はぶて虫のささやき

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(旧:はぶて日記)

2024映画評総括 ~ 面白くなかった編 PART1 ~

2024-12-26 | 映画評
続いて「面白くなかった」あるいは「腹が立った」編です。

今年D・E評価だったのは、次の6本です。

まずは「E」評価だった次の作品。

「ある閉ざされた雪の山荘で」(E)
http://habute.blog74.fc2.com/blog-entry-1164.html

今思い出しても腹が立つ作品であり、実に13年ぶりとなる「E」評価の作品です。
(ちなみに、映画は「S・A・B・C・D・E」で評価しているので、最低という意味です)
東野圭吾作品を映画化したものですが、これを改悪したというよりは、原作がクソだったので、どうして東野はこのようなアホなストーリーを思いついたのか、監督はなぜこれを映画にしようと思ったのか、いまだに理解できません。
ちょっと長くなりますが、再度ストーリー(完全ネタバレ)についてまとめてみます。

①犯人(というか首謀者)である本多は、元同僚で事故により半身不随となった麻倉の「私をこんな風にした元村・笠原・雨宮が憎い。警察に捕まってもいいから殺してやりたい」という気持ちを受けて、今回の山荘でのニセオーディションを開き、三人を殺害する計画を立てる
②ニセオーディション開催にあたっては、演出家であり劇団運営に大きな力を持っている東郷には内緒にしている。
③上記の計画にあたって、なぜか劇団とはまったく関係のない久我を呼んでいる。
④山荘で本多は、元村・笠原・雨宮が次々と殺害される、という演出(誰が犯人かを当てるかを競う)を行う。秘密部屋に潜んでいた麻倉は、本当に三人が殺されたと思っている。
⑤最終日になって、本多が「さて、帰ろうか」と言ったところ、久我が「ちょっと待って」と言って、今回の計画について本多と麻倉が犯人であると推理し、山荘に麻倉が潜んでいることを指摘する。
⑥ところが、指摘通り麻倉が潜んでいたのだけど、実は本多は殺人など一切行っておらず、元村・笠原・雨宮と共謀して麻倉をだました、ということがわかり、どこからか3人が現れる。
⑦事実がわかって麻倉は半狂乱になるが、本多の「一緒に生きよう」という力強い言葉によって、麻倉も「わかったわ」とすぐに気を取り直す。後日全員による劇が行われ、ハッピーエンド?

これのどこがおかしいのか説明します。
まず、①②の流れから③はまったくの蛇足でしょう。そのせいで⑤という計画にない(はずの)事態となってしまいます。もしかしたら、本当にオーディションをやっているという形にしたかったのかも知れませんが、だとしたら最終日に本多が何の種明かしもしないで帰ろうとする理由がわかりません。麻倉は3人が本当に死んだと思っているのに、彼女に対してどう説明するつもりだったのでしょうか。また、今回の演出を知らない劇団員に対しても、どう説明するつもりだったのでしょう。
もしかして、事前に久我には最初からすべてを話していて、最後に種明かしをするきっかけを与えるように指示していた? だとしても、そのような描写は一切ありませんでしたし、そのようなややこしいことをする理由もありません。
そもそも、①が④⑥につながる理由がさっぱりわかりません。
本多が麻倉の気持ちを知って「よし、一緒に三人を殺そう」となる流れ自体も理解に苦しみますが、その結果麻倉をだまして気持ちを変えさせようとする思考は支離滅裂です。
さらに、⑦で舞台劇をやるのに「いったい誰が演出したの?」という②をまったく無視した出来事が起こっています。

これを劇中でも「二重・三重のドンデン返し」と言っているのですが、流れが変わるたびに、それまでの前提条件がまったく無視されている、という展開になっているので、「ドンデン返し」でも何でもなく、最後は唖然とするしかありませんでした。
いったい何のためにこんな面倒臭いことを計画したの?という感想しか出てこないわけですよ。
細かい点で言えば、麻倉や殺され役を演じた3人は、最終日までどこにいて、食事・トイレなどはどうしていたのでしょう。これまた、「まったく考えていなかった」としか思えません。

ネットでも「これはすごい!」という絶賛のコメントを寄せる人もいましたが、「こいつらはアホなのか?」としか思えませんでした。
たぶん、こういう人たちは、「Aが犯人だ」と思っていたら「実は犯人はBでした」という流れなのに、最後になって「実は犯人は(これまでまったく登場していない)Cでした」と言われても「えっ?」と驚いて感動するような人たちなんだろうな、と思います。
詳細は映画評の方に書いているので、これ以上は触れませんが、歴史に残る「駄作」だと思います。


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