らないと、食べていけない。」とおっしゃって
いました。それを否定するつもりはまったくありません。
ただ、私が言いたいのは、退職給付会計の問題を何も語らないで、養老保険を
勧めないでほしいということです。
企業によって、企業風土、企業文化はまちまちです。
また、その企業に適年移行プランをお勧めする人の立場、お考えも様々です。
私は、結局は、企業風土に合わないものは受け入れられないと思います。
ですから、保険商品もありだと思います。
さて、しかしながら、コンサルティングには客観的な視点も必要です。
その場合にお役に立つデータ、資料をホームページに掲載しました。
5ページ目になります。厚生労働省と中小企業庁、そして中小企業退職金共済
のホームページから採っています。参考になることもあると思いますので、是非
ご覧下さい。
ホームページは、左下にあるブックマークの「適格退職年金の移行コンサル
ティング」をクリックしていただけると、ご覧いただけます。
6月26日から7月10日まで、5回にわたりお知らせした、「適格退職年金の
移行先の選択に失敗しない、中小企業のための適年移行ハンドブック」
は、適年の移行を検討する場合のポイントと移行方法をまとめたものです。
A5版、48ページ、500円(税込)で好評発売中
お申込は
①送付先ご住所
②お名前
③お電話番号(なくてもかまいません。)
④必要部数
をお書きの上、下記メールアドレスまでお願い致します。
goo0218_2007@mail.goo.ne.jp
この6年で、適年を他の制度へ移行した数字について、もう少し詳しくみて
見たいと思います。
他の制度へ移行した適年は、23,577件で、その内訳は次の通りです。
→中小企業退職金共済 14,325件(60.7%)
→確定拠出年金 4,707件(20.2%)
→確定給付企業年金 4,475件(19.0%)
→厚生年金基金 70件(0.3%)
上記のうち、確定拠出年金、確定給付企業年金、厚生年金基金へ移行した
件数は、9,252件件です。6年で割ると年間1,542件となります。
つまり、年間1,542件が、適年の移行に携わってる全ての金融機関の処理
能力と見ることができます。適年から他の制度へ移行する際の制度設計や
手続きに関する処理能力です。
中小企業退職金共済への移行も、制度設計が必要で、確定拠出年金制度へ
の移行と同じ様な手間が掛かります。違うのは投資教育が必要ではないという
点だけです。が、ここではその問題は、置いておくことにします。
さて、話を元に戻しますと、今後4年間(2008年4月時点)で、制度設計をして
適年を他の制度へ移行可能な件数は、1,542件×4年=6,168件となります。
適年は、今年4月時点で、32,826件残っていました。
適年を継続している企業の事業主、担当者、労働組合の役員の皆様、
腰を上げてください。「まだ大丈夫、まだ時間がある、金融機関がなんとか
してくれる。」といっていたら、手遅れになります。
前回と今回のブログに関するお問合せは、
下記のメールアドレスまでお寄せ下さい。
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ホームページからのご連絡も可能です。
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2012年(平成24年)3月31日の適年の制度廃止まで、あと3年半となりました。
それまでに、残っている適格退職年金は、他の制度への移行が間に合うので
しょうか?物理的に無理ではないかと思うのです。
まずは、数字を見てみましょう。
2002年(平成14年)4月1日時点での適格退職年金
・件 数 73,582件
・加入者数 917万人
・資産残高 22兆6,594億円
↓
2008年(平成20年)4月1日時点での適格退職年金
・件 数 32,826件
・加入者数 443万人
・資産残高 11兆7,433億円
6年経過した割には、減っていないと思います。
さて、解約された適年は、40,756件です。
そのうち、他の制度へ移行しなかったのは、17,179件です。任意解約あるいは
企業の倒産などによるものです。
他の制度へ移行した適年は、23,577件で、その内訳は次の通りです。
→中小企業退職金共済 14,325件(60.7%)
→確定拠出年金 4,707件(20.2%)
→確定給付企業年金 4,475件(19.0%)
→厚生年金基金 70件(0.3%)
つまり、6年間で23,577件の適年が、他の制度へ移行しています。
今年4月はじめ、適年の制度廃止まで4年というところで、まだ32,826件残って
いました。単純な数字の比較だけからも、無理ではないかと思えてきます。
今でも適年を継続しているということは、これからも企業年金等で退職金の積立
をしていきたいと考えている企業がほとんどだろうと思いますので、これからは
任意解約ということは、少ないはずです。
→続く