横須賀総合医療センター心臓血管外科

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横須賀市立うわまち病院 新病院建設に関する答申

2018-05-15 23:36:46 | その他
横須賀市立病院運営委員会
答 申 書
平成30 年(2018 年)3月29 日

1.はじめに
横須賀市立うわまち病院は、三浦半島の東部に位置し、平成14 年7 月1 日
に国立横須賀病院の移譲を受け、指定管理者制度(当初は管理委託)による
運営を行っている。現在、許可病床数417 床(稼働病床数387 床)、診療科28
科を有し、地域医療支援病院、救命救急センター、地域周産期母子医療セン
ターの指定を受けるなど、急性期医療を中心に回復期リハビリテーション病
棟を保有し、横須賀・三浦二次保健医療圏において重要な役割を担っている。
そのような中、国立横須賀病院時代の中央病棟や外来棟は昭和40 年代初め
に建設され、施設・設備の老朽化や狭隘化が大きな課題となっている。
横須賀市立市民病院は、平成22 年4月に直営から指定管理者制度に変更し
運営を行っている。現在、許可病床数は感染症病床6床を含み482 床(稼働
病床数318 床)、診療科29 科を有し、地域医療支援病院、災害拠点病院の指
定を受けるなど、三浦半島西側の拠点病院としての役割を担っている。
また、平成28 年10 月には、地域包括ケア病棟を開設するなど、回復期機
能の充実も進めている。
平成28 年10 月、神奈川県が策定した地域医療構想において、より一層の
高齢化や人口減少が予測される中で、団塊の世代が75 歳以上になる平成37
年(2025 年)の必要病床数が示された。横須賀市は今後の地域の医療需要を
鑑みながら、市民が安心して暮らすことのできる医療環境を整備するため、
市立2病院が担うべき役割や連携について検討する必要がある。
こうした背景から、平成27 年2月5日、本委員会に「うわまち病院が担う
べき医療機能について」、「うわまち病院の建替えについて」、「市民病院との
機能分担について」の3件が諮問され、これまでに延べ13 回の委員会を開催
し、様々な観点から慎重に議論を重ね、答申をまとめた。
なお、各諮問事項についての議論が相互に関連しているため、本答申にお
いては、「市立病院が担うべき医療機能と機能分担について」、「うわまち病院
の建替えについて」の2件に整理した。
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2.答申
(1)市立病院が担うべき医療機能と機能分担について
市立2病院体制を維持しつつ、連携の強化、経営の効率化を図るため基本
協定の一本化を図られたい。
市立2病院体制については、横須賀市の東側をうわまち病院が、西側を
市民病院がカバーすることで、神奈川県地域医療構想(以下、「地域医療構
想」という)において、脳卒中の患者搬送時間が西側で60 分圏内となって
いるほかは、概ね30 分圏内となっている。このことからも、横須賀市の地
域性を考慮して2病院体制は維持していくことが望ましい。
病床数については、地域医療構想において、「横須賀・三浦構想区域」の
総必要病床数に対して現状では不足していることから、現在の市立2病院
の許可病床数899 床を維持し、稼働病床数を増やす方向で検討されたい。
市立2病院の具体的な病床数は、患者数の動向等を見ながら検討されたい。
なお、地域医療構想において、回復期病床数が大幅に不足していること
から、高度急性期及び急性期機能を維持しつつ、回復期病床の充実を検討
されたい。
診療科目については、市立2病院とも地域医療支援病院に指定され、地
域における拠点病院としての役割を担っているため、引き続き、現状を踏
襲することが望まれる。
病院機能について、うわまち病院は、現状の指定に加え、新たに神奈川
県がん診療連携指定病院や災害拠点病院の指定を検討されたい。
小児・周産期医療については、横須賀共済病院及びうわまち病院が中心
的役割を担っている。近年の患者数減少が影響して両病院共に空床が発生
している状況や、当該診療科の医師確保の難しさ、さらに医師の労働環境
の改善が求められていることを踏まえ、市民病院で休止している入院診療
に係る小児科及び周産期医療(通常分娩除く)については、うわまち病院
への集約化が望ましい。
なお、外来診療に係る小児科及び通常分娩については、地域住民の利便
性等を鑑み、引き続き市民病院で担うことが望ましい。
また、高齢化が進む中、在宅医療の重要性が高まっており、今後ますま
す医療と介護の連携が求められるので、対応されたい。
運営形態については、市立2病院とも指定管理者制度を導入し、うわま
ち病院においては、恒常的に収支が黒字となっている。市民病院において
も、平成22 年度から平成29 年度までの指定管理期間において、指定管理
者の赤字を補てんする運営交付金を当初の想定額より約38 億円削減する
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ことができたことは、大きな成果である。このため、引き続き、指定管理
者制度を踏襲することが望ましい。
なお、さらに市立2病院の連携を強化するとともに、経営の効率化を図
るため、基本協定の一本化を検討されたい。
(2)うわまち病院の建替えについて
うわまち病院は老朽化が進んでいることから早期建替えを望むが、財政
状況が厳しい中、施設規模等については、十分検討されたい。
中央病棟、外来棟は建築後50 年以上が経過し、老朽化が進んでいる。さ
らに、患者の受け入れが限界に近い状態となっているが、現在の施設では、
これ以上稼働病床を増やすことができないことから、できるだけ早く建替
える必要がある。
建設費については、財政状況が厳しい中、必要最小限の施設規模とし、
経費の削減を図られたい。
財源については、補助制度や地方交付税の優遇措置を有効活用し、少し
でも財政負担を減らすよう努められたい。
建設場所については、現地で建替える場合、診療を休止できないので、
建設手法を十分に検討されたい。
さらに、県道から病院までの進入路が狭く、救急車輌等の通行に支障を
きたしていること、今後、建設工事に支障をきたす恐れがあることから、
決定した後は速やかに対応されたい。
市内の医療機関の立地状況を踏まえ、移転して建替えることも検討され
たい。その場合には、移転先の慎重な選定や、用地取得に要する費用を十
分に勘案されたい。
現地建替え又は移転建替えのいずれの場合であっても、採算面を慎重に
考慮して建替え後のうわまち病院の経営持続性に留意されたい。
建設スケジュールについては、平成37 年度中の新病院開院を目指し、計
画の進捗把握には十分に留意されたい。


以上のような答申が横須賀市立うわまち病院建て替えの検討内容として横須賀市のホームページ掲載されました。
患者さんのニーズが多様化し、より専門的かつ高度な治療が必要になるなかでは、一日も早く新病院での体制を構築することが、地域の人々のサービス向上につながるものと思います。
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