コンサルティングは自転車に乗って⇒企業年金総合プランナーのブログです。

企業年金・退職金制度全般に関するご相談を行っています。
お気軽にご連絡下さい。

中小企業が主に加入している、総合型の厚生年金基金は、なぜ残っているのか?

2012-07-31 09:45:08 | 厚生年金基金

先週のブログ、「総合型の厚生年金基金は、なぜ残っているのか?」の続きです。

ある金融機関の方とお話をしていて、その方は、「基金に加入している企業の事業主に
解散しましょうといって、腹を括ってもらう話ができるかがポイントで、それを言える人は
そうはいない。」と言いました

厚生年金基金は、適年の場合のように、10年という移行期間を定めて廃止ということが
決まっているわけではないので、踏み込みにくいということがあると思います。

だからといって、ズルズルとほおっておいていい問題ではありません。

私は、特別掛金の負担が重くなっている企業の事業主に、解散を勧めます。

特別掛金は、基金の積立不足を償却するための掛金で、本来であれば、負担しなくて
もいい掛金です。しかも全額事業主の負担になります。

特別掛金の金額を重いと感じる企業、このくらいはなんでもないという企業、それぞれ
だと思います。が、その特別掛金や加算掛金で、企業がそれぞれが別の制度を作った
ほうがいいです。

厚生年金基金は、国の厚生年金の報酬比例部分を代行しているので、一見積立金が
沢山あるように見えますが、実際は、企業年金にあたる加算部分の積立金が全くない、
あるいは5割とか3割くらいしかないという基金がほとんどです。

加算部分は企業年金なので、適年に置き換えて考えると、積立金ゼロあるいは必要な
金額の5割以下、3割以下の適年ということになります。
無理に維持しようとしても仕方ないですよね。

また、今のような経済情勢が続いた場合(多少改善されたとしても)、今後も国の厚生年金
の報酬比例部分の維持(つまり代行)に責任が持てるのか?ということです。

いや、日本経済の未来は明るい(実は、私もそう願っている一人ですが)と考えていても、
国の厚生年金を代行するというリスクを、中小企業は負うべきではないと思います。

厚生年金基金については、企業・事業主が何の痛みもともなわず、国が何とかしてくれると、
思っている事業主は、まさかいないと思います。

背中を押してあげる人が、周りにいないのではないかと思います。

社労士の皆様、どうか顧問先の事業主の背中を押してあげてください。

厚生年金基金について、お悩みの場合や分からないことがお有りなら、是非お尋ね下さい。

ご質問やお問合せは、メールまたはお電話で。
 sai@rice.ocn.ne.jp   
 04-2955-3407

 彩コンサルティングのホームページ
    ↓  ↓  ↓
左下のブックマークにある「企業年金・退職金コンサルティング」です。


総合型の厚生年金基金は、なぜ残っているのか?

2012-07-24 11:56:06 | 厚生年金基金

厚生年金基金は、平成12年度末に1801基金がありました。
それが、今年6月1日における基金の数は、576となっています。
この12年間で約68%減少していることになります。

この576残っている基金のうち、中小企業が主に加入している総合型は、494基金
あります。残りの82基金は単独型、連合型です。

中小企業が加入している総合型基金が多く残っているのには、理由があります。
 基金に加入している企業の問題、 国の問題、 金融機関の問題です。

基金をやめるには、代行返上、解散、脱退があります。
脱退には、その企業が将来負担することになっている積立不足を一括拠出する
必要があり、この負担が大変重く、やめるにやめられない状況です。

代行返上は、厚生年金の報酬比例部分=代行部分を国に返上した後、加算部分に
替わる制度を基金に加入していた全ての企業で新たに作ることになり、それを望まな
い事業主の方が多いと思われます。

解散は、基金の代議員数の3/4以上の賛成が必要です。
規約で定められている解散時に必要とされる金額(最低積立基準額または最低責任
準備金)と積立金との差額は一括拠出することになります。

 は、つまり、脱退は負担が重く、代行返上と解散は、一企業あるいは数社の意向
だけではどうにもならないということです。

 は、税制適格退職年金のように10年間の移行期間を定めて、廃止するというよう
な、施策を国が示していないということです。
総合型基金の積立不足は、中小企業の経営を圧迫しています。
基金の積立不足は、適年より深刻ではないでしょうか。

 は、国が適年の廃止のような施策を打ち出してないので、当然ですが、金融機関は
企業サイドにたった取り組みをしていません。
基金を受託している金融機関としては、基金の解散は、何の“うまみ”もありません。

適年は、「上と下からなくなっていった。」と言われています。
つまり、金融機関にとって、適年に替わる制度を提案し、適年の資産をそっくりもらえる
メリットが大きい、加入者の多い適年から移行が始まり、加入者の少ない適年は、適切な
情報がないまま、事業主が解約していったということです。

中小企業が主に加入している総合型基金は、解散されるより存続していたほうが、金融
機関には、ありがたいということになります。

先週は、18日に都内で、ある基金に加入している数社の事業主へ現状の説明を行い、
19日は広島でセミナーを2回行い、社労士の先生方と情報交換し、20日は名古屋で
事業主と基金の解散に向けての問題点等をお話ししました。

基金の問題では、必要な情報が事業主、社労士の方々に届いていないと感じました。
適年のときもそうでしたが、情報不足は基金のほうがより深刻です。


厚生年金基金の解散のポイントは、理事会の過半数の賛成と幹事会社の承認

2012-07-17 09:06:25 | 厚生年金基金

加入している厚生年金基金の解散を行おうとする場合、基金に加入している企業の
意向だけでは、埒が明きません。
基金が解散に向かうためには、理事会の過半数の賛成による決議が、まず必要です。

基金の現状を把握するには決算書ですが、基金を解散するための段取りは、規約に
書いてあります。

規約の代議員会と理事会の条文を確認しましょう。
理事会は、何名で構成されているか?

理事の過半数に、解散に賛成してもらうこと

次は、基金の運営を委託している金融機関、その幹事会社に、「基金を解散する。」
意向を固めてもらうこと

以上の段取りのほかに、もうひとつ重要なことがあります。
解散する時の積立金の額を何と定めてあるかです。

通常、規約の本則には、解散時に基金が保有すべき金額としては「最低積立基準額」
と記載されています。

これだと、解散時に加入企業が一括拠出すべき金額の負担が、大きくなります。

規約の附則もよく読んでください。

附則で、解散時に必要な金額を、「最低責任準備金」と定めてないと、規約を変更する
手続きを行っておいた方がいいです。

「特例解散」が適用になりそうな場合でも、上記の解散時に保有すべき金額の確認は
行っておくべきです。
「特例解散」が適用にならず、通常の解散となることもあり得るからです。

規約の変更には、代議員会の2/3以上の賛成と厚生労働大臣の認可が必要です。

7月19日(木)広島の三原市と福山市でセミナーを行います。

詳しくは、6月26日のブログ、又はホームページのセミナーのページをご覧ください。

 彩コンサルティングのホームページ 
    ↓  ↓  ↓
左下のブックマークにある「企業年金・退職金コンサルティング」です。


厚生年金基金の規約を読むときは、附則に注意してください。

2012-07-10 09:46:46 | 厚生年金基金

AIJ投資顧問の問題をうけて、厚生年金基金に関心が集まっているようです。

基金に加入している企業では、その基金がどのような状態にあるか気になっていると
思われます。

基金の現状を把握するには、基金の決算書と規約を読むことになります。

決算書については、以前、このブログで書いています。
⇒2月21日(継続基準と非継続基準)と28日のブログ(成熟度)

基金の規約は、当たり前といえば当たり前ですが、附則に注意してお読み下さい。

規約を読むとき、気になるのは、「脱退」や「解散」です。
これらについては、当然、本則に記載されていますが、要件が変更されている場合が
あり、変更されている場合は、附則に記載されています。

変更されている要件のうち、注意したいのは、「脱退」や「解散」の場合、一括拠出する
ことになる不足金の計算方法です。
読み間違えると、「脱退」・「解散」の方向性を間違えることになります。

 ご注意ください。

5月22日の記事「厚生年金基金の事業所脱退と解散⇒代行部分や加算部分は
   どうなるのか?」に、正確ではない記述がありました。

   基金を事業所脱退した場合、基金から加算部分を年金で受け取る権利(受給権)
   がある人の代行部分と基本上乗せ部分の取り扱いについてです。
   本日、訂正いたしました。

 但し、事業所脱退など、基金から中途脱退した場合の取り扱いは、基金の規約に
    より、その内容が違います。5月22日の内容は、その1例です。

 7月19日(木)広島の三原市と福山市でセミナーを行います。

詳しくは、6月26日のブログ、又はホームページのセミナーのページをご覧ください。

 彩コンサルティングのホームページ 
    ↓  ↓  ↓
左下のブックマークにある「企業年金・退職金コンサルティング」です。
   
ご質問やお問合せは、メールまたはお電話で。
 sai@rice.ocn.ne.jp   新しいメールアドレスです!
(これまでのアドレス goo0218_2007@mail.goo.ne.jp も使えます。)

 04-2955-3407


厚生年金基金、解散時の連帯負担の廃止とは。。。

2012-07-03 06:21:08 | 厚生年金基金

6月29日の20時33分に配信されて日経電子版に、「厚生年金基金の連帯負担廃止で解散
しやすく」という記事がありました。

この記事に少し説明を加えると、いわつる「特例解散」の場合、国に返済するお金は、分割
納付できるのですが、その分割納付の途中で、倒産した企業があると、その倒産した企業
の負担金の残額を基金に加入している他の企業が連帯して肩代わりするルールを失くす
ということです。

「特例解散」とは、昨年8月10日に成立した「年金確保支援法」にある基金の解散方法です。
解散時に国に納付する最低責任準備金を保有していない基金に適用され、最低責任準備金
を減額できる(不足分の一部が免除される。)ことが定めてあります。

さて、この「特例解散」の場合の分割納付ですが、原則5年の分割納付ですが、やむを得ない
場合には、10年まで延長できます。
更に、10年に延長した後、どうしても困難な場合は、最長で15年まで延長が可能です。

「特例解散」の分割納付について書いてある記事や報道では、「原則5年やむを得ない場合
は10年とすることができる。」となっていますが、正確ではありません。

「年金確保支援法」には、「猶予した期間と合わせて15年を超えない範囲で期間の延長が
できる。」と書かれています。 ⇒実は、厚労省に電話して確かめました。

但し、分割納付には、運用加算金という「延滞利息」がつきます。
厚生年金本体の運用利回り分が加算されるのです。一括で国に返したら当然つくはずの
利息分ということです。

余り長い期間での分割納付は、好ましくありません。

 7月19日(木)広島の三原市と福山市でセミナーを行います。

詳しくは、6月26日のブログ、又はホームページのセミナーのページをご覧ください。

 彩コンサルティングのホームページ 
    ↓  ↓  ↓
左下のブックマークにある「企業年金・退職金コンサルティング」です。