はぶて虫のささやき

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(旧:はぶて日記)

映画評1158 ~ 武士の家計簿(TV)

2024-05-04 | 映画評
今回は「武士の家計簿(TV)」です。

古文書から幕末の武士の暮らしを読み解いた磯田道史による教養書「武士の家計簿 『加賀藩御算用者』の幕末維新」を、森田芳光監督&堺雅人主演で映画化。

主演:堺雅人
共演:仲間由紀恵、松坂慶子、西村雅彦、草笛光子、中村雅俊、伊藤祐輝、藤井美菜、嶋田久作、宮川一朗太、小木茂光、茂山千五郎など

<ストーリー>
御算用者(経理係)として加賀藩に代々仕えてきた猪山家の八代目・直之。しかし当時の武家社会には身分が高くなるにつれて出費が増えるという慣習があり、猪山家の家計もいつしか窮地に追い込まれてしまう。そこで彼らは、直之の提案で武家とは思えないほどの倹約生活を実行することになる。


2010年の作品である。

もともと時代劇は好きで、必ずしもチャンバラでなくても見ることはあるのだが、この作品は公開当時から見たいとは思わなかった。

主演の堺雅人があまり好きではない、ということもあるのだが、何よりもテーマが算盤侍なので、何でもって盛り上がるのだろうか、という不安があったからだ。

結果から言うと、その不安は杞憂に終わり(?)盛り上がる場面は一切なかった!?

原作は読んでいないが、作者の歴史学者である磯田道史氏の著書は何冊か読んだことがある。

かなり頭のいい人らしいのだが、読んでみると、随所に自慢(?)が顔を覗かせている感じがして、あまり面白く思えなかった覚えがある。

ただし、この人の作品がどうのこうの以前に、どうしてこれを映画にしようとしたのかが、まったくわからない。

監督なのか脚本家なのか誰が悪いのかわからないが、算盤侍の日常やたまにあるエピソードを淡々と描いているだけの映画なので、見ていて面白くない。

いちおう藩の不正を追及したり、借金返済のために家財を売り払ったり、もしかしてここで盛り上がるのか?というエピソードは出てくるのだけど、それ以上のものは何にもない。

しかも、主人公は堺雅人演じる猪山直之であり、物語はその息子による回想という形で進むのだけど、どうしてそのような形にしたのかわからないので、途中からどうでもいいようになる。

息子は大村益次郎に認められて新政府軍の財政を支えた、というナレーションが流れるのだけど、何をどうしたのかはまったく語られない。

とにかく退屈することこの上ない内容で、最初から最後までまったく盛り上がらない。

TVで放送されていたのを録画までして見たのだが、「感動の・・・」みたいな紹介をしていたにもかかわらず、いったいどこで感動していいのか、さっぱりわからなかった。

しかも、放送時間は2時間45分もあったのだが、その約3分の1がCMだった。

録画でなかったら、エラく間延びしてしまって、ハラハラ・ドキドキではなくイライラ・ムカムカになっていたと思う。

最近CSやTVで放送されている映画を見ることが多いのだが、過去作品なので、基本的には「D」とか「E」はつけないことにしていた。

でも、さすがにここまで盛り上がりに欠ける作品だと、まったく褒めようがない。

あまり好きではないとは言え、いちおう一流俳優である堺雅人だが、老人役が思った以上に下手くそだったので、見ていて辛かった。

ということで、今回はさすがに我慢ができないので、評価は「D」にします。


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