はぶて虫のささやき

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(旧:はぶて日記)

映画評1162 ~ フルスロットル(CS)

2024-05-15 | 映画評
今回は「フルスロットル(CS)」です。

2013年に自動車事故で急逝したポール・ウォーカーの、死去前に製作された最後の主演作。リュック・ベッソン製作・脚本によるフランス映画「アルティメット」を英語リメイクしたサスペンスアクション。ウォーカーがカーアクションのみならず本格肉弾アクションにも挑戦。「アルティメット」で世界を驚かせたパルクールの第一人者ダビッド・ベルが、驚異の身体能力を持つ相棒リノ役で再登板。

主演:ポール・ウォーカー
共演:ダビッド・ベル、RZA、カタリーナ・ドゥニ、ガウチー・ボーイ
その他:アイーシャ・イッサ、カルロ・ロタ、ブルース・ラムゼイ、アンドレアス・アペルギスなど

<ストーリー>
無法地帯と化したデトロイトで潜入捜査を行なっていた刑事ダミアンは、捜査中のマフィアが中性子爆弾を奪って起動させたとの情報を入手。爆発までのタイムリミットが10時間にせまるなか、恋人をマフィアに拉致された男リノとともに、300万人のデトロイト市民を守るべく立ちあがる。しかし事件の裏には、政界をも巻きこんだ巨大な陰謀が潜んでいた。


2014年の作品だが、その前年にわずか40歳の若さで亡くなったポール・ウォーカーの遺作である。

「ワイルドスピード」でも、最後に出演した「スカイ・ミッション」のエンドロールで「for POUL」という字幕が流れてくるが、今作でも最後に「IN LOVING MEMORY OF POUL WALKER(ポール・ウォーカーの思い出に捧げる)という字幕が流れた。

存在感のある役者さんだと思っていただけに、残念である。

さて、物語はそんな彼が主人公の警官を演じるアクション映画なんだけど、冒頭に出てくるダビット・ベル演じるリノが、悪党どもから逃げまわる時の動きがスゴすぎて、いきなり度肝を抜かれた。

後で調べてみたら、このダビット・ベルという人は、「パルクール」という、跳んだり跳ねたりしながら心身を鍛える運動方法の第一人者なんだとか。

ダニエル・クレイグがジェームズボンドを演じた「007 カジノロワイヤル」の冒頭で、ボンドに追われる悪党が、街中を飛び跳ねながら逃げまわるシーンがあり、これまたものすごい身体能力だったのだが、あの時と同じくらいの衝撃を受けた。

物語の舞台は、デトロイトの一角にあるブリック・マンション(これが原題となっている)という、バットマンでいうところのゴッサムシティみたいな地域で、ここは無法者が牛耳る街で、トレメインという男が仕切っており、配下の連中はみんな銃を持っているという、何とも恐ろしい街である。

そんな街で繰り広げられる殺し・殺され、殴り・殴られ、騙し・騙されの展開だけど、終盤までは、トレメインという「悪いヤツ」が街の秩序を乱しているので、これを懲らしめるという流れになっているのだが、最後の最後で「えっ?」という展開が待っている。

もちろん、いい意味で・・・ではない。

トレメインが奪った中性子爆弾を奪い返すために潜入した主人公が、いざ爆弾の起爆措置を解除しようとした時、実は解除するためのパスワードが、逆に起爆するためのパスワードになっており、デトロイト市長が、ブリック・マンションそのものを壊滅させるために主人公を送り込んだ、ということがわかる。

罠であることに気が付いた主人公は、リノやトレメインと共闘して市長の陰謀を暴くために、仲間を引き連れて市庁舎に乗り込み、市長から陰謀の言質を取る。

その結果市長は逮捕され、街に平穏な日々が戻る・・・というところまではいいのだけど、その結果トレメイン一味は実はいいヤツらであることがわかり、その後トレメインは市長に立候補する、という流れになったところで「ええっ?」と思ったわけだ。

トレメインって、麻薬を扱ってそれで一儲けしていたし、それに関連して街の人たちを何人も殺している。

これの、いったいどこが「いいヤツら」なの?

確かに市長はワルだけど、トレメインも十分にワルだ。

まるで監督が最初の設定を忘れていたかのように、終盤になって全部リセットされるというのは、いくら何でもヒドいだろう。

ぼ~っと見ていると見落としてしまいそうなムチャクチャなオチだけど、それを感じさせないような展開にしたのは、もしかしてリュック・ベンソンの手腕なのか?

ということで、ポール・ウォーカーのアクションが見られたのは良かったけど、内容的には結構違和感があったので、評価は「C」にしておきます。

あらためて、ポール・ウォーカーに合掌。

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