女性が年齢とともに妊娠しにくくなる原因の一つである「卵子の老化」は、DNAの損傷を修復する遺伝子の働きが低下して起きるらしいという研究結果が発表されたそうです(47NWES)。女性は未熟な状態の卵子を約100万個持って生まれるそうです。しかし、一生に排卵するのは500個程度で、30代後半から排卵しにくくなり、50代初めには卵子がほぼなくなって閉経するそうです。なぜこれほど急速に減少するのかは謎だったそうです。研究では、マウスと人で、高齢になると卵子のDNAの損傷が増えることを確かめたそうです。次に「BRCA1」など、遺伝子損傷の修復に関わる数種類の遺伝子に着目したところ、マウス、人いずれの卵子でも、高齢になるとこれらの遺伝子の働きが落ちていることが分かったというもの。さらにBRCA1遺伝子が働かないようにしたマウスをつくって調べたところ、排卵する卵子が少なく、妊娠能力が低いことも確認したそうです。BRCA1遺伝子に変異があると、乳がんや卵巣がんになりやすいことが知られているそうです。そこで、同遺伝子に変異がある女性とない女性で、卵子残存数の目安になる血中ホルモンの値を比較したところ、変異ありの女性は、ない女性の半分程度の値しかないことが明らかになったそうです。DNA損傷が蓄積した細胞は、がん化などを避けるため「自殺」する仕組みが生体には備わっていますが、卵子も同じ仕組みによって減っている可能性が高いということになるようです。損傷した遺伝子の修復能力を保つ方法が見つかれば、年齢が進んだ女性の妊娠率向上につながる可能性があるとも。
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