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「中退共から確定給付企業年金への移行」についてのご質問と「適年 養老保険」について

2008-12-01 11:04:50 | 中小企業退職金共済

先週11月29日(土)のブログ、「中退共から確定給付企業年金への移行」
について、ご質問がありました。
「中退共から確定給付企業年金へ移行できるとする根拠は何か?」という
ご質問です。以下それについての説明となります。

根拠は確定給付企業年金法の附則第17条の「中小企業退職金共済法の
一部改正」の条文です。

また、簡単ですが中退共のパンフレット「中退共制度あらまし」(赤に白抜き
の文字)の4ページにも、「加入後、従業員の増加により中小企業でなくなった
場合、一定の要件を備えていれば、確定給付企業年金制度または特定退職
金共済制度に退職金相当額を引継ぐことができます。」と記載されています。

さて、次の標記の「適年 養老保険」ですが、こちらは、昨日11月30日(日)に
私のブログを読んでくださった方の検索ワードです。これについては繰り返し
書いてきました。また今週~来週のブログでも、触れる予定です。
適年の移行に養老保険は使わない方がいいです。

実は先日、ブログのアクセス解析をしていて、偶然、退職給付会計と保険商品
について間違った記述を見つけました。
2006年の書き込みなので、もう訂正されているかも知れませんが、税理士の
方のブログのようです。
内容は、「企業の決算期の長期定期保険等の解約返戻金は、退職給付会計
上の年金資産として扱える。」という説明です。
これは、できません。保険商品の積立金は、退職給付会計上の年金資産とは
なりませんので、ご注意ください。

ご質問やお問合せは、メールまたはお電話で。
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「中退共からDCへの移行」と「確定給付企業年金 積立不足」

2008-11-29 22:30:24 | 中小企業退職金共済

昨日、11月28日(金)に、「中退共からDCへの移行」と「確定給付企業
年金 積立不足」という検索ワードで、私のブログを訪れた方がいました。
お役に立つ内容は見つからなかったのではないかと思います。
もう一度見ていただけるか、また下記の内容が適切な答えか変わりま
せんが、簡単にご説明いたします。

「中退共からDCへの移行」
これは、中退共の積立金をもってDCへ直接に移行ということでしたら、
できません。中退共の積立金をDCへ持ち込みたいのなら、一度中退共
から確定給付企業年金に移行します。それからDCへ移行という手順を
取れば、可能です。でも、そこまでして、ということになりますよね。
でしたら、中退共の掛金を減額して、その分をDC掛金とするという方法
を取ることになります。中退共の掛金の減額に当たっては、当然ながら
従業員の同意が必要です。

「確定給付企業年金 積立不足」
これは、確定給付企業年金を実施していて積立不足が気になるという
ことでしょうか?
退職給付債務の計算方法を簡便法にしている場合では、運用の低下に
よる積立不足は、その年の退職給付引当金として、全額処理する必要
があります。退職給付債務の計算方法が原則法の場合は遅延認識でき
ます。また、確定給付企業年金は積立不足があると制度を終了すること
ができません。必ず、積立不足を解消することが求められます。
世界的な金融危機による株式市場の低迷により、企業年金の運用利回り
は当分マイナス運用が続くと思われます。企業業績への影響がご心配
なら、確定拠出年金への移行をご検討になることをお勧めします。

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中退共と退職給付会計

2008-05-13 11:53:09 | 中小企業退職金共済

退職金制度に中小企業共済を使っている場合の会計処理について、
ネットで検索しておられる方が、何人か私のブログを訪れてください
ました。
もともと確定拠出年金制度や中小企業退職金共済制度は退職給債務
の認識がいらない制度です。しかし、訪問してくださった方の会社では、
退職金制度の内枠に中退共を使っているケース、つまり、退職金制度
が退職一時金と中退共ということだと思います。
そして、退職給付会計を導入していて、それが簡便法ということです。
このようなケースでは、以下のように会計処理をします。

①退職給付債務
  退職金規程に基づき、期末自己都合要支給額で計算します。
②中退共の退職金額
  中退共は退職給付債務の認識がいらない制度です。
  退職給付債務を計算する時には、中退共による積立額を控除します。
  そのためには、加入者である従業員の中退共での退職金額を決算月
  に受けとれるように中退共に頼んでおくと、計算し郵送してくれます。
③退職給付引当金
  ①から②を控除した金額です。

以上、中退共が退職金制度の内枠で、簡便法による退職給付会計の場合
の会計処理です。
お役に立ちましたでしょうか?


コメントでご指摘いただいている点につき、6月24日に内容を訂正いたしま
した。6月24日のブログにも、その旨書いてあります。
コメントを寄せてくださり、ありがとうございました。(2008.6.24)

◆いつも、ブログをお読み下さり、ありがとうございます。
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中退共、建退共の未払い問題と公共事業受注のための経営事項審査

2007-11-30 11:23:23 | 中小企業退職金共済

中小企業退職金共済の未払い問題に続き、建設業退職金共済でも未払
いがあることが、10月19日に報道されました。
中退共が49万人、建退共が20万人に対して未払いとなっているそうです。
中退共や建退共の未払いは、退職したまま連絡が取れない、事業主に
連絡したが回答がないことが原因となっています。
建設業における退職金共済の未払い問題の背景には、二つの要素がある
と思います。ひとつは、退職金を受け取るための書類の問題、もうひとつは
経営審査事項です。

中退共や建退共から、退職金を受け取る時は、本人確認のため「住民票」
か「印鑑証明書」のどちらかが必要になります。建設業の場合、この点が
ネックになっていることもあるのではないでしょうか。

経営事項審査制度とは、公共工事を受注しようとする建設業者について、
その業者の規模、財務内容など経営に関する事項の審査を建設業法に
基づき国土交通大臣又は都道府県知事が行う制度です。
公共事業の受注は建設業にとっては、大きなメリットです。公共事業の
受注業者になるためには、経営事項審査の評点を上げることが必要で、
退職金制度がある、中退共に加入、建退共に加入はプラスの評点となり
ます。
中退共や建退共に加入は、もちろん、退職金制度のためですが、同時に
経営事項審査のためでもあります。

公共事業に携わっている全ての建設業者がそうではなく、一部であると
思うのですが、中退共や建退共への加入が経営事項審査のための便宜
的な手段となっていると、従業員への説明などが疎かになるということも
あると思います。

中小の建設業に向いているのは、個人型DC(下記)だと思います。
先週のブログでご紹介した前払い退職金制度に積立手段として個人型DC
を使う方法です。建設共では、転職や独立して起業することが、他の業種
より多いので、個人型DCが向いています。自分の退職金は自分で管理す
るので、未払いの問題は起こりません。
但し、前払い退職金制度は、経営事項審査の評点にはなりませんので、各
都道府県の担当部門へ申請し認めてもらう必要があります。
ある保険代理店からの問合せで、大阪府に聞いたことがあります。「内容を
みて判断したい」との返答でした。
機会があればチャレンジしたいと思っています。

尚、企業型DCは経営事項審査の対象です。

●確定拠出年金のことを、DCといいます。
 DCは、defined contributionを略したものです。

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中小企業退職金共済は手数料が掛からない?

2007-10-15 13:50:35 | 中小企業退職金共済

退職給付制度に掛かる手数料について、厚生年金基金や確定給付
企業年金、確定拠出年金は、手数料が取られるけれど、中小企業
退職金共済や保険商品を利用した場合には、手数料はとられない
ということを、よく耳にします。
本当にそうでしょうか?
中小企業共済(中退共)の手数料は、内枠です。
事業主の支払う掛金から、人件費、事務費などを賄っています。
保険商品も同様です。
企業年金制度の場合は、掛金以外に手数料が明記されており、手
数料を手数料として認識できます。手数料は外枠といえます。

適格退職年金からの移行にあたり、確定拠出年金との比較で、
中退共や保険商品は、手数料が掛からない(からお得です)という
解釈は、ちょっと違うと思います。

先週10月11、12日に、退職給付制度に採用する際の保険商品と確定
拠出年金の制度設計とコストの違いについて書きました。
保険商品で退職金を準備すると、かなりの期間で退職金規程の支給
額以上の積立となり、確定拠出年金では、退職金規程の支給額と同
じラインとなるように制度設計できることを説明しています。
保険商品による退職金規程の支給額を上回る部分は、余分なコスト
です。
中退共では、予定利率が1%(現行)、確定拠出年金では想定利回り
を2%~2.5%とすることが多いので、掛金は確定拠出年金のほうが少
なくて済みます。
計算すると、中退共の掛金や保険商品の保険料のほうが、確定拠出
年金の掛金+手数料より多くなりることが分かります。

★ブログのジャンルはこれまで「報道→経済」にしていましたが、
 来週から確定拠出年金・個人型について書いていきますので、
 ジャンルを「お金→その他」に移動します。
 これからも宜しくお願い致します。


中退共の退職金未払い問題と「24」シーズンⅥ

2007-10-05 14:25:26 | 中小企業退職金共済

中小企業退職金共済の退職金が365億円未払いになっているという
ことが、10月3日に報道されました。
新聞紙上での、この未払いの原因のひとつに、従業員が退職する際、
事業主との間にトラブルがあると、加入している事実や受給手続きが、
従業員に伝えられないことがある、と指摘されています。
私も、かって、上記のような相談を従業員から受けたことがあります。
退職の理由は、商品の販売戦略をめぐって、従業主と意見があわない
ことでした。その業界について詳しく知りませんが、私には経験がある
従業員の主張が正しいような印象でした。
事業主は、中退共から退職金を受け取る手続きをしてはいけない、と
いってきたそうです。従業員から、「でもこれは、私が受け取れるお金
ですよね。」と、本当に不安そうに相談されました。その時の従業員の
表情を、今でもよく覚えています。

「24」という米国のテレビドラマが人気です。今レンタルビデオで、
一番新しいのは、シーズンⅥです。
このドラマは、米国内でおこるテロや陰謀を、テロ対策ユニット(架空)
が24時間で解決していく様子が、1時間単位でドラマ化されています。
この中で、米国内のイスラム社会全体を敵と見なし、テロへの関与の
如何を問わず、拘束する対策の実行を巡って政権内の対立が描かれ
ています。
反対派は、合衆国憲法に違反すると主張しています。
賛成派は、憲法成立当時と武器も戦争のあり方も大きく違っているの
だから、基本的人権が制限されて当然と、大統領に迫っています。

一昨日のブログで、保険商品で退職金の準備を勧める保険会社の売り
言葉、①金融機関から直接従業員に支払われない、②懲戒解雇に対応
できる、を紹介しました。これは煎じ詰めると①退職金の支給が事業主の
裁量に委ねられる危険 ②めったにない懲戒解雇を全従業員を対象に想
定する問題、になると思います。

退職金制度は、事業主の節税対策や保険会社の営業成績のためにある
のではないのです。
退職金制度は、事業主と従業員双方のものだと思います。

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中退共への移行には、中退共の掛金増額変更への助成を活用

2007-09-25 15:48:38 | 中小企業退職金共済

適格退職年金から中小企業退職金共済への移行にあたっては、中退共の
掛金増額変更における国の助成を活用することをお勧めします。

適年の積立金は、従業員ごとの持分に分けて、中退共に移します。
持分の分配方法は、適格退職年金規程に定められています。
一般的には、責任準備金比例、要支給額比例、勤続年数比例のいずれか
になっています。
従業員各自の持分は、中退共で定められている、「引渡金額早見表」に
より移行時の通算月数と掛金を計算します。
通算月数は、適年の加入年数を越えることはできません。
「引渡金早見表」による金額と持分の差額は、残余の額として、掛金と
ともに1%の利回りで、従業員の退職時まで積み立てられます。
引渡金の計算に当たっては、通算月数が優先されますので、移行時の
掛金は、ほとんどの従業員が5,000円となることが多いです。
適年が積立不足となっている場合は、この5,000円の掛金のままでは、
退職金規程の支給水準に到達しません。退職金支給額を下げることは、
労働条件の不利益変更となります。
適年から中退共へ移行に際しては、退職金規程に則った、掛金テーブルを
作ることになります。移行後、それぞれの従業員の掛金を掛金テーブルに
沿って増額していく措置が必要になります。
中退共では、18,000円以下の掛金を増額変更すると、増額分の1/3が
1年間国から助成されます。掛金が18,000円までなら何度でも助成の対象
となります。
適年からの中退共への移行においては、この掛金の増額変更への助成を
是非、使ってください。

中退共の掛金を5,000円としたまま、退職金支給額の残りを生命保険とする
ことは、コストが高くなるのと、せっかくの中退共の長所を生かせません
ので、お勧めできません。

尚、適年の他に既に中退共契約がある場合には、一度中退共契約を解除
しないと、適年から中退共へ移行できません。中退共の解約手当金は、
従業員へ中退共から直接支給され、一時所得となります。